ご紹介するのは宮城県の仙台湾でねらえる「マコガレイ」です。仙台湾において春は主役級の存在感があります。
マガレイを筆頭に複数種が生息する仙台湾
レポート◎道下裕
この記事は『つり人』2020年6月号に掲載したものを再編集しています。
道下裕
昭和39年生まれ。仙台市在住。「次代への釣り文化継承」をライフワークとし、仙台を拠点にフリーマガジン「月刊フィッシング・フリーク」を刊行。近年はスポーツや教育を通じて、子どもたちを取り巻く環境とも向き合っている
マコガレイの覚醒に湧く春の仙台湾
「間違いなくスイッチが入りましたね。海(潮流や風波など)が悪くなければ、しばらくは釣果が期待できるはず」と蔵王丸(名取市・閖ゆ りあげ上漁港)の大友船長は好感触を隠さない。
マガレイに比べてやや丸みを帯びて、肉厚なフォルムのマコガレイ。刺し身や煮付けで食される
波に乗り切れないまま冬場のプライムシーズンを通過したマガレイが、2月中旬から徐々に調子を上げてきた仙台湾。春風に誘われるようにファンの視線が洋上に向けられ始めた頃合い、今度は例年より半月ほど早くマコガレイが覚醒した。
長らくマガレイに依存してきた仙台湾の沖釣りにおいて、マコガレイは「古くて新しい魚種」の1つである。春先の一時期とはいえ、主役級の存在感を放つようになったのはここ十数年ほど。以前、このカレイをお目当てに南三陸(宮城県北部沿海)や三陸(岩手県沿海)まで足を運んだというファンは多いはずだ。
良型を釣りあげ満足気なファン。このクラスの魚体なら充分な引き味と食味を楽しませてくれる
それが今や80枚ほどの釣果が半数以上を占めることもある。これほどまで釣れるのはなぜか? ちまたでは、震災以降の休漁、産卵時期の禁猟区設定に伴う自然増殖の結果といわれている。
さらに温暖化による海水温上昇の影響で、生態系が変化しているのではないかという仮説。これはマコガレイやナメタガレイ(ババガレイ)が仙台湾での遊漁対象として定着したほか、数は少ないながらソウハチガレイ、ミズガレイ(ムシガレイ)、ミギガレイ(タバコガレイ)などの種も確認され始めたことが根拠。ただし、生息域が南下している種があるため、単純に温暖化とも結び付けられないのだが。
「早い」マガレイ、「遅い」マコガレイ
「マガレイは『早い』。マコガレイは『遅い』。ナメタガレイは、さらに『遅い』」。カレイ釣りファンの間では、誘いのリズムを表すこんな言葉が知られている。
タックルはマガレイと同じながら、誘い方が少々違う。マコガレイは(マガレイよりも) 「捕食の間合い」を長めにとったほうがよいとされる
一般にカレイ釣りはオモリで底を叩き、仕掛けを踊らせて捕食を促す。マガレイは軽快に誘ってもアグレッシブにエサを捉えるが、マコガレイはじっくりと食わせの間合いをとったほうがいいという意味だ。
これまで出会った名手たちの言葉を拝借するなら「オモリの上下動は15㎝程度」。場合によっては「(ナス型オモリを)持ち上げず、寝かせる・起こを繰り返す」イメージ。もしくは仕掛け全長やハリスを長めに取り、誘いに対するレスポンスを遅らせることで間合いを作るのだという。
また、「カレイはオモリを抱く」という言葉もあるらしく、誘いの要素として、オモリのカラーにこだわる人も多い。仙台湾では蛍光オレンジと夜光白が定番。近ごろでは蛍光イエロー、蛍光ピンクが人気のようだ。時間帯や天候(光量)を考慮して各色を使い分けるというユーザーも多い。
実際にこれらが釣果に対してどの程度影響するのかは未知数だが、困ったときに手札の1つとして試していただきたい。
マガレイもマコガレイに劣らず人気のターゲット
イチオシギア
木製仕掛け箱
持っているだけで「デキる!」と思わせるアイテムが長尺の木製仕掛け箱。本来は仕掛けの折れや巻きグセを防ぐためのものだが、これを欲するのは相当な本格志向。材質や寸法にこだわり、職人にオーダーするユーザーもいる。機能性とステイタスを併せ持つ一品といえるだろう。
ショップ
上州屋 盛岡上堂店 フィッシング カンパニー
住所=宮城県仙台市若林区卸町2-12-2
営業時間=8〜18時30分、日曜日・祝日定休
問合せ先=☎022・239・1771