「食わせの利くネコリグで、ストレスなくカバーも撃ちたい」 「根掛かりしたくないけれど、バスはしっかり掛けたい」 川村光大郎さんが編み出したスナッグレス・ネコリグは、矛盾していたこれらふたつの欲望を同時に叶えた。 この記事では具体的な使用方法を紹介させていただきたい。
スナッグレス・ネコの適正フックはこう選ぶ
Basser編集部=写真と文※この記事はBasser2013年9月号に掲載されたものを再編集しています
スナッグレス・ネコの構造 普通にラインにN・S・Sフックを結んでからこのようにセットする。セットする位置の目安としては、「これまでマスバリをチョン掛けしていた位置が、フトコロの中心(アイとフックポイントの中間)にくるように」と川村さん。「セットするときはハリ先を抜いてから戻すのではなく、ワームの厚みの半分くらいの位置に留めて、ハリ先をワームに埋めておいてください。しっかりアワせれば、これでも確実にいいところに掛かります」
近・中距離でメインで使い、スイープに強くアワせる
「このセッティングを思いついた当初は、正直フッキング性能については多少犠牲になると思っていました」
こう話す川村さんだが、ということは?
「むしろ、このスナッグレス・セッティングのほうが、従来式よりフックアップ率もキャッチ率も上です。サイトをしていて気づいたんですけど、食わせたい物(=ワーム)の中にフックが収まっている効果なのか、スパッと一発でバスの口の中に吸い込まれるので、フックまで食ってなくてアワせたらズルッと抜けてしまった、ということがほとんどなくなりました。これは魚を見ないで普通に釣っているときもいっしょです」
そうして掛けた魚のキャッチ率が上がるのは想像できる。N・S・Sフックは、当初から川村さんがオカッパリでの強引なファイトと抜き上げを想定して作ったフックだからだ。フッキング時は、バスの口内で最初にハリ先が立った位置からズレにくく、深いところに分厚く掛かることが多い。そのため、ファイト中のバレや抜き上げの失敗がかなり減少するのだ。
「ただ、製品化するとなって、まったく問題がなかったわけじゃないんです。いろんな人にテストしてもらった結果、意外に『貫通しない』という声が聞かれました。アワセの強さやタックルは使う人それぞれですし、何より『距離』が違うせいかな、と」
N・S・Sフック
N・S・Sフックの原型はオカッパリ用であり、川村さんは岸際のカバーなどを近距離から撃つ釣りを得意としている。つまり、川村さん個人が使用するロケーションではフッキングパワーのロスが少なかったのだ。
「ボートの場合は、ロングピッチなどで中距離からカバーを撃つケースも多いので、ラインが伸びる分フッキングパワーをロスします。そのことを考慮してワイヤー線径を煮詰め、フックポイントが露出しにくいように形を修正してN・S・Sフックは完成しました。結果的に小さい番手に関しては通常のスピニングタックルでもイケますし、僕もカバーを想定する必要がないときでも、ネコリグはいつもスナッグレス仕様で使っています。ゴミとかも引っ掛かりにくいのでストレスがないんですよ。実際に使ううえでのポイントはアワセです。瞬間的にバシンッ!とアワせる必要はありませんが、ラインスラックをしっかり巻き取った状態から、グイ~ッと力強くアワせてください」
川村光大郎さんがスナッグレス・ネコと並んでよく使うルアーのひとつがスモラバだ。とくに秋はスモラバの「マイクロピッチシェイク」が有効だという。Basser2016年11月号・特集「スモラバなんて!! 大嫌い!!」で詳しく解説しているのでぜひチェックして欲しい。
……次回、川村光大郎の答えはスナッグレス・ネコ:第4回
「ミスなく活用するための要点を押さえよう」
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バスの立場で考えてもみてほしい――ドタバタと何かが地面を叩く振動が水中へ伝わってきたあとで、ボチャン!と飛んできたエサっぽいモノに食いついたら、空気中に引っ張り上げられてしまった。同じことが何度か起こる。ドタバタの前に少し離れたところからバタンという振動も伝わってきた。バスは、ドタバタとバタンとボチャン!を危険を報せるサインとして学習する。サインというよりサイレンといったほうが正確かもしれない。
ドタバタはアングラーの足音であり、その前のバタンは車のドアを閉めた音、ボチャン!はルアーの着水音である。
アングラーはバスを釣りたくて水辺に立つのに、「今から飛んでいくのはハリが付いたニセモノだから食べちゃダメだよ」とバスに向けてサイレンを鳴らしてからキャストしていることがある。そういう矛盾が、川村光大郎の岸釣りにはない。
地に足を着けて釣るからこそのメリットを生かし、デメリットを逆手にとってバスの裏をかく。グッドサイズのバスをたくさん釣りたい川村光大郎が、試行錯誤を繰り返しながら体得してきたオカッパリの方法論と技術をまとめた一冊。
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2016/10/12