出場選手のオールスターウイニングパターンを一人ずつ振り返っていきます。今回は浚渫のフットボールジグで3度優勝している河辺裕和選手です。
浚渫×フットボールジグで3度優勝
12月3~4日(金~土)の2日間にわたって開催する歴代のBasser Allstar Classic優勝者のみのトーナメント「KING OF KINGS」。出場選手が決定しました。◆オールスター「KING OF KINGS」の詳細はこちら!
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オールスター「KING OF KINGS」出場選手決定!
この記事では出場選手のオールスターウイニングパターンを一人ずつ振り返っていきます。今回は浚渫のフットボールジグで3度優勝している河辺裕和選手です。
河辺裕和選手
1995年、1999年、2006年(霞ヶ浦)ウイナー。史上最多タイ浚渫跡のブレイク攻略で河辺裕和選手が頂点に立った第9回大会
訪日参戦したゲーリー・ヤマモトの目の前で勝利を収めたのは、日本でゲーリーインターナショナルを仕切る河辺裕和だった。霞ヶ浦で開催された第9回大会もまた、前年のウイナーである本山博之を始め吉田幸二や宮本英彦ら霞ヶ浦の名手が、JBトッププロ勢を迎え撃つという図式になった。前年はW.B.S.の勝利、そして今大会は河辺が籍を置くJBの勝利という見方もできる。これもまた団体の垣根を越えたオールスタークラシックの魅力といえるだろう。
体調を崩してプラクティスを思うようにできずに大会に臨んだ河辺だったが、霞ヶ浦・北浦全域という広大な競技水域でワンデイ開催となったこの年のオールスタークラシックは当時、「究極のワンデイ・ビッグマッチ」と呼ばれた。そんな試合で勝つために必要なのは「今、この瞬間を釣る」能力。何かに導かれるように古渡の浚渫跡に入った河辺は、そのブレイクを1/2ozフットボールジグ+4inグラブで攻略。本人の予想優勝ライン「7kg」には届かなかったものの、表彰台に立った上位5名全員が6kgを超える大接戦を制した。
掲載は1996年3号
美浦の浚渫跡が「カワベブレイク」と呼ばれるようになった第13回大会
冬の足音が聞こえてきた11月21日、第13回のオールスタークラシックは過去に例を見ないほどタフな一戦となった。7尾のリミットを達成することができたのは、準優勝の並木敏成と勝った河辺裕和のふたりだけ。この結果から、1999年大会がいかに厳しい状況だったかが窺い知れる。河辺に2度目の栄冠をもたらしたのは、またも浚渫跡であり、ウイニングルアーもまたも1/2ozフットボールジグ、トレーラーは6inジャンボグラブだった。「世界一のフットボーラー」や「カワベブレイク(美浦の浚渫跡)」は今大会から生まれたのである。
勝った河辺の展開は楽なものではなかった。泉和摩がスタートダッシュに成功し、それを追った並木が7尾、8尾と釣って入れ替えを行ない、泉を逆転。そんななか、浚渫跡に張りついた河辺に訪れるバイトは非常に散発的だった。しかし、集中力を途切れさせず正午に手にした1200gと1000g超が、勝利を決定づけるまさにキッカーフィッシュとなった。
掲載は2000年2号
カワベブレイクが三度河辺裕和選手を優勝に導いた第20回大会
2006年のオールスタークラシックは11月25・26日に開催された。状況は極めてタフ。結果から書けば、優勝した河辺裕和でさえ、2日間計10尾のリミット枠のうち4尾を埋めるだけにとどまったほどだ。完全に冬へ移行したあとのほうが、タフではあってもスポットが絞り込めるだけにまだ釣りようがある。しかし11月の末となると、秋から冬への過渡期も終盤。バスのポジションはまだ定まっておらず、広く散っていた魚が最低気温4℃の冷え込みによって口を閉ざした。
この絶望的状況下で1日目をリードしたのは沢村幸弘。桜川、与田浦、鰐川から、ワンナップリングのネコリグとワンナップスピンで4尾・3240gを持ち帰った。一方の河辺はこの日、1尾・580gで12位に沈んだ。
明けて2日目、朝の凪いだ湖面を見た瞬間に、河辺はカワベブレイクへ勝負に走る決意を固めた。このプランを立てたのは前夜に天気予報を見たときだった。どう見ても朝のうちは風が吹きそうにない気圧配置。「もう、これは浚渫跡しかないと思った」と河辺は述懐する。
確信をもって河辺が美浦の浚渫跡に入るとき、「何か」が起こるのはもはやオールスタークラシックのセオリーといっても過言ではないのかもしれない。7時4分に伝家の宝刀フットボールジグ+6inダブルテールグラブで1200gを手にすると、立て続けに1300gと1500gが6inダブルテールフラグラブのキャロに食ってきた。ファーストヒットからここまで、わずか20分の出来事。
こうしてカワベブレイクは河辺にギリギリで逆転優勝できるだけのスコア(3尾・3990g)を釣らせると、その後パタリとバイトを途絶えさせた。それ以来、オールスターでのカワベブレイクは沈黙を静かに守り続けている。美浦の浚渫跡は今、何をどれだけ溜めこんでいるのだろうか。そして、その地獄の釜の蓋を次に開けるのもまた河辺なのだろうか……。
掲載は2007年2月号
このBasserオンラインでは、開催まで各選手のウイニングパターンを振り返る記事をアップしていきます。お楽しみに!
◆「KING OF KINGS」出場選手
Basser Allstar Classic優勝年順沢村幸弘 1988年
今江克隆 1991年、1992年
藤木 淳 1993年
河辺裕和 1995年、1999年、2006年
吉田秀雄 2000年、2011年
小野俊郎 2004年、2013年
橋本卓哉 2007年
赤羽修弥 2008年、2009年、2010年
小森嗣彦 2012年、2018年
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