「旧江戸川では季節を問わずクロダイが釣れます」と言う加藤さん。使いこなすルアーはプラグやメタルのハード系がほとんど。それはなぜか? 根が荒い釣り場でクロダイが口を使うレンジのキープ、スピードの調整をしやすいからだ。そしてなんと、この大都市河川で60cm オーバーも手にしている。ロクマル、いや70cm という衝撃の魚を夢見て使うハードルアー。その使用法に迫った。
流れのある河川でクロダイ(チヌ)を釣るには、ハードルアーが有利!
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年8月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
「旧江戸川では季節を問わずクロダイが釣れます」と言う加藤さん。使いこなすルアーはプラグやメタルのハード系がほとんど。それはなぜか? 根が荒い釣り場でクロダイが口を使うレンジのキープ、スピードの調整をしやすいからだ。そしてなんと、この大都市河川で60cm オーバーも手にしている。ロクマル、いや70cm という衝撃の魚を夢見て使うハードルアー。その使用法に迫った。
加藤 光一(かとう・こういち)
1973 年生まれ、山口県の周防大島出身。現在は東京湾奥のクロダイを一年中ねらい、厳寒期を除くほとんどの場面でハードルアーを使う。ほかにもテナガエビやウロハゼなどの小もの釣りも楽しんでいる
目次
ハードルアーは下げ潮に有利
レンジ、スピード、アクションの3要素はどのように合わせればいいのだろうか。まずレンジだが、基本的にボトム付近をトレースしていくことになる。底から10~20㎝ほど上をルアーが泳ぐようにリトリーブ速度や流れの強弱を見て調整するとよい。時おり底の起伏にルアーが当たる程度を目指そう。さらにこの3要素は魚の活性に応じて調整する。
魚の活性を知る手がかりのひとつは水温だ。夏に向かっていく中で水温の上昇はクロダイの活性を高くしてくれる。加藤さんのいう「活性が高い」とは釣れやすい、反応が得られやすいという食い気の立った状態だけではなく、魚の身体能力が高くなった状態も表わす。その時の魚の活性が高ければスピードは速く大きいアクションが効果的で、活性が低ければ反対に遅く小さくするのがよい。
鉄板バイブレーションのバイブレーションX ダイナレスポンスでこの日2 尾目をキャッチ
加藤さんの経験上、下げ潮で流れが強い時ほどハードルアーが効果的だそうで、下げ潮でも潮が緩い時や上げ潮で川の流れと相殺されて緩んでいる時はワームや前打ちが有利になるそうだ。
釣れる潮回りは大潮前の中潮のタイミングが有望で大型が出る、もしくは数が出やすいという。下げ始めから潮が利くまでの時間がベストとのこと。水の動きはひとつのキーワードになるだろう。
また、潮の流れ以外にも川のカーブやワンド、底の地形によってできるヨレなどは定番のポイント。また、カキ瀬や敷石沿いはもちろん、足もとにある敷石の傾斜の変化や窪みにも要注意。わずかな変化でも回遊してきたクロダイは留まることが多いので丁寧に探りたい。
敷石周りでよく見かけるベイトといえばテナガエビやハゼがメイン。これらのベイトは流れてくる流下物を食べに敷石などの隠れ家から飛び出す。ほかにもテナガエビは流れに乗って川を下ったり、ハゼは底から離れた位置で定位していたりする。クロダイはそういったベイトを探して回遊していると加藤さんは考えていて、そのイメージをハードルアーで表現しているのだ。
ブレードが背中についているのが特徴のソコッパで3尾目。ランディングはネットを使いたい
リリースは蘇生を行なってからでないと意味がない。目安はフィッシュグリップを噛んできたり、胸ビレをパタパタしたりすればOK
取材当日、加藤さんは釣れたルアーは使わないという縛りを自身に課していた。それでも各ルアーで1尾ずつ、合計5尾のクロダイを釣り人の多いハイプレッシャーな釣り場で釣りあげたのだった。旧江戸川のような根が荒く、流れが強い釣り場でハードルアーは効果てきめん。レンジ、スピード、アクションを意識して大型クロダイを釣りあげよう!
4尾目はトラビス7で。見た目はバイブレーションだが、中層やボトムをシンペンのようなアクションでスローに引けるのが特徴。濁りのなかでシルエットを目立たせるためにブラックを使用した
最後はシャッドのI x I SHAD TYPE-3 できっちりとキャッチ。合計5尾で締めくくった。どのルアーでもボトム周辺のレンジをフラフラとしたアクションかつゆっくりとしたスピードで泳がしてくるのがこの日のヒットパターンだった