渓流でソロキャンプ。釣り場に泊まろう。
渓流でソロキャンプ。釣り場に泊まろう。
こちらの記事は月刊『つり人』2020年6月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
布施川は穴場の名にふさわしく釣り人に会うことはまれだが、コンディションのよい良型ヤマメがサオを絞ってくれる。周辺には黒部川、小川などヤマメがねらえる河川はまだまだある。自分のペースでのんびりとソロキャンプで巡るのがおすすめだ。
目次
- その1
- 急激な冷え込み
- 納得の1尾
- その2
- 桜の穴場
- 眼下に広がる夜景を見ながら
桜の穴場
時刻はまだ正午を回ったばかり。キャンプの食卓を飾るべく、海の幸を求めて魚の駅• 生地に向かった。空腹に負け、併設の食事処で地魚料理を堪能してから鮮魚コーナーに向かう。冷蔵ケースには富山名物の白エビやホタルイカ、釣り人の憧れサクラマスまで並び、テンションが上がってしまう。
おすすめの立ち寄り処が魚の駅• 生地。地元で獲れた新鮮な魚介類が購入できる。併設のレストランで食べられる地魚料理も美味しい
スーパーに立ち寄りアルコールと少々の肉を買い足してから、黒部市にあるキャンプ場に向かった。ところが、すぐ近くまで来て道を間違え、法福寺という寺院に行き着いてしまった。Uターンしようとしたのだが、境内にある立派な桜に目を奪われる。思わず車を停めカメラを手に立ち寄ると、たまたま桜を撮影していた住職に話を伺うことができた。
この桜は明日の大桜というエドヒガンザクラの古木。樹齢は400年を優に超え、富山県の天然記念物にも指定されているそう。満開には少し早かったが、多くの花を付けて張り出した枝ぶりは見事で、その立ち姿は古刹と相まって荘厳ですらある。思いがけず出会った桜の穴場であった。
キャンプ場へ行く途中、道を間違ったから出会うことができた桜の古木。眺めているとなんとも清々しい気持ちになる
眼下に広がる夜景を見ながら
寄り道のせいで、日が傾く頃になってようやく、どやまらんど明日キャンプ場に到着。受付をすませ、テントを張った。
今回利用したのがどやまらんど明日キャンプ場(☎0765・65・1567)。受付時間= 9 〜16 時、利用料金=720 円(テント1張り1泊)
焚き火台に火をおこし、肉を焼きながら調達した地ビールを開ける。黒部名水ポークは当地のブランド豚。柔らかい赤身は旨味に溢れ、脂身は甘く、意外にもあっさりして食べやすい。続けて白エビの刺身とホタルイカ。どちらもその日の朝に黒部の港に上がったもので、生臭さとは無縁。特に白エビの上品な甘さは特筆モノだ。地物のサクラマスのマリネをウイスキーで流し込む頃には、4月上旬とあってさすがに冷え込んできたが、防寒着を着込んで酔ってしまえばむしろ心地良く、どうしても冷える手先は火にかざして暖をとればいい
火を眺めていると何だか心が落ち着いてくる。忙しい現代だからこそ、こういった何もしない贅沢を味わいたいものだ
炭火で焼く肉は格別だ
魚の駅• 生地で購入した白エビとホタルイカ。地場産品を食すのも釣り旅の楽しみだ
夜の帳が完全に下りると、眼下に広がる黒部川扇状地に街灯りが点々と煌めいた。目を凝らせば、能登半島の灯りが富山湾を縁取っている。
扇状地に土壌を供給するために切り拓かれたのが「どやま」の語源という、どやまらんど明日キャンプ場。階段状に広がるテントサイトは黒部川扇状地と富山湾を望む好展望地にある。晴れた日には能登半島に沈む夕日が映える。本誌が発売になる頃には扇状地に広がる水田が水鏡となり、夕焼けを一段と美しく彩ってくれるはずだ。
テントサイトの一段下にバンガローと炊事場、トイレ棟が立ち並び、トイレはウォッシュレット完備。温泉施設も近く、料金は格安だから、キャンプだけを目的にしても利用価値は高い。また今回釣った布施川以外にも、小川や黒部川が至近で、海釣りパラダイスの富山湾も近いから、釣りとキャンプを組み合わせて楽しむのにも打ってつけ。おすすめの穴場キャンプ場だ。
◦交通:北陸自動車道・黒部ICを降りて左折し、すぐの長正寺交差点を左折。県道364号をしばらく直進。前沢(南)交差点を左折。県道125号で布施川へ ◦問合先:呉東内水面漁業協同組合(☎︎ 0765・24・3058)、解禁期間=3月1日〜9月30日、入漁料=年券のみ3000円
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