軽量ルアーがスピニングより飛ぶ!? オカッパリでこそ生きるベイトフィネスのメリットとは。
軽量ルアーがスピニングより飛ぶ!? オカッパリでこそ生きるベイトフィネスのメリットとは
Basser編集部=文
ベイトフィネスという言葉が定着して久しい。なぜ軽量ルアーが投げやすいのか?
どんなところに気を付けてタックルを組めばいいのか?
ボートでもオカッパリでも、それぞれに大きなアドバンテージがあるという。
今回はこの釣りのパイオニアである沢村幸弘さんが、霞ヶ浦を釣りながらこの釣りのメリットを解説する。
この記事はBasser2012年7月号に掲載されたものを再編集しています。取材は2012年5月に行なったものです。
オカッパリこそベイトフィネスというアドバンテージを
取材2日目、沢村さんはバスボートを降り、オカッパリアングラーになった。
「カスミのオカッパリはどこも激戦区だからライトリグの出番はボート以上に多いはず。でも魚は総じて小さくないし、何もない沖側へ魚を誘導できるボート釣りと違ってカバーの中で掛けてカバー側に寄せるようなシチュエーションも多いはず。つまりボート以上にベイトフィネスが活きてくるのがオカッパリなんだよ」
前日に40㎝アップが出た外浪逆浦のドックへ。「バスボートからでもオカッパリからでもねらっている魚は同じなんだよ」と沢村さん。実際、昨日食ったところは岸から充分に届く距離である
実際、フィネス=繊細を極めたかに思えた沢村さんの釣りは、このときのスローコンディションにアジャストさせるために翌朝さらに繊細になった。
「風や流れで動いたり振られたりするボートと違ってオカッパリは足場が固定されているからキャストの精度も格段に向上するよ。それこそハイデッキのボートならいざ知らず、レンタルボートのようなロウデッキからの釣りの場合はエレキのヘッドなどキャスティングの妨げになるものが多いけれど、オカッパリにはそれもない。ベイトフィネスならスピニングで扱いづらかったルアーをビシバシ入れられるよ」
水面の上スレスレを滑空した3inバレットのノーシンカーワッキーが飛び石のように跳ね、桟橋下のわずかな隙間に吸い込まれたあとも、まだ伸びを見せている。それまでスピニングタックルでしか扱おうと思わなかったであろうこうした軽量リグを、ベイトタックルでストレスなく飛ばすことができ、感覚さえ掴めばバックラッシュすることなくオーバーハングの隙間へスキップさせることが可能になる。「通常の感覚よりもリリースポイントを遅らせてしっかりとリグの重みをティップに乗せるとキャストの精度が増す。躊躇すると余計にバックラッシュしやすいので、とにかく大胆に思い切り振り切ってみて。あとはロッドとリールが仕事をしてくれるから」
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上達のための要点をわかりやすく解説
「小型のプラグを遠投する際はフリー状態でラインを放出できるスピニングタックルのほうが飛距離が出ると思っている人も多いけどそれも間違い。実際には4Lbフロロを巻いたスピニングタックルで投げるよりも5Lbフロロを巻いたベイトフィネスタックルで投げたほうが飛ぶ。スパイラル状に放出されるラインとガイドの摩擦の関係でね。そう考えると、カスミ水系に限らずほとんどの場所や状況でスピニングタックルの出番がなくなってしまう」
次に向かった与田浦では4.8inスイミーバレットの1/42ozネコリグで2尾をキャッチ。うち1尾は背後に見えるブッシュの最奥で食わせ、引きずり出したあともタイトル写真のようにジャンプを繰り返すなど大暴れしたが、スピニングタックルでは扱いにくい太めのラインを使っていることもあって沢村さんは余裕の表情でランディング
与田浦では枝ぶりのいいブッシュの中から元気あふれる筋肉質の回復系の40㎝アップを引きずり出すことに成功。ちなみにK.T.F.アルファスフィネスに巻かれていたのは10Lbフロロ。もしもここでライトネコを選択したアングラーがいたとして、飛ばせないからという理由で3Lbや4Lbラインを巻いたスピニングタックルで挑んでいたら、果たしてこの魚は獲り込めたのだろうか。
「そこだよね。だからベイトフィネスの出番が増える。ラインを太くすることでキャストを犠牲にするなら論外だけど、むしろ楽しくなるくらいの快適さが得られる。しかも掛けた魚が獲れる。どっちを選ぶかは言うまでもないでしょ(笑)」
ロッド●スーパーテクナS-TAV63CLJ(フェンウィック)
リール●K.T.F.PX68フィネス/プロトモデル(K.T.F.)
ライン●フロロ10Lb
※2012年当時のタックルです。2016年現在の沢村幸弘さんのオススメタックルはこちらをご覧ください
気持ちよく曲げて気持ちよく飛ばす。この快感はオカッパリでも変わることはない。そしてメリットの多さは、間違いなくボート以上にある
投げればわかるベイトフィネス。食わず嫌いを通すには、環境が整い過ぎてしまった。ボートアングラーもオカッパリアングラーもサンデーアングラーもトーナメントアングラーも、物は試しの感覚でいいので、ぜひ1度ベイトフィネスタックルに触れてみてほしい。きっとそのとき、沢村さんのセリフが脳裏に過るに違いない。
2016/08/06