ポッパーをはじめとするトップウォータープラグに装着されている、ルアー用のフェザーフック。今回は、ルアー用フェザーフックの代表的なマテリアルと、実際のタイイング法を解説
フェザーフックの代表的なマテリアルと、実際のタイイング法
解説◎嶋崎了
この記事は『Basser』2021年9月号ポッパー特集号に掲載したものを再編集しています。Basserのバックナンバーは定期購読をお申し込みいただくとデジタル版バックナンバーが4年分以上読み放題! 詳しくはこちらをどうぞ!ポッパーをはじめとするトップウォータープラグに装着されていることが多い、ルアー用のフェザーフック。「フェザーフックって、もっといろいろパターンがあっていいのでは?」と新たな可能性を提示してくれたのは、フライフィッシングのエキスパート・嶋崎了さん。フェザーフックに応用可能なフライマテリアルやタイイング法も教えてもらいました。
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この記事の内容
嶋崎了(しまざき・りょう)
東京都出身、在住。株式会社ティムコ勤務。姉妹紙『FlyFisher』ではおなじみのベテランフライフィッシャー。高校生の頃から20代前半まではバスフィッシングにのめり込み、ハンドメイドルアーを作るほどまで。ティムコ社に勤務してからはフライフィッシングをメインに製品開発を手掛ける。
フェザーフックのマテリアル①ハックル
よく動き、ブレーキ力も高いニワトリの羽。部位は、頭から首にかけて生えている「コックネック」がもっとも適しており、実際多くのポッパーに採用されている。ストーク(中心を通っている骨のようなもの)が先端に向けて細くなっていて、全体的に張りがある。フライタイイングでも使用頻度の高いマテリアルで、比較的安価に入手できる。「今現在市場に出回っているポッパーの多くで使われていますね。しなやかで柔らかく、水中でゆらめきます。吸水量も多いので水噛みがよく、移動距離を抑える役割も持ちます」
ストークが長く、ファイバーが短いものはポッパーには向かない。水流を受けて動きを出すためには、ファイバーが長いものが望ましい。「ウエッピー部分が多いものはよく吸水するので、水噛みがいいです」。同じニワトリの羽でも、背中からお尻にかけての“コックサドル”は張りがないので水中であまり動かない
2種類の色のハックルを巻き留めたチャグペッパーRS(ティムコ)
フェザーフックのマテリアル②マラブー
艶めかしい動きは唯一無二本来はアフリカハゲコウという鳥の尾の下のフサフサした羽を指すが、現在は捕獲禁止となったためターキー(七面鳥)、ダチョウから取ることが多い。わずかな水流にも敏感に反応する艶めかしい動きが特徴。水中ではボワッと広がるように思えるが、実は線のように細くなるのだという。「ストリーマーという小魚をイミテートしたフライパターンに使われることが多いです。張りがなく軟らかいのでブレーキ性能は弱いですが、動きはマラブーにしか出せない艶めかしさがあります。ポッパーにはあまり使われていないみたいですが、全然アリだと思います」
マラブーをフロントフックに採用したデックスポッパー66(バークレイ)
フェザーフックのマテリアル③バックテイル
動きは控えめだがしっかりとしたブレーキ力ポップRに使われているマテリアルで、ホワイトテイルディアというシカの尻尾の毛。ハックルに比べると水中での動きは硬く、ルアーの抵抗となり移動距離を抑える役割を持つ。
最初期の型からバックテイルが使われていたPOP-R(REBEL)
フェザーフックのマテリアル④ティンセル
組み合わせでフラッシング効果を出したいときにフライショップではフラッシャブー、クリスタルフラッシュ、といった名前で売られている人工の素材。フラッシング効果を生み、ハックル、バックテイルと組み合わせて使われることも多い。
ティンセルだけで構成されたジレンマポッパー(イマカツ)
バックテイル+ティンセルのポップンイメージ(ヘドン)
ハックル+ティンセルのマグナムPOP-R(REBEL)
フェザーフックの巻き方 タイイング方法
現在フェザ-フックでもっとも多く用いられているハックルを使って、嶋崎さんにトレブルフックのフェザーフックタイイングを実演していただいた。用意するものはバイス、ボビンホルダー、スレッド、ハサミ。フライタイイングと比べて、そこまで難易度の高いテクニックは必要としない。是非挑戦してみては?フック │スティンガートリプルフック(オーナーばり)
スレッド│ベネッキ ウルトラストロングスレッド #12/0(ティムコ)
タイイングバイスは安いものだと3000円程度~購入できる。ボビンホルダーも単体で購入可能(500円程度~)。スレッドはポリエステル製のものが扱いやすく、太さは#8/0 ~#12/0を使用。数字が大きくなるにつれて細くなる
▼ボビンホルダーにスレッドをセットし、下巻きを行なう。シャンクにスレッドを交差させ、アイのすぐ後ろから巻き始める。フックポイントと同じくらいのところまで進んだら、スレッドの余りをカットし、シャンク前方1/3 まで巻き戻しておく
▼ハックルの下処理。できるだけ長さが均等なファイバーを選び、6本むしる。2本を手に取り、羽が軟らかい下の部分は不要なのでこちらも手でむしる
▼ファイバーを2本重ね、フックとフックの間にシャンクと水平になるように置き、スレッドで巻き留めていく。この作業を3ヵ所で行なう。このとき、ハックルの表側を内側にしておかないと、巻き留めたあとにハックルが外側を向かず、動きが悪くなる
▼アイ側に飛び出た余りのストークを折り返して巻き留めたら、再度アイ側にスレッドを戻す
▼アイの根もとでハーフヒッチを行なう。ここではウィップフィニッシャーというハーフヒッチ専用のタイイングツールを使っている
▼余ったスレッド、後方に折り返したストークの余りをカット
▼瞬間接着剤で巻き留めたスレッドをコーティングして完成
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