奈良県・七色ダムで70cmオーバーのビッグバスがキャッチされた。キャッチしたのはイマカツプロスタッフの河野正彦さん。ヒットルアーは「アベンタクローラーRS」。詳細にこの時の状況を教えてもらった。
見えていたナナマルにアベンタクローラーRSでアプローチ。RS使いに隠されたキモとは!?
写真提供◎河野正彦さん
2024年4月30日、奈良県・七色ダムで70cmオーバーのビッグバスがキャッチされた。キャッチしたのは昨年4月上旬に七色ダムで開催されたJB TOP50開幕戦を優勝するなど、若手ながら実力を高く評価されているイマカツプロスタッフの河野正彦さん。ヒットルアーは自身の得意技であるハネモノ系トップウォーターの名作「アベンタクローラーRS」。すでに釣り方は河野さんのブログでアップされているがより詳細にこの時の状況を教えてもらった。
■河野さんブログ:河野正彦の「You Only Live Once」
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■河野正彦さんのタックル
ロッド:カレイドインスピラーレIRSC-611XMH グランドコブラRS(エバーグリーン)
リール:ジリオンSV TW 1000HL(ギア比7.1:1/ダイワ)
ハンドル:ZELOSマシンカットハンドル102mm (ZPI)
ライン:エクスレッド16Lb(東レ)
ルアー:アベンタクローラーRS (イマカツ)
JB TOP50実力派若手アングラーのハネモノ・サイトフィッシング
奈良県・七色ダムでは、今年3月27~29日に開催されたJB TOP50開幕戦でも藤田夏輝さんによってナナマルがキャッチされている。このときはプリスポーンの個体をパワーフィネスで手にしたものだったが、今回河野さんがキャッチしたのはスポーンを終えエサを求めて上流域に差してきたバスだと思われる。
河野「今の七色ダムは大半のバスがスポーンを終えた状況です。オスはベッドを守っていてメスはアフター。メスの中には、1回目の産卵の後にも卵を持っていて、エサを求めて回遊しながら次の産卵に備えているような“半プリ”の個体もいると思っています。この日は半プリを含めアフターのメスだけにねらいを絞って回っていました」
そんなテーマで北山川筋を釣り上がっていった河野さんは、お昼過ぎにレンタルボート店・バッシングロードの少し下流でそのバスに遭遇した。このエリアは川筋の沖側までフラットが広がる地形。普段はボトムが見えない水深だが、この日の七色ダムは2~3m減水していてフラットの水深は2mほど。さらにカレントも利いていた。
河野「岸を見ながら沖側も見れるボートポジションで流していたら、沖側の水深2mの中層をゆっくり泳いでいるのを見つけました。ボトムべったりでもなく表層でもないちょうど真ん中くらいの中層で、流れの中にほぼステイするようにゆらゆら泳いでいました。このエリアには稚アユがいっぱいいたので、そういったベイトを食べにきた半プリの魚だと思います」
このとき、バスとボートの距離は20mくらい。バスがこちらに気づく前に急いでルアーをキャストしなければチャンスはない。しかし、河野さんのブログにも綴られているように、水面が反射でぎらついていてボトムが見えず、水面以外では完璧なプレゼンテーションができないと判断した河野さんはアベンタクローラーRSのタックルを手に取った。
河野「水面で誘うルアーとしてピクピクも頭に浮かびました。ですがピクピクはアピールが弱くて、バスの近くに投げないと気づいてもらえない。このクラスのバスだと着水音で逃げられてしまうと思いました。ルアーの存在感で遠くからでも気づいてもらえるアベンタクローラーRSを選びました」
キャストからヒットまでの一部始終は河野さんのYouTubeで公開されているので、まずはこちらをご覧いただきたい。
この動画に隠されたキモを河野さんに解説してもらった。
河野「ルアーの着水にバスが絶対気づかないところまで遠投したかった。バスとボートの距離が20mくらいだったので、その倍くらい飛ばせるように上流側にキャストしました。着水したらゆっくり巻きながら、バスの顔の前3mを横切るように、ルアーを流れに乗せてリトリーブしてきました。スピードはアベンタRSのボディーがゆらゆら左右に傾くだけのスローです。バスがルアーに気づくとゆっくり近づいてきたので、リトリーブスピードを上げて食わせました」
河野さんが実践した重要なテクニックがふたつある。
ひとつ目はキャストだ。河野さんはバスにルアーの着水を気づかせない距離まで遠投している。しかも、ドリフトさせて巻いてきたときにバスのほうからルアーに気づいてくれる範囲を通過するように(この場合はバスの顔前3m)、流れとアベンタRSのリトリーブスピードから逆算したところに着水させている。
ふたつ目はバスに口を使わせるためのスピードアップだ。
河野「バスが気づいて近づいてきたときに、じわじわと巻きスピードを上げて食わせました。スピードの変化はルアーを見ていなければわからないくらいのゆっくりです。こうするとだんだん波紋が強くなって見切られにくくなります。ハネモノはチェイスが多いルアーで、見切られたりリアフック1本掛かりでバレてしまったりがよく起きますけど、この食わせ方に気づいてからフロントフックに掛かるようになったので、必ず実践しています」
今回のヒットルアーのアベンタクローラーRSは河野さんが三原直之さんからもらったものだという。写真を見るとひとつの個体をかなり使い込んでいる様子。このルアーにも何か秘密があるのだろうか?
河野「この時期に限らず、存在感が強いけどゆっくり焦らしてバスを誘えるのがこの釣りの強みです。遅いのによく動くのが大事で、遅ければ遅いほどいい。アベンタRSはボディー素材が桐で浮力が強いこともよりスローに使える理由です。個体ごとに当たりハズレがあるのでは?とよく聞かれるんですが私は気にしてないですね。自重は24~28gくらいの範囲で個体差はあって、軽いほうがいいと言われがちですけど私が使っているのは25gくらいです。手元にある個体を大事に使っています。ただしチューンはしていて、ハネを固定しているネジとヒートンをギリギリまで緩めて使っています。チェイスしてきたバスが見切るかどうかは音質も関係していると思っていて、今回、このサイズのバスが口を使ってくれたので効果はあったと思います」
タックルはハイギアのリールにフロロカーボンラインの組み合わせだった。この理由は?
河野「バレやすいルアーなのでハイギアのリールが有利です。ルアーを見て操作ができるので、ハイギアでもスローに巻くのは難しくありません。フロロカーボンのラインを使っているのはルアーの頭を下げて巻きたいから。そのほうがルアーのアクションがよく出ます」
河野さんは2019年のJB生野銀山湖第4戦とNBCチャプター北兵庫第3戦を優勝しているが、そのときのウイニングルアーもアベンタクローラーRSだ。自身のブログでも「1番使い込んで、1番釣ってて、1番大好きなルアー、アベンタクローラーRSでナナマルが釣れるなんて嬉しい通り越してもう言葉に表せない感情」と綴っている。
実は2024年5月末発売のBasser7月号の特集はハネモノ! そして河野さんのハネモノの釣りもより深く掘り下げる記事も掲載予定! 乞うご期待!