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編集部2016年12月8日

タナゴ釣り/グルテンエサの使いこなしを名人に訊きました

タナゴ PICKUP 魚種別釣りガイド

年末年始、手軽な場所で遊べないか?という向きには、釣り掘で楽しむタナゴはいかがだろう。 手返しよく、連続ヒットを味わいたい。

おすすめ時期:12~1月

つり人 写真と文

ひだまりでのんびり寒タナゴ。とはいえ魚が元気なら釣りは忙しい

年末年始、手軽な場所で遊べないか?という向きには、釣り掘で楽しむタナゴはいかがだろう。
手返しよく、連続ヒットを味わいたい。


この記事は『つり人』2016年2月号に掲載したものを再編集しています。

エサで変わる釣果


 タナゴ釣りの定番エサといえば、今やグルテン系の練りエサ。おかゆ練り、黄身練り、玉虫と、この釣りならではの効果的なエサはほかにもあるが、準備に手間が掛からず、安定して入手できるという点で、グルテンエサはやはり使い勝手がよい。

070-073-narita-tanago_cs6 (13) こちらは成田さんが長年愛用しているグルテンエサ。タナゴをしっかり寄せ、何度か打ち返してもグルテンがハリ先に残り、なおかつ手でベト付かないように工夫している

070-073-narita-tanago_cs6 (29) この日は「タナゴグルテン」も試してみることに


 これまではヘラブナ用に市販されているものを流用するのが普通だったが、2015年にいよいよタナゴ専用をうたったものが登場した。マルキユー「タナゴグルテン」と「タナゴグルテン競技用」がそれである。

 タナゴグルテンは、発売からそれほど時間が経っていないこともあり、フィールドでの使用感などはまだまだ情報が少ない。そこで今回は、歴史ある「東京たなご釣研究会」きっての名手として知られる成田臣し げたか孝さんと一緒に、千葉県にある市原園で実際に釣りをしながら、新しいエサの使い勝手を聞くとともに、タナゴ釣りにおけるエサの役割についてもあらためてポイントをうかがった。

 エサは「しっかり魚を寄せられる」ことがまず必要。研究会の例会ともなれば、隣の釣り人に魚が集められてしまっては勝負にならない。そして、もうひとつ大切なのが「ハリ先にエサが残る持ちのよさ」だ。

 魚を寄せるには、寄せる成分そのものがすぐれていることに加えて、水中でより広くエサが拡散するバラけぐあいも必要。かといって、ただサラサラと拡散するだけではハリに最後にタナゴに食わせるエサが残らない。成田さんが使いやすいエサとそうでないものの差を大きく感じる部分もここにある。そのほか、基本的には手にベト付きやすいグルテンエサは若干の油分を与えてやると扱いやすくなる。マヨネーズを混ぜる人もいるが、成田さんが使用しているのはコンビニなどで手に入る菓子パン(チーズ蒸しケーキ)だ。

 成田さんにはこれまでに工夫を重ねてきたオリジナルエサのレシピがある。主な材料はいずれもタナゴグルテンと同じマルキユーのヘラブナ釣り用グルテンエサだ。「野釣りグルテン」は寄せ効果に加えてハリ持ちのよさを重視したタイプ。「グルテン1」はさまざまな集魚成分を配合した万能グルテンエサ。「グルテン5」は甘い香りのするタイプでグルテン繊維が強い。ベースはこの3つを1:1:1でブレンドしたものになる。

070-073-narita-tanago_cs6 (5) 「東京たなご釣研究会」幹事長で最高位の8段を保有する成田臣孝さん。釣りはもちろん、ハリ研ぎの名人としても知られる。最近は霞ヶ浦のワカサギ釣りにも熱い

 成田さんのオリジナルエサを実際に使用させていただくと、当たり前だがとても使いやすい。

 現場で水を加えてエサにする時も、特別に変わったことはせず、水を加えてかき混ぜて、馴染ませてから指先でしばらく練って丸めたら、必要な分を手に持って釣りをする。作り方(現場での仕上げ方)そのものは、写真で紹介しているタナゴグルテンでの見本と同じだ。

 そして、釣りをしているうちにエサが乾いてきたら、さっと水にくぐらせてから手の中でしばらく揉んでまた使うことも多い。タナゴがよく釣れている時は、タナゴからハリを外す動作でエサを持っている手が自然と湿るので、「実際はその水分で、グルテンエサが乾かない状態をけっこう維持できてしまいます」となる。ちなみにタナゴ釣りでは、魚に手を触れず、水桶やバケツに張ったイトにハリを引っかけてノータッチでタナゴを外してしまう人も少なくないが、成田さんは「素早く確実にタナゴからハリを外してやるには、しっかり手で持ってやるのが一番」という主義だ。

 成田さんのエサは、「今のはアタリか?」という気配やウキの動きに合わせて、瞬間的にアワセを入れる操作をし、数㎝スッと穂先を手前に引く動きを少なくとも3~4回やったあとでも、だいたいグルテンエサの一部がハリ先に残っている。もちろん、名手の釣りでは、1投1尾、1アワセ1尾という状況を目指しているわけで、実際にそのようになることも多いわけだが、感覚的に言って少なくともそれくらいの「エサ持ち?ハリ持ち?のよさ」があるということだ。その際に残るエサの量はごく微量でよいが、こうしたエサがあると、エサを付け直す時間が大幅に短縮し、常にアタリを聞きながら釣りができるのでリズムが生まれる。タナゴ釣りでは成田さんも言うように、「実際は自分でもアタリと思ったのかそうでないのか、はっきりとはしないが気配のようなもので合わせることも多い。その感覚を得られるかがとても大切」だ。そのためには釣りが途中で途切れない必要がある。

成田さんオリジナルエサのレシピ
070-073-narita-tanago_cs6 (19) 右が成田さんのオリジナルブレンド。左がタナゴグルテン競技用。ニンニクの臭いはタナゴグルテン競技用のほうが強めだ

1マルキユー「野釣りグルテン」60cc
2マルキユー「グルテン1」60cc
3マルキユー「グルテン5」60cc
4「コンビニで購入できるチーズケーキ風味の蒸しパンを開封して冷蔵庫に入れ、カチカチに乾燥したものを目の細かいおろし金で粉にしたもの」60cc
5スティックシュガー(グラニュー糖)1.5本分
※甘みは魚に効くほか蒸しパンはエサが手にベタ付くのを抑える効果がある
※1~5をよく混ぜ合わせ使用前に水で練ればOK。基本は下のタナゴグルテンと同じくエサ1:水1

「タナゴグルテン」とその作り方

070-073-narita-tanago_cs6 (14) マルキユーから新発売になったその名も「タナゴグルテン(のこちらは競技用)」。はたしてその結果は?


070-073-narita-tanago_cs6 (15) タナゴグルテン競技用はやや赤みのある色


070-073-narita-tanago_cs6 (16) 付属のスプーンで1:1に水を入れる


070-073-narita-tanago_cs6 (17) グルテンと水を混ぜる。スプーンの柄を使うと便利


070-073-narita-tanago_cs6 (18) 全体が混ざったら軽く指でまとめ3分ほど馴染ませてから使う

070-073-narita-tanago_cs6 (4) 体長2㎝以内の「1円玉サイズ」が釣れれば立派なもの

グルテンエサの基本的な使い方 070-073-narita-tanago_cs6 (21) エサ付けはサオを持つ指でハリを持ち、ハリ先で反対の手に持ったグルテンエサを引っかくようにして行なう

070-073-narita-tanago_cs6 (22) まずはこれくらい付けるのが目安。付け過ぎはタナゴの口にエサが入らずバラシの元になる。ただし、釣りはじめに魚を寄せる意味ではわざとざっくりと付けてもよい

070-073-narita-tanago_cs6 (23) グルテンは指にまとわりつくので、仕掛けを振り込む時は指でエサを前に弾くようにする

070-073-narita-tanago_cs6 (24) 水に入ったグルテンエサはこのように球状になるが、ここから先に使いやすいエサとそうでないエサの分かれ道がある

070-073-narita-tanago_cs6 (20) 小さなタナゴをヒットさせる成田さん。タナゴ釣りはリズムが大切だが、それにはエサの使い勝手が大きく影響する

練り込むのもあり?


 この日、使い慣れたオリジナルエサにくわえて、タナゴグルテン(おもに競技用)を試してみた成田さん。まず集魚力については、「非常に魚の寄りがいい」とすぐに実感した。釣り場の市原園ではこれまでにもサオをだしたことがあり、普段の自分の釣りと比べてもエサに対するタナゴの反応のよさは感じられるという。

 一方で、特に釣り始めてしばらくは、2回程度までの誘いや打ち返しならエサが持つ場合もあるが、その時点で完全にエサ落ちしてしまうこともあり、「もう少し持ってほしい」と感じたという。

070-073-narita-tanago_cs6 (6) 使いやすいエサは、何度かアワセや誘いをしたり、あるいは魚が釣れても、このように微量のグルテンエサがハリに残る。成田さんは「少なくとも4回以上は残ってくれるエサがいいですね。釣りの手返しがまったく変わります

070-073-narita-tanago_cs6 (7) グルテンエサを練り込むか練り込まないかは、タナゴ釣りをする人の間でも意外に曖昧。成田さんは何度かの釣りで使ってみた限り、「新しいタナゴグルテン(競技用を含む)は、かなりしっかりと練り込んだほうが自分好みの加減になります」という意見だった

 タナゴグルテンの開発者へ伺ったところ、グルテンエサは基本的に練り込まず、また手水も加えないで使ってほしいということだ。しかし、この日は成田さんの経験に基づいて、途中からタナゴグルテンをかなりしっかりと練り込んでみた。成田さんは自分のオリジナルエサについても、もう少し持ちが必要だと思った時にはしっかりと練り込むことがある。

 すると、実際に使ってみた感触として、だいぶハリ先にエサが残るようになってきた。釣りは朝に始めて、昼食を挟んで午後まで続けたため、気温の変化などの影響もあったかもしれないが、後日、成田さんが改めてタナゴグルテンを使ってみた時にも、やはりしっかりと練り込むほうがぐあいはよかったという。

 また、この日、成田さんや成田さんにエサをお借りした編集部員が使用したのはいずれも手研ぎバリ。サイズは「10」前後だった。これは市販されている極小バリよりもさらに小さいサイズなので、そのあたりも影響している可能性はある。ちなみに、成田さんが手研ぎバリのサイズを合わせる目安は、2?3㎝の一番小さいクラスのタナゴなら「8」以下、3~4㎝の中型なら「9」または「10」だ。電子顕微鏡でのぞきながら歯科医用のダイヤモンドヤスリで成形している成田さんの手研ぎバリについては、また別の機会にお伝えしたい。

 いずれにしても、タナゴ釣りはエサを工夫することでますます面白さが増す。この冬はベテランでなくとも、エサの配合や練り加減にこだわって釣りをしてみてはいかがだろう? 

名手の仕掛け拝見 070-073-narita-tanago_cs6 (25) シモリなし(左)とあり(右)の2つを用意している成田さんの仕掛け。タナゴが多くシモリを突つかれやすい状況では親ウキのみのほうが釣りやすい。長いウキ止メパイプは親ウキを留めるためのものではなく、成田さんが使用するタナゴザオの削り穂部分に付けてミチイトをセットするためのもの。不意にコイなどが掛かってもサオを折られずに済む。ミチイトはナイロンの1.75号を使用

070-073-narita-tanago_cs6 (27) ハリスは元々医療用の細いものを使っていたが、「今ならタナゴ専門店で売っているもので大丈夫」。ハリスの長さは3㎝ほど。オモリは金メッキをして、時間が経ってもサビが付きにくいようにした特製。仕掛けは自宅でハリとエサまで付けた状態で、ごくゆっくりとシモるバランスに事前に浮力調整してある

070-073-narita-tanago_cs6 (28) 親ウキはバルサを削って漆で仕上げたもの。自作していた時期もあるが、今はかつて作り方を教えた友人のものが性能もよいので使っている。オモリとのバランスもあるが、小さすぎないものが多い

070-073-narita-tanago_cs6 (10) 070-073-narita-tanago_cs6 (9) 成田さんの手研ぎバリ。「6」や「15」というのは、ハリ先から先腰(ハリ先側の曲がった部分)までの長さが、それぞれ「0.6 ㎜」、「1.5 ㎜」ということを表わす。現在、市販されている最小クラスのタナゴバリで1.5 ㎜ほど(「15」クラス)。
多くのハリはそれよりも大きく、「6」ともなると非常に小さいことが分かる


070-073-narita-tanago_cs6 (8) 11月下旬、一日をとおして元気にエサを食み続け、釣り人を癒してくれたオカメたち

市原園つり堀センター
住所●千葉県市原市磯ヶ谷1667
問合先●℡0436・36・1260
営業時間●(釣り堀)8:00~17:00、(食堂)11:00~20:00。火曜定休
アクセス●館山道・市原ICから20分ほど。電車釣行もでき、小湊鉄道上総三又駅または上総山田駅から徒歩15分
食堂と釣り堀を経営。本来はコイ釣り場だったが、現在はタナゴもいる。料金は1日1000円。各種定食も美味しく、米は地元農家産のものを使用している

2016/12/8

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