変わりつつある東京湾で増えた魚もいれば減った魚もいる。その中で増えた魚の筆頭格に挙げられるのがクロダイだ。特に湾奥部では身近な運河やベイエリアでクロダイの釣果が聞こえ、また、古くからクロダイ道場として知られる各沖堤の釣果も以前とは次元の違う釣れ方をしている。
インもアウトも! タナも底も! パイプもタンクもツブも!
写真と文◎編集部
川崎新堤へ渡る渡船にはヘチザオを持った釣り人が大勢詰めかけている。なぜか。クロダイが釣れているからだ。さらに言えば、ずっと釣れ続いていて、今後もさらに上昇の兆しを見せる。今、最もアツい東京湾のオカッパリターゲットの最先端の釣りに迫る。
この記事は月刊『つり人』2021年6月号に掲載したものを再編集しています
◆関連記事チニングロッドおすすめランキング16選|シマノ、ダイワなど >>
いいときは50尾、60尾と釣れる川崎新堤
変わりつつある東京湾で増えた魚もいれば減った魚もいる。その中で増えた魚の筆頭格に挙げられるのがクロダイだ。特に湾奥部では身近な運河やベイエリアでクロダイの釣果が聞こえ、また、古くからクロダイ道場として知られる各沖堤の釣果も以前とは次元の違う釣れ方をしている。
川崎新堤で2020年は12月いっぱい釣って、2021年は1月2日から釣果をあげている郡さん。この日もパイプでしっかりキャッチ
取材は3月。「例年なら本格始動はサクラが散ってから」と話していた山下正明さんだが、サクラの開花よりひと足早く春爛漫を謳歌
この日、川崎新堤では0~5尾の釣果があり、付けエサの大半はパイプだった
3桁――。それがクロダイの落とし込み釣りの釣果だと聞いて信じる人がどのくらいいるだろう。10年前なら眉に唾を塗ってほら吹き扱い扱いされたはずだ。
「シンジラレナイよね~(笑)。ボクだって最初はまさかと思ったもん。だけどインコースで落とすたびにタナでバンバン当たる。アワセを入れなくても向こうアワセで掛かっちゃうことも珍しくない。去年の夏場は10尾や20尾は調子悪いくらい。いいときは50尾、60尾と釣れた」
そう語るのは『黒友会』副会長の郡雄太郎さんだ。
「さすがにオレたちは3桁まではいかなかったけど、それでも手が痛くなるくらい釣った。1便に乗って最終便までトラブルなく手返しよく釣れば3桁はありえると思う。実際に100尾以上をキャッチ&リリースしているらしいし。シンジレナイ出来事だけどね(笑)」
そう語るのは『黒友会』会長の山下正明さんだ。
川崎が調子を下げると対岸の千葉の五井沖堤が調子を上げるなどした。その要因は複雑だが、確実にいえるのは「イガイの付き」の良しあしだという。この時期にクロダイの活性を上げるエサにも注目したい。
川崎新堤の全長は約3.4㎞ありインコースもアウトコースもクロダイがねらえるとあって混雑知らずであったが、ここ数年は非常に釣れているため川崎新堤であってもまあまあ混むこともある
川崎新堤で使いたいエサ。低水温期のおすすめはパイプ
堤防の船着場の内側付近の底でエサ採りをするとご覧の内容。以前はあまり見られなかったパイプ(パイプ虫)と呼ばれるカンザシゴカイ科の環虫類がたくさん増えていることがわかる。兵庫などの関西圏では冬の特効エサとして知られていたが関東でもここ数年で一気に人気のエサになった
白いパイプ状の管がいくつもつながっていて、その中にオレンジ色やピンクのイソメが入っている。匂いはかなり強烈で、エサ取りが少ない低水温期は管とともにイソメをハリに房掛けにする使い方もある
パイプを装餌する際はハリスをカットせずにタラシを長くしておく
ハリではなくタラシにガン玉を打つ方法はイガイの繊維掛けにも有効。これは山下さんの装着法
春によく効くエサとしてタンクガニも知られる。小型のものはこのように丸ごと使う
管の隙間をみつけてハリスを通す。縫い針を使って通してもいい
パイプを固定できる位置のタラシにガン玉を打つ。これで完成
これが最近流行りの装餌法。髪止め用の短い輪ゴム(透明や黒)でパイプを留める。輪ゴムにハリを引っかける。ハリ先にイソメを模した赤い輪ゴムや赤いワームの切れ端を刺す
従来どおりチモトにガン玉を打っても構わない。これは郡さんの稚貝ダンゴの装着法。イガイも稚貝ダンゴも5月以降は本命エサになる
タンクガニで圧倒的に食われるのはツメ。最初から胴体は使わずツメだけでも食いは変わらない
「オレはもともとあんまりパイプは使わないけど、さすがに3月だから試してみたらほんとによく釣れるね」とコンディションのよい1尾をキャッチ
後編「堤防のアウトコースとインコースをねらいわける」へ続く……
- 1
- 2