大津清彰さんと川村光大郎さんが気になる15種のソフトベイトをピックアップし、ミドスト時のアクションを徹底的に水槽で観察!「釣れるロール」の秘密は暴かれるのか!?
ミドスト賢者のふたりが15種のルアーアクションをインプレッション!
編集部=文
この記事は『Basser』2022年5月号スト系特集号に掲載したものを再編集しています。Basserのバックナンバーは定期購読をお申し込みいただくとデジタル版バックナンバーが4年分以上読み放題! 詳しくはこちらをどうぞ!大津清彰さんと川村光大郎さんが気になる15種のソフトベイトをピックアップし、ミドスト時のアクションを徹底的に水槽で観察!「釣れるロール」の秘密は暴かれるのか!?
この記事の内容
- バスの気持ちになって観察してみました
- スタッド5in(ギャンブラー)
- スティーズリアルスラッガー3in(ダイワ)
- フラッシュJ3in(フィッシュアロー)
- PDLスーパーリビングフィッシュ3、4in(ティムコ)
- シャッドシェイプワーム3、4in(ティムコ/ゲーリーインターナショナル)
- ジャスターフィッシュ4.5in(ゲットネット)
- バスエネミースティック4in(エバーグリーンインターナショナル)
- デスアダー4in(デプス)
- ファンタスティック4.8in(レイドジャパン)
- ライアミノー3in(一誠)
- ヴィローラ2.8in(ディスタイル)
- フリッシュ3.5in(ボトムアップ)
- マルチシャッド4in(シグナル)
- ハドルスイマーエラストマー4in(イマカツ)
- グリマー6(ティムコ)
- "釣れるロール"は形状だけでは決まらない
川村光大郎(かわむら・こうたろう/右)
1979年生まれ。ボトムアップ社代表。ブルスホッグやヴァラップスイマー、スクーパーフロッグなどのヒットルアーを開発。その経験から、ソフトベイトの形状がアクションにもたらす変化について鋭い観察眼を持つ。
大津清彰(おおつ・きよあき/左)
1979年生まれ。ティムコ社に勤務し、ルアーテストで月の半分はフィールドに繰り出す。アングラーとしても、相模湖や津久井湖などのハイプレッシャーレイクにおいてミドストで釣りまくっている。本誌巻末にて、「マッチザベイト学概論」を連載中。
"釣れるロール"は形状だけでは決まらない
検証では、おもにロールの振れ幅を見てきたが、そもそもなぜ、ロールするルアーは釣れるのだろうか?
大津「正直、これはよくわかりません……(笑)。でも、ヘッドがブレてしまうロールアクションは釣れない。これは間違いなくそういえます。ライブスコープを見てると顕著にわかります」
川村「ボクもそう感じます。上下動させてしまうと釣れない。やっぱり水平姿勢を保ってロールするアクション。これが釣れる。無防備に通過させるイメージです」
形状だけでいえばロールしやすいのは断面が丸型のルアーだが、それだけだとシルエットの変化が起こらず、バスにとっては魅力的に映らない。
川村「ロールしやすければいいってわけでもないかな。筒状だとクルクル回っても形は変わらないし、単調で機械的に見える。ロールしたときに形状が変化したり、クネリをともないつつフラッシングすることで、ナマっぽさが増します。かといって、縦扁平にしすぎると、ロールしなくなる。そのバランスですが、個人的には、やや丸みを帯びた縦扁平が、ロールさせやすく、見え方も好みです」
大津「僕は、ミドストを〝最弱の巻き物だと思っているんです。つまり、バスが見つけて、追わせて食わせるもの。そのためのフラッシングや、ボディー全体の複合的な動きが重要です」
ロールの中に、なんらかの変化が加わる必要があるということだ。検証の結果を振り返りながら、「釣れるロール」に欠かせない要素を改めてさらっておこう。
◎形状によるシルエット、色調の違い
扁平型のルアーは、体側と背中が交互に見え隠れすることになるので、シルエットに変化が生まれる。
丸型の断面はロールしやすいが、シルエットに変化が生まれない。しかし、内部に反射板を入れたり、体表をカラーリングするなどして色調変化を発生できる。
さらに配色が2トーンであれば色調変化が発生し、見え方の違いは顕著になる。単色だとロールがわかりづらく、今回検証した中でいうと、ジャスターフィッシュは単色カラーだったので(ラインナップには2トーンもあり)、真上から見ないとロールが確認できないほどだった。これは魚から見ても同じ錯覚が起こっているといえる。
◎フラッシングを生む仕組みはおもに3つ
反射板
アルミホイルなどの反射板の入ったタイプは、ロールアクションにともない水中でキラキラと光る。天候などの条件に左右されず、安定してフラッシングを生む。
例)フラッシュJ(フィッシュアロー)
中空構造
太陽光を利用した中空構造によるフラッシング。中空部分に太陽光が差しこむことで、きわめてナチュラルにフラッシングする。ただし、太陽光の届きにくい場所では発生しづらい。
例)ヴィローラ(ディスタイル)、スーパーリビングフィッシュ(ティムコ)
空気室はフワフワとした浮遊感を演出するのと同時に、太陽光を取り込みルアーを光らせる役割を持つ。写真はスーパーリビングフィッシュ。大津「空気室の断面を四角く、長く空けると光をよく取り込みます」
体表に塗装などを施す
高密度に入れたラメや、塗装により発せられるフラッシング。実際の魚のように体表がフラッシングすることと、中空ボディーより自重を稼げるので、飛距離を確保できる。
例)フリッシュ(ボトムアップ)大津「中空ボディーの光りは、かなり広範囲にアピールできます。それに、光り方がすごくナチュラルなんですよね。僕のよく行く相模湖のようなクリアウォーターだと、波動よりも光のパワーがすごく遠くまで届くんですよ」
川村「濁った水色やディープといった光が届きにくいシチュエーションだったら、ボディーそのものの発色や、水押しも考慮する必要があります。また、中空ボディーとコアボディの使い分けも大事ですね。浅いレンジでゆっくり誘いやすいのは浮力が利く中空ボディー。飛距離やレンジキープに向くのはコアボディー、といった具合です」
形状や素材、内部構造の違いによるアクションについて検証してきたが、フィールドやそのときの状況によりマッチするルアーは異なる。ルアーの特徴を理解して、都度最適な選択ができるようにすることが重要だ。