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編集部2016年10月8日

西山徹が見出した冬バスねらいのノウハウ

Basser バス釣り

温故知新でひも解くバス釣り(第3回)西山徹が見出した冬バスねらいのノウハウ

なお、この記事が書かれたのは37年前であり、ルール、マナー、テクニック面で現在の常識と一部外れる部分がありますが、原文のままで掲載しています。どうぞ、そのことをご了承のうえお読みいただき、当時の西山さんが考えたこと、感じたことに触れてみてください。

温故知新でひも解くバス釣り(第3回)

西山徹=文

この記事では、『Basser』が創刊される以前、1979年から1981年にかけて月刊『つり人』で連載された「FLY & LURE 今月のおすすめフィッシング」を掲載する。 筆者は我が国のルアー&フライフィッシングのパイオニア、故・西山徹さん。 これは、今日のバスフィッシングの理論やテクニックが形作られる途上で、自らの頭で考え、方法論を確立していった西山さんの試行錯誤の記録である。


筆者プロフィール
西山 徹(にしやま・とおる)
1948年、高知県生まれ。日本大学農獣医学部水産科卒業後、ダイワ精工(株)勤務。1983年から『THEフィッシング』のキャスターとして活躍したのち、フリーのフィッシングライターとなる。『つり人』へは1973年から寄稿。国内の魚類資源の減少を憂い、ルアー&フライフィッシングでのキャッチ&リリースを70年代後半から強く訴え続け、定着させた功績は大きい。1988年には、Basser ALLSTAR CLASSIC第2回大会に出場。ルアーフィッシングに関する著書多数。2001年に惜しまれながらこの世を去る。


今回の内容を簡単に……冬バスをルアーでねらう人がまだ少なかった時代、西山徹さんは2シーズンをウインターバスフィッシングの研究に費やしました。この記事では西山さんがこれまでに得たウインターバスフィッシングのノウハウを、トップウォーターでの釣りをボトムスレスレで再現することだと説明しています。

さて、ウインターバス・フィッシングのノウハウを明かそう


 今月は、ハードな実践よりもソフトなインドア・フィッシング、たとえば80年代の釣り……なんてテーマを考えていた。ところが編集部のブロンソン氏(鈴木氏)は、ウインターバス、それもルアーからノウハウまで解説しろとせまる。正直なところ、ウインターバスのノウハウは、ポクが試してみただけでも1冊の本になるほどボリュームがあって、とても誌面でご理解いただけそうにもない。でも、すでに紹介した断片的な記事だけで成果を得ているアングラーも存在するみたいだ。

 釣りのノウハウは、ちょっとしたヒントから確立される例が多い。しかし、1つのノウハウには許容範囲があってある条件下でしか、その絶大なる効用にはあやかれない。ウインターバスのノウハウは、1つの原則に集約することもできるが、釣り揚とその条件による応用と展開が重要であることはいうまでもない。ここにのべるノウハウをそのまま通用(といっても、解釈により必ず読者個有のアレンジがある……)したとしても、まず好成績はおさめられないだろうと想像できる。

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トップウォーター・フィッシングを湖底でやる、と考えてほしい

 昨今の流行で、トップウォーター・ゲームの呼吸は多くのバスフィッシャーが理解できたはずだ。ボクのノウハウは、同じ原理を湖底スレスレに再現するだけのことなのだ。バスは、連続的なルアーリトリーブよりも、断続的なゴーストップにより激しく反応することがある。生物らしく元気に泳ぐルアーよりも、ラインテンションすら一瞬失い、ポコンと浮上して静止した、ドラッグフリーのプラグにアタックすることが、事実ある。

 冬のバスは、スーッと泳ぎ上がろうとしかけたプラグが突然停止し、目の前に現われたら、反射的に食いついてしまう事実にボクは気がついた。ここでむずかしいのは、食いついたバスが急激に走るとか、突然向きを変えるということが少ない点だ。ガブッと食いついたバスは、次の瞬間、パッと口を開いてルアーを吐き出してしまうようなのだ。つまり、トップウォーターにガバッとでるが、なかなかストライクさせられないという、あの状態を連想していただきたい。トップウォーターはバスのアタックを目で見ることができるからいい。もし、まったく見えなかったならば、ストライクの確率は激減してしまうだろう。

 ここで、ボクの冬のバス釣法をアンダーウォーター・フィッシングと命名するならば、「アンダーウォーターでは一瞬のバスのストライクを、つぶさに見ることができない。季節風の中で、湖底スレスレでの一瞬のバスのアタックを、いかにすばやく感知し、アワセをするかが最大のポイントになる。いい日には連続ストライクがとれる反面バイオリズムか狂うと、まるで乗らないことがよくある。グラファイトロッドの先端と、そこからのびた蛍光ラインが頼り。その先は、もうヤマカンに近い。ちょうど、フライのニンフフィッシングみたいなものだ。

ウインターバスには、どんなルアーを使っているのか……


 4~6m層のランカーゾーンをねらうなら1オンス前後のジグもいい。3m前後の層をねらうならティープダイバーのクランクベイトを超スローでリトリーブする方法もよい。いずれも、アメリカの文献に紹介され、バスプロたちが実際に行なっている方法だ。ボク自身、この方法はさんざん試したし釣果もかなり得た。しかし、ボートの真下をジギングする1オンスジグには日本のバスは小型が多過ぎる。クランクべイトは、驚異的な効果を得ることができなかった。また、これらの方法は日並みにより大きなムラがでる。

 秋以降、バスは激しくミノーフィーダー化する。厳寒期、食欲を失いかけても、まだミノーフィーダーのクセが抜けきらないでいるのではないか……。

 冬は水の透明度が高い。音や振動、トリッキーな形のルアーで攪乱戦法にでても、バスは容易にルアーを見抜いてしまうのではなかろうか……。多くの試行錯誤を経てたどりついたのが、まず市販のシンキングミノー11cm。かなりの期間、このミノーで連続ヒットを得たのだが、ある日、行きづまった。ヒットさせられないから、もっと底スレスレに引くと、根掛かり。残るは、やはり根掛かりでリップの折れたシンキングミノーだけになる。このリップなしシンキングミノーを超スローにチョン、スーッと引き始めると、とたんに連続ヒット。リップの抵抗がないために、かすかなアタリがよく分かるのだ。『そうか、激しい泳ぎは関係ないんだ。スローに泳ぐ小魚は、尻を振らないじゃないか』とひらめく。ところが、この方法も水温の低下につれて行きづまりを迎える。次の日、自宅の風呂でシンキングミノーを沈めてみる。ボクは、バスになりきって考えた。バスは、明らかに沈む途中でアタックしている。再びミノーを沈めてみる。ホーローバスの底にコチンと音を出して沈む。『そうだ、ミノーの沈降速度を変えてみよう。こいつは速過ぎる』。

ハンドメイドはめんどうなので、フローティングミノーを改造する

 ルアーのストックをあさると、数がまとまったのはレベルミノー9㎝が4個、ロビンが9個。ドリルでリップのすぐ後方に穴を開け、ガン玉を4個、5個、6個と入れ、セメダインを流し込んで頭を下にして力ーテンレールにぶら下げ、乾燥する。風呂でテストすると、頭からスーッと沈む。いいぐあいだ。リップを取ってみると、レベルミノーはないほうがイメージが合うがロビンたるや、リップがあろうがなかろうが、まるで変わらない。こいつのリップは固いからこのままでいいやと、以後、ロビンのリップを取るのはめんどうだからやめた。ところが、このロビンが当たりに当たったから皮肉だ。余談になるが、ロビンは僕がダイワ精工に勤務していた頃、銀山湖用にと開発した因縁のルアーなのだ。ロビン大当たりの理由は、ボクの通うポイントのバスが光沢の強い銀色のミノーにすれてしまったことによる、と考えている。というのも、ほかの新しいポイントでは、銀色のミノーがよく当たったからだ。すれていないバスは、光沢の強いルアーに当初よくヒットする。

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 この改造ルアーで最も大切なポイントになるのは、いうまでもなくウエイトコントロールだ。使用するラインの太さ、ラインが受ける風の抵抗、ポイントの水深に応じて、異なる沈降速度、重量のルアーが必要になる。湖底にひそむバスの目前に、頭からスーッと落ち込む。時にはゆるやかに、ある時はすばやく。この使い分けは、数尾のバスを短時間にヒッ卜させてみなければどれが最適か分からない。

よきルアー製作者とのめぐり合い、そして期待!

 最近ボクは、本誌でもおなじみの鮎川氏(※サイト・ビー注:ハンドメイドルアー制作者としてつり人に登場していた鮎川昭信氏)とコンタクトを得た。彼は若きルアー製作者で、バスをよく理解している。真にバスを、そしてバスゲームを、ひいてはルアーを理解するには、ルアーの自作は1つのよい方法である。ボクも自作するが、めんとうがり屋で熱心さに欠ける。ただ、ひたすらバスを釣るうちに、市販品からその場のイメージに合うルアーを発見できないことがある。ルアー作りのすべてを知っていたら、すぐにでも作りたい衝動にかられるほど、決定的なルアーのイメージが、そんな時には脳裏にあるのだ。

 鮎川氏との出会いによって、ウインターバス専用のシンキングミノーがまとまりつつある。試作第1号は完成し、今、ボクの希望を加味して2号、3号の製作が進んでいる(※サイト・ビー注:この試作品をもとに作られたのがミスターブロンソンというシンキングリップレスミノー)。今日は11月の末、もう数週間で、このルアーの真価を問う9℃以下の水温を迎えようとしている。今年は各湖とも水位が高い。そろそろバスの聖域さがしを始めなければなるまい。『昨年とはかなり違うな』というのが、今の実感だからだ。

 最後に、このミノーを使うタックルを簡単に紹介しておこう。あくまでもボクが実際に用いている道具なので、誤解のないようにしてほしい。

 ロッド=ダイワGF・12
 リール=ファントムG×・3
 ライン=ゴールデンストレーン8Lb(ルアー直結)。

掲載はつり人1980年2月号
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バスフィッシングの基本から最先端のテクニックまで。最新号は冬バスにも有効なスモラバ特集を掲載。

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2016/10/08

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