房総ロコの間で亀山湖にその人ありと言われるバズベイター・立川雄一さん。 アマの手練れたちが集うのむら平日トーナメントで数々の優勝とビッグフィッシュ賞、そして年間タイトルの原動力となってきたバズベイティングを相模湖で見せていただいた。
房総ロコから学ぶ、アンダーウォーターバズベイティング
◎Basser編集部
この記事は『Basser』2020年9月号に掲載したものを再編集しています。
房総ロコの間で亀山湖にその人ありと言われるバズベイター・立川雄一さん。
アマの手練れたちが集うのむら平日トーナメントで数々の優勝とビッグフィッシュ賞、そして年間タイトルの原動力となってきたバズベイティングを相模湖で見せていただいた。
(プロフィール)
立川雄一(たちかわ・ゆういち)
1970年生まれ。
昨年まで亀山湖で開催されていたのむら平日トーナメントで、バズベイトをメインルアーに2012年3月、6月、7月の3大会で勝って年間優勝。2014年の4月大会でも優勝。2019年は年間2位。
トレーラーをセットしたバズベイトをそのまま収納できるように自作したボックスの側面は、のむらボートの「50UP」ステッカーで埋め尽くされている。今年から相模湖の日相カップに参戦
7月8日(火)の相模湖にて
この日、立川雄一さんは48cm・1805g、49cm・1640g、44cm・1410gをバズベイトで釣り、オマケにサカマタシャッド8inのノーシンカー・トゥイッチでも43cm・1350gを釣って見せてくれた。
トンデモナイ釣果だ。
取材時の相模湖にはスポーンからまだ回復しきっていない、痩せ気味の魚も多かった。なのにこのウエイトである。のむら平日トーナメント(亀山湖)で脚光を浴びたバズベイティングが相模湖でも有効であることを、立川さんは釣果で証明した。
「ゆっくり引け」
部活などで釣りから離れた時期はあるものの、小学校高学年でバスフィッシングを始めた立川さんの釣り歴は40年になる。
愛するのはトップとワイヤーベイトとビッグベイト。
ソフトベイトの釣りもするが、すべてに共通してバスのチェイスとバイトが見えるレンジにこだわる。「興奮できる」という理由からだ。
「バスフィッシングにはスピナーベイトから入って、バズベイトを使い込んだのはけっこうあとになってからのことです。縁あってTバドの製作者の黒沢(幸男)さんからいろいろ教わってきたのですが、そのなかでバズベイトにも興味をもちました」
立川さんがバズベイトに興味をもつキッカケとなったのは、「バドで釣りきったあとでも、最後にバズベイトを引くとまだ出る魚がいる」という話だった。ビッグバドを使い込んでいた立川さんは、バズベイトというルアーに強烈に惹かれた。
「ただ、むかしは今と違って情報が圧倒的に少なかったので、バズベイトを手に入れても使い方がわからない。黒沢さんからは『ゆっくり引け』と言われたけれど、トップで使うルアーだということは知っていたので、ゆっくり引いたら沈んじゃうじゃん、と(笑)。結局フツーに水面を引いて使っていましたが、『ナイターで強い』と聞いていたのにナイターでは自分には釣れませんでした」
しかし「ゆっくり引け」というこのひと言が後に立川さんのバズベイティングに転機をもたらすことになる。
「水面下を引く」
各社のバズベイトを使い込むなかで、一時立川さんのフェイバリットになっていたのがデプスの「マッドウェーバー」だった。
「すっごい好きで、相模湖でも野池でもけっこうイイ思いをさせてもらいました。あのバズが唯一無二なのは、どんな使い方をしても沈んでしまうところ。ロッドをそうとう高く構えないと水面を引くことができないのですが、無理にそうする必要はまったくない。速巻きで、水面下を引くと、でかいのばかりを選んで釣ることができました」
マッドウェーバーは高速引き対応であり、もともと水面下を引くことも想定して作られた異端のバズベイトである。
「そのころからデスアダー6inをトレーラーにしていました。本か何かで奥村(和正)さんがそうしているのを見て、なんだこのセッティング、カッコいい! 自分もそれで釣りたい! って」
マッドウェーバー(deps)
立川さんの「水面下を引くバズベイティング」の基礎となったルアー。サブサーフェスでの使用も視野に入れて開発された異端のビッグフィッシュキラーである
「ゆっくり」と「水面下」が融合
のむら平日トーナメントで脚光を浴びた立川さんの現在のバズベイティングは「ゆっくり、水面下を引く」というものだ。
「このスタイルで最初に釣ったのがいつなのか、正確には覚えていないのですが、たしかO・S・Pバズ02ビートが発売されてから1、2年後だったような……?」
となると、転機は2007~2008年か。
「友人と野池に行ったときに02ビートでポンポン釣れたんですよ、ちょっと速めに水面を引いて。ただサイズがイマイチだった。それで、ゆっくり引いてみたんです。
黒沢さんから『バズはゆっくり引け』と言われたときは意味がわからず、それからもう何年も経っていたけれど、その言葉がずーっと頭の片隅に引っ掛かっていたんでしょうね。
ゆっくり引いたら沈んじゃいますけど、マッドウェーバーでの成功体験を経ていたから、バズを水面下で引くことにもまるで抵抗はありませんでした」
トレーラーにデスアダー6inをセットした02ビートを水面下でゆっくり引いて、釣った最初のバスがいきなり50cmアップの推定2kgオーバーだった。
「バスのサイズもそうですが、水面を引いていたときとは食い方からして違っていた。
オーバーハングの奥からすーっと出てきて、まるでエサを食うようにパクって。
その1尾がキッカケです。やり方は誰にも教えなかった。誰にも試してもらいたくなかった。
この釣りは自分ひとりで突き詰めたいと思いました。友人に教えたのはずっとあとになってから。
完成したと確信できて、釣るだけ釣って、楽しむだけ楽しんで、のむら平日トーナメントで勝って、それからです。友人にセッティングと基本的な引き方を教えて、試してもらったら、50cmアップを含めて15尾も釣ったんですよ。
ちなみに自分はその日16尾釣ったんですけど、サイズで負けました(笑)。でも、この出来事によって、自分のバズベイティングが再現性のある釣り方として確立できているんだと確信しました」
POINT 01
「水面下を引いてBUZZらせない」
立川さんのバズベイティングにおける最大の特徴が「水面下を引く」こと。
ペラまで水没させて使うためバズベイトがBUZZらないのだ。
「バスに気づかれなかったらそれでもイイ」と言うほど、ねらったスポットをそろ~っと通す。
「バスの眼前に突然現われさせて、いきなりスクイーク音やクラッカー音、ペラとヘッドの打撃音などを聞かせるイメージです。人を驚かせるのに、いまから驚かせるよ~と教えたりしませんよね」。
引くレンジは、水面直下が基本。最も深いときで水深50cmくらい。ルアーが見える範囲で緻密にコントロールする
POINT 02
「しっかり硬いロッド」と「高速リール」
「着水音を可能なかぎり抑えたい」と立川さん。
ふわっと投げたら、よくて「ぽちゃん」、それではダメだという。
キャストしたバズベイトが水面に触れた瞬間に速度を殺しきるには、ライナー性の低弾道なキャストが求められる。空気抵抗の大きな総重量1oz超(バズベイト本体+トレーラー)をスパスパ投げるためにマシンガンキャスト・タイプⅡを長年愛用(通算2本目)。
レボ・エリートはKTFチューンでギア比を7.6対1にアップ、ハンドル1回転で最長84cmを巻き取る。
「オーバーハングに潜って不充分な体勢で投げたり、巻くときのロッドポジションがままならなかったりするので、リールは絶対にハイギアがおすすめです」
ロッド:スティーズ661MHRB-XTQマシンガンキャスト・タイプⅡ(ダイワ)
リール:KTFレボ・エリート・エボリューション・ハイギア(アブ・ガルシア)
ライン:ナイロン20Lb
POINT 03
必着のトレーラーはバイトに至らせる「最後のひと押し」
ペラのバイブレーションが伝わって生き生きとアクションするピンテールがおすすめ。
フェイバリットはデスアダー6inだ。「タテ刺し・ヨコ刺し、どちらでもOKです」と立川さん。
「バズベイトの使い分けに法則はありません。気分で選んでダメならほかを試します」
ダイナモバズ3/8oz(HMKL)+デスアダー6in(deps)
最も信頼するセッティングのひとつ。「3/8ozを使う身体ができあがってしまっているのですが、もうずいぶん1/2ozしか店頭で見ない。手もちが少ないので不安です」。ペラとヘッドは、数回転に1回当たるか当たらないか、ギリギリの距離に調整している
ピップズクイーク(ブーヤー)+ワンナップシャッド4in(サワムラ)
「コレはほかのバズベイトと金属音の質が違う。シャリシャリ感の強い音です。ダイナモや02ビートを育てても近い音にはなるけれど、同じにはならない。もう売っていないので手もちを大事に使うしかない……」
O.S.Pバズ02ビート+デスアダー6in(deps)
クラッカータイプで愛用するのがこのモデル。一部はクラッカーを折り曲げ、先端を重くすることで打撃音を強化している。「すべてチューンしているわけではありません。ノーマルの状態でも使います」
O.S.Pバズ02ビート・ストロング+デスアダー6in(deps)
極太リビングラバーを長くタイイングしてある「ストロング」にはデスアダー6inを丸ごとセットしている
ボルケーノ・グリッパー3/8oz(ノリーズ)+レディーバランス(ノリーズ)
「コレで亀山湖で24、5尾釣れた日があったのですが、その日はいちばん信頼しているダイナモ3/8ozで釣れなくて、本当にコレにだけ劇的に反応があった。一方で今日(取材日)は、ダイナモやゼロツーといった打撃音が出るタイプに軍配が上がりましたね」
後編はコチラ→→→ 「立川ユウイチはBUZZらせない 後編」
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