堤防の壁を水中に見立てて説明する山下さん。「インコースのすべてを探っているのではない。基本的にはケーソンの継ぎ目に沿って落としている。あらかじめ水深分のイトを引き出しておいて4Bのガン玉で一気に落とし、底から1mからイトを張ってゆっくりと落としていく」
インもアウトも! タナも底も! パイプもタンクもツブも!
写真と文◎編集部
川崎新堤へ渡る渡船にはヘチザオを持った釣り人が大勢詰めかけている。なぜか。クロダイが釣れているからだ。さらに言えば、ずっと釣れ続いていて、今後もさらに上昇の兆しを見せる。今、最もアツい東京湾のオカッパリターゲットの最先端の釣りに迫る。
この記事は月刊『つり人』2021年6月号に掲載したものを再編集しています
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堤防のアウトコースとインコースをねらいわける
7月、8月、9月と絶好調だった川崎新堤もさすがに秋が深まると釣果も落ち着いてきた。10月も後半ともなれば2桁釣果は聞こえなくなったが、「それでも行けばコンスタントに5尾くらいは釣れた」(郡)というからすごい。
山下「11月になったら全部底だろ?」
郡「みんな底です。インコースでも8~11mはあるからまあかったるいけど釣れないときには底まで落とすしかありません」
川崎新堤のインコースの水深は浅くて8m、深いと13mもある。これをすべて探るのは効率が悪い。底か、イガイの層を中心にしたタナかを決めて釣るとよい。この日は底の釣りだったため、水深分のラインを引き出して途中は通過させるだけにした
堤防の壁を水中に見立てて説明する山下さん。「インコースのすべてを探っているのではない。基本的にはケーソンの継ぎ目に沿って落としている。あらかじめ水深分のイトを引き出しておいて4Bのガン玉で一気に落とし、底から1mからイトを張ってゆっくりと落としていく」
事前情報で釣れているのはアウトコースということだったが、インコースに入った山下さんが早々にサオを曲げた
山下「やっぱりオレはタナで食わせたいから足が遠のいていくんだけど、郡は休まずに通っているんだろう?」
郡「釣れなくなったらオフにしようと思っているうちに年末まで釣れちゃった(笑)。それで1月2日に初釣りに来て、これで釣れなかったらスタート時期を遅らせようと思ったらいきなり2尾釣れちゃった(笑)」
山下「昔の東京湾では考えられないけれど、つまりオフシーズンがなくなってしまった。じゃあ低水温期に何を食っているのかというとパイプだっていうんだよな」
郡「パイプの底ねらいで低水温期の釣りが成立するようになりました。仮に10mの水深なら上から9mまでは4Bとかの重いガン玉を打って通過させ、9m以降をゆっくり操作して刻んだりしていく釣りです」
山下「底まで落として聞きアワセをする釣りだと居食いになるから、ちょっと面白くないもんな」
アウトコースを探った郡さんは南西風が吹き出した午後から調子を上げた。赤いワームの切れ端付きのパイプでキャッチ。ロッドは黒鯛師THE ヘチリミテッドBB4 BAY KISARAZU T275、リールは黒鯛師THEアスリートヘチ88W-BG(黒鯛工房)を使用
アウトコースは海面までの高さが5m以上あり、風が強いとライン操作が難しくなるものの風が当たるとやはりクロダイの活性は高くなる。この日も何度かタナで当たったが、最後の1尾は底で食ってきた
そんな会話をしている間に渡船は川崎新堤へ。前情報ではヒットは水深のあるアウトコース側に集中しているとのことだったが、山下さんは迷わずインコースを選択。輪ゴムで留めたパイプをエサにスリットの底付近を探るとすぐにロッドが美しい弧を描いた。
「桜前線もまだなのにクロダイが元気だね!」
スリット付近の底ねらいでこの日は5尾をキャッチした。
一方、川崎新堤に通い続けている郡さんは苦戦中。アウトコースで何度か当たったが、フッキングまで至らない。「本番は南が吹く午後からだよ」と言っていたとおり、白波が立ち始めるとアタリが出始め、きっちり2尾をキャッチ。
「途中、タナでひったくるようなアタリもあったから、ますます楽しみだね。パイプも効くし、タンクも効くし、そろそろツブもよくなってくる。インもアウトもねらえるし、タナでも底でも食ってくる。そうなったらいきなり本番だよ」
クロダイの落とし込み釣りに入門するなら、今年は絶好のタイミングといえそうだ。また、以前やったけど、あまり釣れなかったことから挫折したという方も、今年は再チャレンジしてみると、夢のような時間が味わえるかもしれない。
ハリスはふたりともシーガーグランドマックス1.5号を使用。東京湾のヘチ釣りでは1.2号か1.5号を使うことがほとんどという。やり取りに自信があれば1.2号まで落とすとアタリが増え、やり取りに自信がない人は1.75号を使えばまず切られることはないという
やはり多くの人が午後からアウトコースでサオを曲げた
強風でキャップが飛んで行ってしまったが、最後に45㎝のクロダイが食ってきた
渡堤直後の下げ止まり前、そして上げっぱなに連発した山下さん
「今年も川崎は楽しめそうだね。あとはホームの木更津をはじめ東京湾の各堤防にイガイがいっぱい育ってバンバン釣れるといいね」と山下さん。ロッドは黒鯛師THEヘチリミテッドBB4 ZERO FUKASE T285、リールは黒鯛師THE Senkan Hechi88X S-RB(ともに黒鯛工房)の組み合わせを使用
長八
神奈川県川崎市川崎区塩浜3丁目19-3
tel.044・266・3128
定休日●火曜
料金●3000円(渡船は中学生以上で保護者同伴。料金は同額)。駐車場は無料(50台まで)
出船時間●平日は7時半(15時半迎え)、土曜は7時、8時、12時、14時半、16時、日曜祝日は6時(6~9月)、7時、8時、12時、14時半、16時受付は出船1時間前から
交通●首都高速・大師ICから産業道路へ。塩浜交差点を左折し、夜光交差点を右折。ゴルフ場の信号を右折し、突き当たりの左手前に船宿長八がある。川崎駅までの送迎バスもある
平日にもかかわらず2隻出しの人気ぶり
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