秋から冬は水温の低下に合わせて効果的なルアーも移り変わっていく。 今回は霞ヶ浦水系のオカッパリを例に挙げ、水温を目安にした各種巻き物の使い分け方を解説します。 これを読めば、ルアーセレクトで迷うことが少なくなるはず!
台風の後はスピナーベイトが効く!
関和学=文、Basser編集部=写真
秋から冬は水温の低下に合わせて効果的なルアーも移り変わっていく。今回は霞ヶ浦水系のオカッパリを例に挙げ、水温を目安にした各種巻き物の使い分け方を解説します。
これを読めば、ルアーセレクトで迷うことが少なくなるはず!
この記事はBasser2012年12月号に掲載された「オカッパリで行こう! 第69歩」を再編集しています。
「ファストムービングの季節」?
今回のテーマは、ズバリ「秋のファストムービング」である。
「荒食いの秋」と言われるわりに、夏までの「いつもの場所」で思うように釣れなくなることが多いのがこの季節だ。その原因もいろいろ耳にしたことはあると思う。「ターンオーバー」だの「魚が広く散る」だの「急激な冷え込み」だの……。秋って釣れる季節なのか、それとも釣れない季節なのか、いったいどっちなのよ?
そこでもう一度、ここに3つ挙げた釣れない原因を見てみよう。すると、秋の難しさは「水温の低下」に集約されていることがわかる。ターンオーバーは、表層の水が急激に冷やされて比重が高まり、もともと下の層にあった水と引っくり返ったり、かき混ざったりして起きる。バスがエリア的にもレンジ的にも広く散るのだって、水温がバスの適水温付近まで下がってきて、夏のように代謝が過剰に促進されることがなくなり、活発に動けるようになるからだ。
が、そんなバスの快適生活も長くは続かず、季節が進んで冬になり、今度は適水温を下回ると活性は再びガタ落ち……。代謝が下がってエサをあまり必要としなくなり、じっとしている時間が長くなる。ただし、頑張って釣ってみるとボテッと太っていることが多く、むしろバスのコンディションは真夏よりも遥かにいい。つらいのは釣り人だけで、バスはゴロゴロしているだけだからちょっと食べても太る、人間にとっては「正月太り」のような状態なのかもしれない。
さて、こんなふうに秋から冬へと季節が進行していくなかで、ファストムービングはどのように活用することができるのだろうか。自分ちから徒歩圏内で、ここ数年、秋から冬を釣り込んでいる霞ヶ浦を例に書いてみたいと思う。
2012年10月の取材時は、どんより曇った常陸利根川で釣りをスタート。もう10月、スピナーベイトで間違いないのだ
27℃→22℃ 台風後のスピナーベイトタイム
これから書くことは、霞ヶ浦で釣りをする人にはきっと役に立ててもらえると思う。けど、読者の皆さんのなかに霞ヶ浦で釣りをしている人は一部しかいない。それ以外の人が読んでも意味がない? いやいや、似たフィールドに通っているなら参考にはしてもらえるはず!
というわけで、霞ヶ浦をよく知らない人のために、ここがどんなフィールドなのかをざっくり、と。「霞ヶ浦は、広くて、全体的に浅い」
ざっくりしすぎ? そう言われても、これが霞ヶ浦最大の特徴なんだから仕方がない。面積は琵琶湖に次いで国内2番目に大きく、流域面積となると茨城県全体の約1/3にも及ぶ。しかし! こんなに広いのに平均水深は約4mしかないのだ(ちなみに琵琶湖の平均水深は40mを超えている)。
外気に触れている面積が大きく、浅いので表層から底まで簡単に上下の対流が起こる霞ヶ浦は……、「超熱しやすく、超冷めやすい」……のである。だから、この特徴を備えた釣り場なら、これから書くのと似たことが起こっているんじゃないかと思う。
秋は台風シーズンだ。というより、台風で一気に秋めくと言ったほうがいいかもしれない。霞ヶ浦の水中にも、台風や秋雨前線による冷たい大雨で秋が訪れる。釣りをするうえで、水温計が欠かせないのがこのときだ。一気に4、5℃、水温がガクン!と落ちるのである。
こうなると、バスは軽いショック状態に陥るのか、ルアーへの反応が極端に鈍る。真冬もソフトベイトで釣りにくくなるけれど、このタイミングも同様で、爽やかで快適な釣り日和なのに、下手をしたらノーバイトでノーフィッシュということもある。そんなときはリアクションバイトをとれるルアーが有効だ。具体的に言えば、スピナーベイトの独壇場になることがある。
荒食いの秋だからよく釣れて、数あるファストムービングのなかでもスピナーベイトがとくに効く、ということではない。リアクション効果が高いスピナーベイトに頼るしかなくなるのだ。
「カスミには毎年コレでしか釣れないタイミングがあるんだ」と関和学さん。それは秋の始まりにくることが多い。その後もクランクベイトといっしょに効く期間が続くので、スピナーベイトは秋の必須ルアーだ。これは霞ヶ浦水系に限ったことではないはず
2012年の霞ヶ浦がこの状態になったのは、10月05日~07日に開催されたJBTOP50霞ヶ浦戦の直前だった。そこで僕はスピナーベイトメインのパターンを組んで、思惑どおりに目測1800gはあろうかというバスをロングディスタンスで掛け、ロングディスタンスだったがゆえに成すすべなく派手にジャンプされてこの魚に逃げられてしまった(涙)。何も着水直後のキラリン!一発で食ってこなくても……、とも思ったけど、これぞまさにリアクションというバイトだったな~。
今回の取材も、そんな状態を引きずった霞ヶ浦水系で行なったので、本当にスピナーベイトでしか釣れなかった。「特集に絡んで、無理やりジャークベイトで釣ってやるゼ!」と、サイドステップやフェイスも相当投げた。スピナーベイトで連発した、魚が固まっていた場所でもしつこく投げた。そのエリアは水質がよく、水の透明度も充分ジャークベイトで釣れるくらいだった。そしてジャークベイトもリアクション効果に自信アリのルアーだ。なのに、スピナーベイトにしかバイトがない。毎年のことだから、このタイミングはやっぱりそういうもんなのである。
……次回、「次回 関和学×霞ヶ浦オカッパリ 秋~冬に有効な巻き物の移り変わり:
第2回 「クランクベイトの出番が増える、21℃~15℃」
2016/09/13