芦ノ湖では定番になった空バリによるシューティングの釣り。芦ノ湖と同じく初夏から釣れ盛る木崎湖ならこのスタイルで鈴なりが楽しめるのではないかと期待を胸に行ってみた!
芦ノ湖では定番になった空バリによるシューティングの釣り。芦ノ湖と同じく初夏から釣れ盛る木崎湖ならこのスタイルで鈴なりが楽しめるのではないかと期待を胸に行ってみた!
写真と文◎編集部
芦ノ湖方式は木崎湖で通用するか⁉
木崎湖は長野県の大町市にある湖。北から青木湖、中綱湖、木崎湖と並ぶ、仁科三湖のひとつである。他の2湖にもワカサギはいるが、青木湖はどちらかと言うとヒメマス釣り、中綱湖は冬季結氷時の穴釣りがメインである。木崎湖のワカサギ釣りの禁漁期は設けられていないが、ボート釣りで釣れる期間は、6月から11月くらいまでとなる。夏はワカサギの活性も高いが、それを捕食しているスモールマウスバスの活性も高く、掛かったワカサギに食いつくことから仕掛けがいくらあっても足りないと敬遠されがちである。シーズンを通して、木崎湖のボート釣りでワカサギが釣りやすいベストシーズンは10月から11月にかけてである。
10月初旬、木崎湖の南側にあるモダンボートに訪れたのは、オフィス・ユーカリの社員2人、戸塚明子さんと鈴木陸さん。オフィス・ユーカリは主にエリアトラウト関連のロッドやルアーをリリースしているメーカーだが、「SUZUNARI」というワカサギロッドも手掛け、ボート釣りファンに愛用者が多い。SUZUNARIは、芦ノ湖の空バリ仕掛けを使ったシューティングの釣りのために開発されたグラス仕様のロッド。しかも、オーナーばりの『スーパーパニック』、袖タイプの金バリを使った、14本仕掛けに合わせて設計されている。
SUZUNARI5.4ftはボート専用ワカサギロッド。特に空バリを使ったシューティングの釣りにマッチ
今回2人が使ったオーナーばりのスーパーパニック。SUZUNARIのロッドはこの仕掛けの長さに合わせて設計されている
底で倒れにくく、魚探にもしっかりと映るオーナーばりのワカサギ時短オモリ
芦ノ湖のワカサギの群れを追いかけ、その群れの中に14本バリ仕掛けを入れると、面白いようにズラズラと鈴なりにワカサギが掛かってくるので、SUZUNARIと命名されたという。
実は今回、戸塚さんと鈴木さんは木崎湖を訪れるのは初めてだった。SUZUNARIに14本の空バリといういつもの芦ノ湖スタイルが果たして木崎湖で通用するのだろうか。芦ノ湖のシューティングスタイルの釣りはエンジン船で行なうのが通常で、エンジン船を低速で走らせながらワカサギの群れを追い、見つけた瞬間にバックギヤに入れて船を止めて、仕掛けを投入する。ただし、「バスアングラーやアンカー打ちのワカサギ釣りの人が多い木崎湖で、エンジン船を動かし続けるのはマナーに反する」というモダンボートの主人の助言に従い、移動はエンジンで行ない、群れはエレキを使って追うことにした。
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追い食い待ちの注意点
モダンボートの主人によると、今ワカサギが釣れているのは8.5~10.5mのタナだそうで、最初はボート店から近い木崎湖キャンプ場沖の馬の背を目指した。これくらいの移動ならエレキで充分である。戸塚さんがフットコントロールタイプのエレキを操縦してポイントを目指した。
馬の背には多くのボートがアンカーを下してワカサギ釣りをしている。それに混じってバスアングラーの姿もあった。やはりベイトが集まる所にバスも集まるのだろう。
北風が吹いていたためボートが流されやすく、ワカサギの群れを見つけてもすぐに群れからボートが離れてしまう。このポイントでは、1~3尾と鈴なりにならないので、ボート屋主人のイチ推しの稲子沢川と発電所の間にある石を詰めた蛇籠が続いているポイントへ移動した。鈴木さんがエンジンを操縦してポイントに向かう。かなり距離があるので、大移動の時はエンジンがありがたい。
このポイントは沖側に向かって急激に深くなるカケアガリ。ワカサギの魚影は水深9~10mの急深のブレイクの上の段に居た。最初はやはり風の影響で群れからボートが離れてしまい多点掛けになりにくかったが、風が弱まると群れの中にいる時間が伸びて、多点掛けするようになった。
14本バリに5尾以上掛かることが増えてきたが、多点掛けを意識して、ワカサギが掛かった状態で長く待つと、スモールマウスバスに持って行かれる。戸塚さんにもスモールマウスバスが掛かってしまった。なんとかキャッチしようと頑張ったが、水面での激しいテイルウォークでラインブレイクしてしまった。水深8mくらいの浅場にはブルーギルも多く、木崎湖では、この2年ほどで大量に増えてしまったそうである。
ブルーギルの姿が減る水深9mの群れがワカサギで、大きな2年魚と小さな当歳魚が混在しているようで、鈴なりに釣れると、大小さまざまなサイズが掛かって来た。
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フワリと着底させるのが◎!
SUZUNARIの使い方にはコツがある。まずラインはナイロンを使うこと。PEも試したそうだが、ナイロンラインのほうが多点掛けになりやすかったそうだ。おすすめはワカサギ専用ナイロンラインのSUZUNARIで0.3、0.4、0.5号をリリースしている。戸塚さんは0.3号をメインに使っているそうだ。このラインは張りがあってアタリが分かりやすく、適度な伸びがあるため掛かったワカサギが外れにくく多点掛けさせやすい。
スピニングリールはラインを手で引けばユルユル出るくらいの緩めのドラグ調節がおすすめ。掛かったワカサギが外れにくく、大型魚が掛かってもライン切れを防いでくれるためだ。
オモリはオーナーばりの時短オモリ9g。鈴木さんは仕掛けの投入時にオモリがドスンと着底しないように、着底前にサミングしながらソフトに着底させているという。こうするとワカサギの警戒感が薄れてすぐに食ってくるという。アタリがなければ、一度大きくロッドをリフトさせ、テンションを掛けながらゆっくりもう一度底まで落としていく。
「今日はこのフォールでアタリが出ることが多かった」と鈴木さん。戸塚さんもオモリが着底する前に一度止め、ロッドを上に動かしてから、フワリと着底させているという。そのようにソフトランディングさせるとワカサギが散ることなく着底と同時にアタリが出るという。
さらに戸塚さんからは多点掛けさせるコツを教わった。「ワカサギが1尾掛かるまではしっかりと誘いを入れますが、1尾掛かったらそこでちょっと止めておきます。すると穂先がどんどんプルプルして重くなっていき、最終的にプルプルが止まった時点で私は上げます」
ワカサギが多く掛かるとその重みで穂先がしっかり曲がって、逆にプルプルという揺れは減るのだという。
14本バリに10尾以上掛かるとズラズラ感がたまらない。まさに鈴なりといったところである。
透明度の高い木崎湖では水温の高いボート釣りシーズンには空バリも効くとは言われていたが、14本バリを使う人はほとんど皆無だったことから、ここまでの多点掛けは遠目にも非常に目立った。
この釣り方で群れに当たれば100尾はすぐというのだからビックリである。芦ノ湖は12月20日で禁漁を迎えてしまうが、それまで空バリで釣れ続くという。木崎湖もボート店が閉店する11月中下旬まで通用するのではないだろうか。また、今回エレキはフットコンを使用したが、ハンドコンのほうはバック回転がすぐに入れられるのでシューティングには合っているかもしれない。
この秋はSUZUNARIロッドを使って木崎湖の鈴なり体験をしてみてはいかがだろうか。
戸塚さんと鈴木さんは半日と短い時間だったが鈴なりが楽しめて大満足
※このページは『つり人 2024年12月号』を再編集したものです。