久しぶりの小名浜は思った以上に活気にあふれていた。アクアマリンふくしまの営業が再開すればさらに観光客も訪れるだろう。そしてかつてロックフィッシュ天国と呼ばれた沖堤防には今、ショアジギングファンの嬌声が響き渡っていた。
やっぱりジグが釣れる!ようこそ!ショアジギ天国へ週末祝日限定のあれから10年
写真と文◎編集部
この記事は『つり人』2021年12月号に掲載したものを再編集しています。久しぶりの小名浜は思った以上に活気にあふれていた。そしてかつてロックフィッシュ天国と呼ばれた沖堤防には今、ショアジギングファンの嬌声が響き渡っていた。
タチウオ・青物はもちろんマダイも釣れる!
10年前。港近くにある共栄丸の店舗は二階まで津波で浸水し、多和田船長は釣り船を守るため、所有する2隻をロープでつないで沖に避難し、2日間を海上で過ごしたという。渡船を行なう共栄丸の店舗。1階部分は完全に水没し、泥だらけになった店内の掃除を箭内さんは2週間手伝ったという
震災からしばらくして営業を再開したが、渡船は土日祝日限定になった。本誌でもおなじみのヘチ釣り名手の郡雄太郎さんは1993年に初めて小名浜沖堤を訪れて以来、今も欠かすことなく毎年通っていると言い、しかも近年は夏から秋に通う頻度が高まっているという。
「ねらいはクロダイなんだけど、実はそれ以上にマダイが魅力なんだよね。仲間は、ヘチ釣りの合間にちょろっとルアー釣りをしてタチウオやサワラなんかを釣って楽しんでいるよ」
マダイもサワラも以前はあまり小名浜では見ない魚だったが、温暖化の影響か、やはり南の魚が北上しているようだ。
ショアジギングの取材であることを伝えると、「タチウオとか青物をねらっていっぱいやってるよ。マダイもヘチ釣りだけじゃなくてジグでも釣れるからね。ただ、土日限定だから朝イチは混み過ぎてヘチ釣りはやりにくい。昼からゆっくりがいいんじゃない?」と郡さん。
地元アングラーの箭内正直さんも「賛成です。朝マヅメが有望なんですけど、ここは昼でも釣れますし、夕マヅメにもチャンスがあります。夜明け前から渡しますから大半の人は昼便で帰ります。だから昼便で渡ると案外空いていて快適ですよ」と言う。
73歳にしてルアー専門の箭内さんは沖堤に渡ると一万歩は歩くという健脚のランガン派だが、この日は仲間たちとワイワイ楽しむ予定という。
風光明媚な小名浜港の親水空間
共栄丸では渡船のほか一つテンヤマダイの釣り船も出しているほどこの海域にはマダイが増えている
郡さんの知り合いで、常連の髙野祐一さんがイガイのダンゴでキャッチした50cmオーバーのマダイ。このほかクロダイも食わせている
小名浜港周辺は観光客で想像以上の賑わい
9月下旬の晴天の祝日。郡さんとともに、いつになくのんびりと東京を出発。常磐道を進めば2時間ほどでいわき勿来インターチェンジに到着。まさに東北の玄関口。都内からでもラクラクの日帰り圏内である。車窓から見える景色はまるで変わっていなかった。ところが共栄丸の店舗のある小名浜港に来ると景色が一変。
もともと水族館の「アクアマリンふくしま」や市場や食堂が軒を連ねる「いわき・ら・ら・ミュウ」などがある観光地であったが、その前に巨大なショッピングモールが完成して賑やかさが増していた。さらに港から海を眺めると長大な第1西防の中間部分の埋立拡張が進み、第3埠頭から小名浜マリンブリッジという巨大な橋が架かっていた。
「だいぶ変わったでしょ。第2西防はあんまり変わっていませんが、第1西防は先端の赤灯付近は撤去して短くなりました。大大西から先も拡張工事の関係で渡船はしていません。それでもこの規模の釣り場が残されていることに感謝です」と箭内さん。
早朝は受付待ちの釣り客が長蛇の列を作ることも多いという。小名浜港周辺の賑わいは想像を超えていた。
共栄丸の真正面に巨大な商業施設が完成していた
9月下旬、アクアマリンふくしまは臨時休業中だったが、10月から営業を再開。ますます賑わっているだろう。背後に見えるのが小名浜マリンブリッジ