田んぼに水が引かれ、カエルの合唱が響くころは、水路の小魚たちも生き生きと泳ぎだす。牧歌的な自然を愛でる、里山のタナゴ探検。その魅力を紹介しよう。
色鮮やかな日本の淡水魚を釣ろう!
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年7月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
田んぼに水が引かれ、カエルの合唱が響くころは、水路の小魚たちも生き生きと泳ぎだす。牧歌的な自然を愛でる、里山のタナゴ探検。その魅力を紹介しよう。
目次
- その1
- 多彩でマニアックなターゲットをねらう
- その2
- タナゴ探索の方法
- 食いしん坊なアブラボテ
- その3
- オヤニラミを穴釣りでねらう
オヤニラミを穴釣りでねらう
「帰り道に立ち寄れる兵庫の川で、オヤニラミを釣ってから帰りましょう」と記者に提案。
亀岡から西に向かい一山越えるとすぐ兵庫県。低い山々のほとんどが雑木林である。小さな集落の側を流れる小河川に入り、水溜まりのようなスポットで中西さんはサオを伸ばした。
オヤニラミのポイントの一部。減水時は川とのつながりがなくなるような水溜まりのような場所にも潜む。倒木や石の隙間、障害物周りを探るのがキモだ
「オヤニラミの釣り方は、カサゴやソイの穴釣りのようなイメージです」
小型のセイゴバリのチモトに割ビシの0・8号をセット。いわば小型のジグヘッドだ。キヂ(ミズ)をチョン掛けにし、隙間のある石の側や、藻の側でチョンチョンと躍らせ誘う。たちまちオヤニラミが飛び出すという。
オヤニラミの仕掛けはハリのチモトに割ビシをセットしたジグヘッド仕様。キヂをチョン掛けにする
川底で立つのがメリット
だが、オヤニラミは高水温期によく釣れ、夏が絶好機だ。4月下旬では時期尚早なのだが、この日は気温が高く浅場の水も温まっているはず。穴という穴をねらい撃つとブロック帯から魚影がスッと現われ、次の瞬間キヂを一飲みにした。
水面を割ったのはヒレがピンと張ったオヤニラミである。その体色や風貌は海の根魚によく似ている。一体どんな所に多いのか?
帰り道にある兵庫の小川でオヤニラミをねらった。独特の極彩色と根魚のような風貌が格好いい。「カワメバル」とも呼ばれる
「オヤニラミはカワムツの多い中上流域にいます。ポイントを捜す目安になるのがムギツクの存在です。ムギツクはオヤニラミの卵に托卵します。オヤニラミはナワバリ意識がく、他の魚を追い払ってくれる。その習性をムギツクは利用しているんですね」
今シーズン初というオヤニラミを愛で、念入りに撮影する中西さん。小川の小魚たちを巡る探検は、緑の濃くなるこの時期から一層輝きを増してくる。