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編集部2020年3月13日

第三のシーバス「タイリクスズキ」とは?

月刊つり人ブログ PICKUP NEWS

『SEABASS Life NO.04』発売によせて。その1~なぜ今、タイリクスズキなのか?~/シーバス釣りの可能性を広げる二大特集号、好評発売中!!

『SEABASS Life NO.04』発売連動コラム。その1~なぜ今、タイリクスズキなのか?~

文:編集人 RIVER-WALK若林 輝/写真:松本賢治


日本で唯一のシーバスルアーフィッシング専門誌『SEABASS Life』も今号で、NO.04。多くの読者の皆さまにご好評をいただき、編集スタッフ一同張り切っております! 新型コロナウイルスの影響で悶々とした日々を過ごされている方もいらっしゃるかと思いますが、そんな時こそ、手元に一冊、じっくりと読み応えのある釣り雑誌を手にとってみてはいかがでしょうか? 「毎号が完全保存版!」をモットーに、ますます読み応えのある、シーバス釣りが好きになる一冊を目指して充実した誌面作りを頑張りたいと思います。

『SEABASS Life 2020年春号(NO.04)』
▼シーバス釣りの可能性を広げる二大特集号、好評発売中!!

 タイリクスズキをねらい求めるアングラーの、枠にとらわれない釣り方にフォーカスをあてそこからシーバス釣りの新たなる可能性を掘り起します!! 第二特集は「春のマイクロベイト攻略Q&A50」。アミ、ハク、稚アユなど、難しいとされる極小ベイトに応じた釣り方を50の質問で完全解説! 今号も美しい写真と読ませる文章でシーバス釣りの魅力を伝えます!
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さて、今号はシーバス釣りの可能性を広げる二大特集号となっております。
まず巻頭からの第一特集のタイトルはこちらです。

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特集 タイリクスズキに今こそ学ぶ「もうひとつの答え」
「威嚇」本能を駆り立てることはできるのか?

となります。ずばり「タイリクスズキ」をテーマとした特集となります。タイリクスズキをご存じない方に向けて、少しだけ説明をさせていただきますと、日本で「シーバス」と呼ばれる魚には3魚種います。

①マルスズキ(いわゆる最も一般的に「シーバス」と呼ばれている種。正式和名は「スズキ」です。河川から港湾、磯、サーフ、水路などなど汽水域を中心に幅広く生息しています)

②ヒラスズキ(正式和名も「ヒラスズキ」。主に磯で狙うことの多い、マルスズキよりももう少し平べったいシーバスです。どちらかというと「シーバス」という呼び方よりも「ヒラ」や「ヒラスズキ」と呼ばれる方が一般的です)

③タイリクスズキ(朝鮮半島の西岸や中国大陸の東岸沿岸に生息する、元々は日本にいなかったスズキの仲間です。養殖魚として瀬戸内海を中心に日本に持ち込まれ、それが逃げ出して各地で定着していると言われています)

以上の3種となります。
タイリクスズキは「ホシスズキ」とも呼ばれ、体に黒い点が散らばっているのも特徴です(マルスズキにも黒点があることや、黒点のないタイリクスズキもいることから、ある程度確実と思われる基準は、体側の側線よりも下に黒点があればタイリクスズキ、というものです)。そしてもうひとつ、釣り人として見逃せない大きな特徴は「大型化する」というものでした。

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この記事のタイトルに「なぜ今、タイリクスズキなのか?」と書きました。その理由は、古くからのシーバスアングラーならば思い当たるかもしれませんが、かつて「メーターオーバーが狙える夢のランカーシーバス」として、タイリクスズキフィーバーがあったからです。2003年にはタイリクスズキの専門誌(ムック)も発売され、その表紙には「メーターオーバーも夢じゃない シーバス界のモンスターを狙ってみよう」とありました。ちょうど今から10~15年ほど前に、大型のタイリクスズキを狙う、というブームがあったのです。元々、タイリクスズキが沿岸で釣れるのは、養殖のために持ち込まれた魚が逃げ出したことが由来ですから、ちょうどその頃、養殖も盛んだったんですね。

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ところが10年ほど前からタイリクスズキの養殖は、主に「採算が合わない」という理由から、急速に縮小していったそうです。それにつれて、自然環境下で漁獲されるタイリクスズキも減っていったとのこと。メーターオーバーを狙う「フィーバー」もおさまりました。その後も一部のアングラーが限られた場所で引き続き狙い、時に超大型と言えるサイズが釣られたりしてニュースにもなりましたが、令和2年の今、そのような話はあまり耳にも入らなくなってきました。

では、なぜ今、タイリクスズキなのか?

それは、この数年でシーバス釣りの世界に流れ込んできた「ビッグベイト(大型のルアー)ブーム」という流れと無関係ではありません。

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ビッグベイトの釣りは、ブラックバスではもうだいぶ長い間、定番として認知されているかと思いますが、シーバスの世界では、今、ようやく一般的な広がりを見せている、といった段階かと思います。ちなみに、つり人社では、今から3年前の2017年に『BIG BAIT SEA BASS』という別冊を発行していますが、この一冊は、シーバスのビッグベイトブームの黎明期を表現した一冊だったのではないかと思います(ちなみに撮影・編集・執筆は『SEABASS Life』のメインフォトグラファーである松本賢治が担当しています)。



『ビッグベイトシーバス』
 一度はこれでシーバスを釣ってみたい──。 潜在的にこの釣りに憧れているアングラーの数は多い。そして実際にシーバスを引っ張り出す潜在能力の高いカテゴリーがビッグベイトシーバスゲームだ。 どんどんサイズアップしていくビッグベイトもあれば、スタンダードな方向へライト化していくビッグベイトも動き始めた。今、もっとも最先端であり熱いゲームがここにある。



そして今、ようやく全国的にビッグベイトを用いたシーバス釣りが盛んになってきたこのタイミングと時を同じくして、衣川真吾さんなど以前からビッグベイトをやりこんでいたアングラーが「どうやらビッグベイトはタイリクスズキと、とても相性がいいらしい」という確信に至ったことを発信しはじめたのです。その大きなカギのひとつが「威嚇」本能です。

特集のタイトルは、「威嚇」本能を駆り立てることはできるのか?

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今回の特集でまずお伝えしたかったのは、ビッグベイトを始めとした「威嚇本能」を刺激する釣りが、タイリクスズキにとてもよく効くことでした。

ですが、それだけではローカルネタと言えるかもしれません。タイリクスズキは瀬戸内海や高知を中心とする西日本で良く釣られている魚だからです。なので、単純に「タイリクスズキの釣り方」というだけでは、特集には選ばれなかったかもしれません。



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一般的にマルスズキを中心に解説してきたシーバス釣りのセオリーには、これまで「威嚇本能を刺激する」と意識させるものは、ほとんどありませんでした。シーバスは圧倒的に「捕食本能を刺激する」釣りだと思われていると言っても過言ではありません。同じくルアーフィッシングの対象魚であるブラックバスは、「捕食本能」と同時に「威嚇本能」も刺激して釣る魚だと広く認知されています。ところが今、シーバスのひとつであるタイリクスズキには「威嚇本能」を刺激する釣りが効果的であることが強く示されています。

そこで今回、『SEABASS Life』編集部では「それは果たしてタイリクだけの話なの?」という疑問を投げかける提案をしたいと思いました。つまり、威嚇本能を刺激する釣りは、なにもタイリクスズキだけではなく、あまりこれまで試みられてはこなかっただけでマルスズキにも効果的な局面は結構あるのではないでしょうか?……という提案です。

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実際に、今回協力していただいた著者の方々からは「マルスズキにも同じような性質を感じることがある」という声をいただいてもいます。もちろん、タイリクスズキとマルスズキとは異なる魚ですから、タイリクほど「威嚇本能」を刺激する釣りが効果的だとは思えませんが、それでもタイリクスズキに釣り方を学び、試してやってみる価値はあるのではないかと、そんなことを思い、特集を組ませていただきました。

熊本の有明海や八代海には「有明スズキ」と呼ばれる大型のシーバスがいて、それは約1万年ほど前までの最終氷期に中国大陸沿岸のタイリクスズキと日本列島のマルスズキが交雑した子孫である、という研究結果が出されています。タイリクスズキとマルスズキの雑種も中国などでは確認されているようです。黒点があるからタイリクスズキ‥とは言い切れないのと同じく、釣れたシーバスが何者であるかは見た目だけではほぼわかりません。

全国のシーバスアングラーの可能性を広げる一冊になれば…との願いを込めて。

SEABASS Life 編集長 若林 輝

『SEABASS Life』バックナンバーはこちら!

『SEABASS Life NO.03』
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『SEABASS Life NO.02』
 リニューアル第二号の特集「ルアーを流せ!」は、秋から冬の最盛期に効果絶大のドリフトテクニックを解説。話題のNEWアイテムインプレッション、そして「ビッグベイト、真実の報告」や「湾奥ゼミナール」など人気連載も満載。



『SEABASS Life NO.01』
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列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。