入渓点の見定め方を東京近郊の激戦区をホームにしているつり人に聞いた。
入渓点の見定め方を東京近郊の激戦区で釣りをしている人に聞いた。
こちらの記事は月刊『つり人』2020年6月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
大沢健治さんは秩父をはじめ東京近郊の渓流をホームに美形魚のみをねらう。
常にサオ抜けを意識したアプローチだからこそ手にすることが可能なたくましく育ったヤマメ・イワナ。その川選び、釣りの組み立てとは―――。
穴場入渓点の探し方
イワナは岩陰を釣る魚である。対してヤマメは流れを釣る。流れに合わせて魚の目の前にエサを流し込む技術が必要だ。大沢さんはヤマメのサオ抜けを次のように挙げる。
艶やかなヤマメを釣り上げた大沢さん
イワナねらいの場合は岩陰にどれだけ丁寧にエサを落とし込めるかが重要
◎上流の岩陰
釣り上がりのアプローチでは上流にある石の前は流れが見えないケースがある。特に段々瀬のような落差のある場所に多い。流れがぶつかる石の前は「ウケ」と呼ばれる魚が定位しやすいスポット。特にヤマメ、アマゴが付きやすく、ここでエサを待ち受けている。岩に隠れて水面が見えないようなら目印をその岩よりも高い位置にする。そうすれば仕掛けの位置もアタリも把握できるはず。
◎浅場のカケアガリ
カケアガリは石の前と同様に流れが当たるウケとなり、エサが流れてきやすいスポット。深みから浅場となるカケアガリはもちろん、岸から深みに続く両岸のカケアガリにも注目したい。サオ抜けになりやすいのは浅くなったカケアガリの尻。ここにいる魚を追い込むと上流の深みでも釣れなくなるケースが多い。
「落ち込みや淵の深みを目にすると、多くの人は落ち込み直下や左右の巻き返しに目が行きがち。でもこんな場所こそ手前の浅場を大事に釣ってほしいです」
釣り上がる場合は仕掛けを上流に振り込むため、振り込んだ先は水深が深いものの、手前にくるほど浅くなる。そこで目印を水深の目安とする。たとえば目印を3つセットしているなら深い所は目印2つを水中に入れ込み、手前に来ると1つ、さらに手前に流れたところで3つの目印が顔を出すように穂先を上げながら流す。振り込む前に水深の見当をつけ目印位置を調整しておく。また根掛かりしないためにも軽いオモリでアプローチすること。
◎「へチ」の「へチ」にある小さな落ち込み
川筋の中でも特に浅いへチの落ち込み。落差20㎝くらいしかなく、水深も㎝程度しかない場所でも魚は潜んでいる。ヤマメはその落ち込みからの流れ出し付近に付いていることが多いので軽いオモリでアプローチする。
「あとは見えている魚を釣るんです。真木川は浅い川です。水温が高くなると、ゆらゆらと泳ぐ魚が見えることも多いです。魚の上流にエサを打ち込めば反応が早いですよ」
しかしこの日の水温ではヒラキに魚影は見えてこない。イワナのいそうな岩陰を探るうち、分流のへチに落差30㎝ほどの落ち込みがあった。その直下には漬物石程度の大きさの石があり、すぐ上に木が被さる。障害物に注意して静かにキヂを落とすと、目印が流れに逆らうようにして岩陰に向かう。合わせると快心の手応え。サオの弾力に負けて体高のあるヤマメが水面を割り、元気よく躍る。足もとまで寄せると魚体に赤みがあり青いパーマークがくっきりと浮かぶ、いかにも沢育ちのたくましい容姿である。
「近場の渓流にも足を使えばきれいなヤマメと出会える場所はたくさんあります。人の釣りにくい所を見つけるのは、それだけでも楽しいことですし、こんなきれいな魚と出会えれば喜びも大きいですよね」
サオ抜けにはよい魚が残る。それはすべての釣りに通じる。
●管轄漁協:桂川漁協(☎︎ 0554・63・0083)
●解禁期間:3 月1日~ 9 月30 日
●入漁料:日券800 円、現場売り1200 円、年券4200 円
●交通:中央自動車道・大月IC で降りてR20 を右折し真木の交差点を右折。県道510 号を真木川沿いに北上して上流へ
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