オトリの泳ぎ変化を意識して緻密な操作をする加藤さん
加藤達士さんは8.5mのミディアムショートロッドを操り、的確なポイント攻略が得意技。オトリの付き場を実に細かく見極めて好循環を生み出す。釣技に磨きをかけたのはエキスパートが揃う長良川である。激戦区の場荒れ河川もなんのその。どうすればオトリの回転率は上がるのか? その効率的な着眼点とオトリ演出とは―――。
追い気の弱いアユをいかに掛けるか
文◎加藤達士
オトリの泳ぎ変化を意識して緻密な操作をする加藤さん加藤達士さんは8.5mのミディアムショートロッドを操り、的確なポイント攻略が得意技。オトリの付き場を実に細かく見極めて好循環を生み出す。釣技に磨きをかけたのはエキスパートが揃う長良川である。激戦区の場荒れ河川もなんのその。どうすればオトリの回転率は上がるのか? その効率的な着眼点とオトリ演出とは―――。
ナワバリアユと群れアユ攻略
ポイントに立ったら、まずはナワバリをしっかり持ったアユをねらう。細かいポイントも見逃さないように届く範囲のポイントすべてにオトリを通すつもりで全面を探る。追い気の強いアユは特別な操作をしなくても近くにオトリを通してやれば掛かってくる。
問題はそれらを一通り釣った後の追い気の弱いアユだけが残った状態でいかに数を伸ばすかだ。私の場合、まず引き釣りからフリー泳がせにシフトして群れアユをねらう。群れアユねらいは基本的にイトを緩めてフリーに泳がせ。これで何尾か釣ると群れも段々掛かりが悪くなる。掛かりが悪くなったところで変化をつける。
長良川に通う名手はいかに良型を揃えるかを意識して釣りを組み立てる
掛からない原因がわからないと何を変えればよいのかわからない。とにかくいろいろ試してみるが私の場合は主に3つのことを心掛ける。
①オトリを替える
元気なオトリでも掛からないなら、弱っても野アユを掛けた実績のあるオトリを再登場させる。
②ハリを替える
私は基本4本イカリだが、掛からない場合は2本ヤナギに替えてみる。守備範囲の広いヤナギなら今まで掛からなかった追い気の弱いアユが掛かる場合がある。ちなみにこの日のハリは、朝イチのナワバリアユねらいでは「D-MAX SS スピード」7号4本イカリでスタートし、群れアユねらいに転じてからは「D-MAX SPエアースピード」6.5号4本イカリに。その後キープ7号2本ヤナギでポロポロと追加した。
ハリは「D-MAX SS スピード」7号4本イカリ、「D-MAX SP エアースピード」6.5号4本イカリをメインに使用。循環が止まるとハリ交換もまめに行なう
③泳ぎの変化を付ける
フリー泳がせから誘いへの変化である。私の誘いはオトリを少し持ち上げその状態をキープする。いわゆる上方テンションである。こうするとフリー泳がせよりオトリの動きは派手になる。この操作はチューブラ穂先ではシビアなサオ操作が要求されるのでソリッド穂先のほうがやりやすい。ソリッド穂先なら少々アバウトな操作でも適度なテンションがキープされる。私はカーボンソリッドのセンサーオートマを愛用している。
オトリの泳ぎに変化を付ける2B~3Bのチビ玉が必須アイテム
オトリの動きを派手にする手段は上方テンションばかりではない。私が最近オススメしているのは3B~5Bのチビオモリである。これをハナカン上5~10㎝の位置に付けテンションゼロ付近で操作するとオトリが尻尾を振って派手に動く。こんな手を使ってオトリの泳ぎに変化をつけてもいい。
以上のようにいろいろ変化をつけて、これまで掛からなかったアユを掛けにいく。拾えるアユは1尾、2尾かもしれない。しかし1尾でもフレッシュなオトリが手に入ればその後の展開も変わってくるのだ。とにかく、釣れなくなった時に何もせず掛かるのを待つだけよりは、いろいろ試して自分からアグレッシブに掛けに行ったほうがよい結果が出ることが多い。
加藤達士(かとう・たつし)
1975年生まれ。三重県三重市在住。ダイワ鮎マスターズ’15年、’17年と準優勝。激戦区でも釣りまくる理論派エキスパート
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2019/6/20