Basser2015年10月号「Strategy of Distance」特集号では、レジットデザイン鬼形毅さんがロッドの性能とガイドとの関係を解説している。 一見すると抵抗が大きそうな小径ガイドと飛距離の関係についてディープに掘り下げてもらいました。
ストリッピング(バット)ガイドの役割とは
Basser編集部=写真と文
ストリッピングガイドの役割が大事
―― ラインを収束させる思想を取り入れた多点小径ガイドセッティングの恩恵はスピニングロッドで一番感じました。1/32ozのジグヘッドリグがブレずに気持ちよく飛んでいきました。
鬼形 スピニングロッドでも上手に早めにラインを収束させてあげれば、ティップからベリーまで同じ径の小さいガイドを乗せられる。
そのうえで飛距離を伸ばすことを考えたら、ラインを収束させるストリッピングガイドのセッティングが大事。本来なら、リールのスプール径やリールフットの高さからくるスプールの位置も考えて最適な位置を探さないといけない。だから、2000番サイズをセットするのか、2500番サイズをセットするのかで違ってくる。それをどうやって決めるかといえば、このパワーのサオなら一般的には3Lbフロロの使用がメインになるから、2000番が来るだろうというふうに考える。
ワイルドサイドWSS-ST61UL “Solid Tip Model”
6ft1in、ULパワー、ソリッドティップモデル。ワイルドサイドのガイドセッティングは多点小径の「収束型」ガイドセッティング。WSS-ST61ULは、ストリッピングガイドから3つ目までのガイドでラインを収束させるシステム。これによって、ティップからベリーにかけて同じ大きさの小径ガイドを並べることができ感度やリグの操作性がアップしている。同じスピニングロッドでも用途によってセッティングは異なる
今、手もとにあるワイルドサイドWSS‐ST61ULはストリッピングガイドに20㎜径をつけて、バットから3つ目までで収束させるセッティングにしている。これがもう少し硬いサオで太いラインを使うのが前提なら少し大きな径をつけたり、でもそれがPEラインがメインになるサオなら大きくしなかったり。あとはライトキャロとかある程度ウエイトがあるリグを遠投する場面があるサオは、早く収束させようとしてしまうと初速を殺してしまうから4つのガイドで収束させるというようにセッティングを変えている。
だけど、これが遠投に特化したセッティングなのかというと、そうではないから誤解しないでほしい。飛ばしたいだけなら「重たいルアーならティップのガイドが大きい方が飛距離を稼げる」という意見も正しい。だけど僕は飛距離よりももっと大切な、ラインスラックをうまく操作できたり、感度が向上したりというメリットに重きを置いてセッティングしたいんです。
「飛べばいいってもんじゃない」っていう思いがロッドの作り手としては大いにある。
飛べばそれでいいの?
―― もし遠くに飛ばせるだけのロッドを作ったとしても、バスロッドとしての性能に疑問が出てしまうということですか?
鬼形 遠投するためのガイドセッティングって、たとえばディープクランクの重心移動システムと同じだと思う。ディープクランクって遠くに飛んだほうがいいから重心移動をつける。でも、それによって失う性能もあるんです。シャロークランクなんて、むしろ固定ウエイトのほうがいいとされる場合が多い。それはヒラ打ちの後の立ち上がりのよさだったり、アクションのキレだったり求められている性能があるから。だけど、ディープクランクの場合はそれよりも、プロダクティブゾーンを長く引けるとか向かい風でも投げやすいというメリットを重視している。
ガイドセッティングもそれと同じで、たとえばガイドを1個減らして、40mだった飛距離が42mになったとする。たしかに飛んでいるけど、それによって失ったものはないのかと考えないといけない。ガイドセッティングで一番大事なことはそこなんですよ。少なくとも僕は、ロッドをきれいに曲げるためのガイドを減らしてまで、もしくは径の大きなガイドをつけてロッドを重くしてまで、飛距離を求めたいとは思わない。飛距離が伸びたとか感度が上がったとか、そういう一元的なものばっかり見るんじゃなくて、トータルでロッドの性能が上がる方向に持っていかないとダメなんです。で、そのサオの評価項目のなかで飛距離が占める割合が大きいなら、そこで初めて飛ばしやすくするセッティングを考えましょう、という話だと思う。
Basser最新号、2018年2月号は12月26日発売!
今号は、SHAD(=ニシンダマシ)が生息していない日本で広く浸透した「シャッド」を特集。
通年シャッドを使いビッグバスを手にしている山木一人さんのシャッド論に始まり、福島健さんと木村建太さんがシャッドとクランクベイトの境界線を語る対談、折金一樹さんのフック考、五十嵐さんのPEライン戦略など、シャッドを多角的に掘り下げます。
また、編集部員がシャッドについて気になることを徹底検証。さまざまなシャッドを水槽で泳がしてアクションの質やピッチ数を計測したり、巻きスピードによる釣果の差を調査したりと、釣行に役立つヒントが満載です。
不定期連載「イヨケンのCar Top! Go Top!」では、伊豫部健さんが高山ダムにエレキオンリーのジョンボートスタイルで臨みます。
新連載「ぶっつけ初場所ATTACKER」では、並木敏成さんによる冬の三島湖チャレンジ「前編」をお届け。初めてのフィールドで何を考え、どのように釣りを組み立てていくのか。並木さんの理論的な考察は必見です。
そしてB.A.S.S.エリート史上、最年少でAOYを獲得したブランドン・パラニュークのロングインタビューや、オールドルーキーとして今シーズンに臨んだ「住所不定45歳」、ジェイミー・ハートマンの秘話を掲載。さらに来期B.A.S.S.エリートに参戦する深江真一さんの15年目の渡米(成田空港でのインタビュー)や、青木大介さんのアメリカへの思いなど、オフシーズンの注目ネタまで満載でお届けします。
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2018/01/09