久しぶりの小名浜は思った以上に活気にあふれていた。アクアマリンふくしまの営業が再開すればさらに観光客も訪れるだろう。そしてかつてロックフィッシュ天国と呼ばれた沖堤防には今、ショアジギングファンの嬌声が響き渡っていた。
やっぱりジグが釣れる!ようこそ!ショアジギ天国へ週末祝日限定のあれから10年
写真と文◎編集部
この記事は『つり人』2021年12月号に掲載したものを再編集しています。久しぶりの小名浜は思った以上に活気にあふれていた。かつてロックフィッシュ天国と呼ばれた沖堤防には今、ショアジギングファンの嬌声が響き渡っていた。
昔も今もターゲット目白押し
タチウオの面白いところはヒットパターンがコロコロと変わるところ。それでもジグは欠かせない
ヘチ釣りでマダイ・クロダイをねらう郡さんは黒友会の永塚さんとともに消波ブロックが少なくヘチ釣りがしやすい第1西防へ渡った。
一方、箭内さんは午前中からタチウオがよく釣れているという第2西防の1番で降り、先端の白灯付近へ。
先端は7~8人も入ればいっぱいの小場所だが、船長によればかなりの釣り客が昼便で帰るのでこれから空きだす頃とのこと。その読みどおり、昼便で堤防に渡る人の数の倍以上の釣り人が入れ替わりで渡船に乗り込んで帰って行った。
11時半の船で第2西防の1番へ。乗る人の数倍の人たちが帰るので堤防上はだいぶ空く
第2西防の内側は消波ブロックがなく釣りやすい
白灯前に着くといきなりタチウオ祭りが始まった
朝はタチウオやイナダも釣れたが良型マアジが数釣れたという
箭内さんと、茨城から通う浅野さん親子の計3人が先端に入るスペースは充分にあった。浅野健さんと政江さんは、息子と母という珍しい組み合わせのルアーファンで、開始早々にヒットさせたのは健さんだったがバラしてしまい、見事にメーターオーバーをキャッチしたのは政江さんが先だった。
息子さんと一緒にルアー釣りを楽しむ浅野政江さん。淀みないワンピッチショートジャークで見事なメーターオーバーを手にした
茨城から母と一緒によく小名浜沖堤へ釣行するという浅野健さん。この日も母に遅れること15分で良型をキャッチ!
常連の山崎さんは朝からヒットを続けた。魚が浮いているようであればすかさずミノーを投入していく
絶好調だったのは村木邦浩さん。朝から好調にタチウオを釣り、一服状態だったが、昼からまた食いが立ち、メタルジグでタチウオを連発したほか30cmを超すマアジもキャッチ。さらにはシャッドテールのジグヘッドリグでヒラメまでキャッチ。
「小名浜でのジグは30gと40gがあれば事足ります。ただ、ミノーやワームのほうが食うこともあるので3通りは用意したほうがいいですね。フォールを多用するタチウオに関しては細かなラインコントロールがしやすいベイトタックルが有利ですね」
タチウオは指4~5本がメイン。「タチウオのショアジギングはフォールで食わせる釣りがメインなのでベイトタックルがとっても使いやすいです」と村木さん
ベイトモデルのエクスセンスジェノスとエクスセンスDCの組み合わせ。ルアーはジグパラ40g
絶好調の村木さんはヒラメも追加。ジグヘッドのフックに刺さっているのは吐き出した未消化の小型タチウオ。タチウオもまた食われる身でもあるのだ
タチウオの泳層はコロコロ変わるようで、ジグ組が沈黙したかと思っていると表層付近のミノーで連発したり、ボトム付近をトレースしたワームのジグヘッドに食ってくる。
「みんな手を変え品を変えていろいろ使いますけど、どれかひとつとなったらやっぱりメタルジグが一番強い。なんたって飛びますし、表層からボトムまで全層探れるわけで、タチウオから青物、根魚やヒラメ、マゴチ、シーバスまで食わせられますからね」
とは箭内さん。その言葉どおり、釣れているのはタチウオだが、いつ青物のヒットがあってもおかしくはないので、スローなただ巻きにフォールを交えた釣りもすれば、ワンピッチショートジャークや表層の高速スキッピングも全員が試している。
1時間半ほどで全員のヒットシーンを撮影すると、今度は午後2時の便で第1西防へ移動してみた。こんなに釣れ盛っているのに移動するのはもったいない気もしたが、郡さんたちが釣れているかもしれないし、それより何よりヒラマサやワラサといった大型の青物は第1西防の先端がいいためだ。
午後2時の便で第1西防へ。こちらは内も外も消波ブロックがなくヘチ釣りもしやすい
タコ釣り専門の方が「まだシーズン始めだから小さい」と言いながら目の前で釣ってみせてくれた。テンヤにセットしたエサはザリガニだった
小名浜沖堤のルアー釣りの生き証人・箭内正直さんも本命をキャッチ。ヒラマサ、シーバス、アイナメなど多彩な釣りをする73歳。ちなみに小名浜沖堤でのメバルレコードは2018年の日中にワームで釣った40cm!
第1西防に渡ると郡さんが「こっちは全然ダメだけど朝からやっていた髙野君が赤黒1枚ずつ獲っていたのでストリンガーで生かしてもらっている」と。髙野さんは夏でも冬でもヘチ釣り専門で小名浜沖堤に通い、今期もふた桁以上のマダイをキャッチしているという。
結局この日は移動が裏目に出てしまったが、朝がいいときもあれば昼がいいときもあるし、第1の先端がいいときもあれば第2の付け根が食うときもある。内と外があり、チョイ投げの近場が食うときもあればド遠投でしか食わないときもある。
「どこが当たるかはわかりません(笑)。だから飽きないで通っているんです。昨日はあそこが釣れたからって今日はそうとも限らない。小名浜沖堤は多彩なシチュエーションがあるから、できたら荷物は最低限にしていろいろと探り歩くのがいいと思います。第2西防も今日は先端でしたがコーナー付近が火を噴くこともありますから」と箭内さん。
北関東から至近の東北の大堤防はまさにショアジギング道場。小名浜は港町も沖堤防も大賑わいだ。
多くのお客さんは昼や午後便で帰ってしまったが、午後5時の最後まで残っていたお客さんと記念撮影。タチウオ、シーバス、クロダイ、マダイ、イナダなどを手に皆さん満足そうな表情!
常連さんのジグケース。やはり30gと40gがメイン
汎用性の高い9~10ftのショアジギングロッドや張りのあるシーバスロッドを使ったスピニングタックルが一般的。PEラインは1号前後。リーダーはフロロカーボン4~12号までバラバラ。「12号でも歯が触れれば切られるし、ワイヤーにすると食いが落ちることもある」というから魚の活性やサイズに合わせて臨機応変に
40gのジグにヒットした体高のあるマアジ
釣ったマアジが吐き出したのは未消化のカタクチイワシ。意外とサイズはバラバラ。アジングタックルでアジを専門にねらっても面白いだろう
この日は不発に終わった郡さんも小名浜のマダイの強烈な引きに魅せられたひとり。70cmオーバーもヘチザオで手にしている
この日、郡さんがマダイねらいで用意したエサはこのサイズの食用フジツボ。「ロクマル、ナナマルのマダイの尻からこのサイズの貝がボロボロ出てくるからね。きっと効くと思うよ」と夢を膨らませる
乗船は第7埠頭から
共栄丸
●連絡先:TEL 0246・54・8545
●住所:福島県いわき市小名浜定西322-2
●営業時間。渡船は土日祝日のみ。午前4時から午後5時
●渡船料金:2500円(女性と中学生以下は2000円)
●交通:常磐道・いわき勿来ICからR289、R6を経て「大剣埠頭」の標識に従い臨港道路で小名浜港へ