>山梨県の南部町に暮らす望月竜也さんにとって、4月は毎年忙しいシーズン。裏山には春の恵みが顔を見せ始め、野山を歩けば山菜や渓魚が待っている。変わらない地元の自然に元気の素をもらう一日
竹の子掘りと渓流釣り
解説◎望月竜也
こちらの記事は月刊『つり人』2020年6月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
山梨県の南部町に暮らす望月竜也さんにとって、4月は毎年忙しいシーズン。裏山には春の恵みが顔を見せ始め、野山を歩けば山菜や渓魚が待っている。変わらない地元の自然に元気の素をもらう一日
アマゴの流れへ
午後には車で30分ほどの福士川上流へ向かう。富士川の支流である福士川は私のホームグラウンド。地区の漁協の総代も務めており、今シーズンは昨年の台風の影響が危惧されたが、毎年シーズン初期は、その年に稚魚放流する場所を決めるためにも福士川水系に釣行している。本流筋の魚はコンディションも回復した元気な魚が多い。3月中旬にはすでに盛期の魚体に近い丸々とした魚もいて、今年も釣友のT氏が手にした尺アマゴはこの時期としては素晴らしいコンディションだった。その後、3月後半に一度は増水したものの、4月上旬現在はふたたび減水傾向となっている。まとまった雨が待ち遠しい状況だが、増水すればサイズもまた上向くだろう。
春の日差しが注ぐ福士川。下からの基本的な振り込みを軸にして木の下のポイントをねらったり、岩の裏側をねらう場合はサイドスローで振り込んだりする
私が地元でアマゴ釣りをする際に心掛けていることはいくつかある。まずは先行者が使ったと思われるエサを推測して、違ったエサを選択することにより魚に口を使わせること。また、川岸の石の状態を見ながら、先行者が川虫を採取し使っているかも確認している。もし使っていないようなら、川虫は絶大な効果を発揮するからだ。
また、アプローチはなるべく離れた位置から仕掛けを投入。岩や段差を利用して身を隠すように忍び寄ることで魚に感づかれないよう注意している。さらにラインやオモリをワンランク落とすことによりナチュラルなドリフトで警戒心をいだかせないことも有効だ。
ブドウムシをオモリなしで漂わせるエサテンカラでヒット
この日も通常ならハリス0・3号でスタートするが、途中、テンカラの釣り人の姿も見られたので、0・2号でナチュラルに流し、ナイロンのしなやかさで食い込ませるよう工夫した。さらにオモリ交換もマメに行ない、G4といった軽いオモリだけでなく、オモリなしで流す「エサテンカラ」でもアタリを引き出したり、水深のある場所では重いオモリでタナを合わせ、巻き返す流れに這わせることで魚に口を使わせるなど、渇水という条件を利用る釣り方でアタリを引き出すようにした。ちなみにサオはがまかつ「粋我硬調6m」を選択したが、マルチフレックスタイプのサオを一段縮めた5・5mで使用。この日の釣り場なら5mのサオでも充分だが、少しでも離れた場所からアプローチして魚に悟られないように気を付けた。
使ったエサはあらかじめ入手していたブドウムシ、ミミズの定番に、川でヒラタ、オニチョロ、キンパク等を採取(あまり捕れなかったが)。効果的だったのはキンパク系の川虫だが、アマゴがエサを選り好みしたというよりは、瀬では川虫、落ち込みのある場所ではブドウムシ、淵や堰堤下ではミミズやブドウムシが有効で、水流、水深の変化による反応の違いを感じ、ハリに乗せ損なったりアタリがなかった場合はエサをチェンジすると釣果に繋がるという展開だった。
午後は福士川上流の奥山キャンプ場周辺をゆっくり釣り上がった
新型コロナの影響でとても心配な状況だが、渓流釣りの素晴らしさは今年も変わらない。これから盛期を迎える川で一日も早く平穏な釣りができるように強く願っている。
このあたりのアマゴは自然産卵もしくは稚魚放流。きれいな朱点とパーマークが並ぶ
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