一誠(issei)でルアーデザインを担当する村上晴彦さんに、影響を受けたルアーを伺いました。バイブレーション編です
「ブザービーターの背中が見えた気がしたんや」
一誠(issei)でルアーデザインを担当する村上晴彦さんに、影響を受けたルアーを伺いました。バイブレーション編です
この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています
村上晴彦(むらかみ・はるひこ)
1968年生まれ。類稀なるセンスと柔軟な発想で、日本のバス釣りを大きく牽引してきた凄腕。一誠(issei)でルアーデザインを担当
一誠(issei) https://issei.tv/
こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓
目次
村上さんが着目したブザービーターの引き感
「Kグッドプランニング」でワームを出していた村上晴彦は「株式会社 常吉」を経て、現在は「一誠」で、ルアーデザインとプロモーションを担当している。その一誠を立ち上げる際、トレードマークとして描いたのが「グリーンクレイフィッシュ」というザリガニのイラスト。彼はルアーを作るなら、クランクではなくミノーでもなく、このザリガニの形のバイブレーションプラグを作ると心に決めていたという。その目標となったルアーが、バイブレーションの名品、ブザービーターだった。
インスパイアカスタムルアーズ/ブザービーター
全国でビッグバスを叩き出してきたバイブレーションの名品。由来はバスケットボールで、試合終了のブザーと同時に決まるシュートのこと
「もともとのきっかけは、知り合いにブザービーター使いがおった。その人に『ブザービーター使ってみたら釣れるよ』と言われて使ったら、釣れた。それが悔しくて(笑)。これに勝てるバイブレーションを作りたくなった」
釣れて悔しくなるという天邪鬼ぶりが、ある意味、村上晴彦という釣り人の真骨頂だろう。では、ブザービーターの何がそんなによかったのだろうか?
「ブザービーターのよかった部分? そんなことは決めない。ただブザービーターを引いてる時の引き感がよかったんだから、同じ引き感を僕のルアーでも感じ取れたらええわけや」
形状、構造、アクションに着目して、それをマネようという思考は浮かんでこない。着目したのは「引き感」だ。この直感的なコンセプトも彼が「天才」と評されるゆえんだろう。
「ただブザービーターを真似するだけなら、形から真似すればいいやんか。でも僕は、一誠の立ち上げの時期だったこともあって、どうしてもザリガニ型のバイブレーションを作りたかった。だから、オモリの位置も違うし、動きだって違う。でも、巻いた感じはブザービーターと同じにしようと思って、まずは引き感をちょっと強めにして、そこからいろいろと煮詰めていった」
同じ引き感のルアーを作る。これはかなりの難題に違いない。しかし、意外にもあっさりと、その引き感はクリアできてしまったという。謙遜しているのか、村上晴彦はそれを偶然の産物と表現した。
「偶然の産物やったけど、その瞬間にブザービーターの背中が見えた気がしたんや」
それが大きなモチベーションとなり、ザリバイブの開発に没頭した。すると、ブザービーターに追いついただけではなく、予想外の副産物まで生まれたと話す。
ザリバイブのシミーフォール。そして自己記録更新
「シミーフォールし始めた。これは勝ったと思ったね」
シミーフォールとはフリーフォール中にウォブリングするアクションのこと。抜群の安定感を誇るブザービーターはフロントへビーのウェイトバランス。それにくらべて、ザリバイブはセンターバランスなので、時にはイレギュラーな動きも見せる。しかし、そのセンターバランスが功を奏して、美しいシミーフォールを生み出したのだ。シミーフォールは人間の操作を加えないで起きる自発的アクションになる。それは、ある意味ネコリグで、動かしたワームが元の形に復元しようとする動きと同種の動きだ。村上によると、バスを釣るには、この人間の手を介さない動きが、大きな価値となる。ネコリグがヘコヘコと曲げたり戻ったりする動きと、リフト&フォールするザリバイブは、本質的に同じ動きなのだ。
「完成したザリバイブで、僕は自己記録のバスを釣った。64㎝の5700g。僕にブザービーターを勧めた人も、今はザリバイブをバンバン使ってるよ」
その知人が、ブザービーターよりもザリバイブをよく投げるようになった時点で、村上晴彦の野望は達成された。
一誠/GCザリバイブ
カチャカチャと音を立てながら、艶めかしいアクションでシミーフォールする、村上晴彦入魂のバイブレーション。人気も高い
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