琵琶湖で一年中出番のあるルアーがジャークベイトだ。
「とくに晩冬から早春に強いルアーです」と話すのは琵琶湖ガイドの杉村和哉先生。
そんな杉村先生に編集部員のYとSが弟子入り志願。
第6回は、ジャークのコツと3月以降の琵琶湖での釣り方を教えてもらいました。
優しいジャークをマスターせよ【2月~9月】
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
琵琶湖で一年中出番のあるルアーがジャークベイトだ。「とくに晩冬から早春に強いルアーです」と話すのは琵琶湖ガイドの杉村和哉先生。
そんな杉村先生に編集部員のYとSが弟子入り志願。
第6回は、ジャークのコツと3月以降の琵琶湖での釣り方を教えてもらいました。
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2014年5月号に掲載されたものを再編集しています
講師=杉村和哉(すぎむら・かずや)
1984年6月6日奈良県生まれの琵琶湖プロガイド。「バスフィッシングで食べていきたい!」と、トーナメントアングラーなどさまざまな道を模索するなかでガイドに行き着いた、おだやかな性格ながらも熱いモノを内に秘めたアングラー。仕事も趣味も釣り。休みの日も琵琶湖や海で釣りしてます。
■杉村ガイドサービス(奈良県第6号遊漁船業務主任者戦業務主任者)
生徒=ヤマガタ(Y)
最後の最後の、最後はジャークベイト。それくらい信頼しているが、編集部対決(負けるとルアー没収)には奪われるとイヤなので持って行かない。今回の道場で、対決で勝てるだけのテクニックを自分の物にできるのか?
生徒=ササキ(S)
過去のBasserで取材した2回のジャークベイト道場では釣ることができなかった。しかしジャークベイトはキライになれず片思い。「もうちょっとでくどき落とせる」気がする、ということで今回も生徒役に志願した。
ジャークベイトとは……細身のボディーにリップを備えたルアーで、ミノープラグとも呼ばれる。ただ巻きやストップ&ゴーのほか、ロッド操作によるダートアクション(ジャーキング)とポーズで口を使わせる釣り方が得意。
1984年6月6日奈良県生まれの琵琶湖プロガイド。「バスフィッシングで食べていきたい!」と、トーナメントアングラーなどさまざまな道を模索するなかでガイドに行き着いた、おだやかな性格ながらも熱いモノを内に秘めたアングラー。仕事も趣味も釣り。休みの日も琵琶湖や海で釣りしてます。
■杉村ガイドサービス(奈良県第6号遊漁船業務主任者戦業務主任者)
生徒=ヤマガタ(Y)
最後の最後の、最後はジャークベイト。それくらい信頼しているが、編集部対決(負けるとルアー没収)には奪われるとイヤなので持って行かない。今回の道場で、対決で勝てるだけのテクニックを自分の物にできるのか?
生徒=ササキ(S)
過去のBasserで取材した2回のジャークベイト道場では釣ることができなかった。しかしジャークベイトはキライになれず片思い。「もうちょっとでくどき落とせる」気がする、ということで今回も生徒役に志願した。
ジャークベイトとは……細身のボディーにリップを備えたルアーで、ミノープラグとも呼ばれる。ただ巻きやストップ&ゴーのほか、ロッド操作によるダートアクション(ジャーキング)とポーズで口を使わせる釣り方が得意。
ジャークは優しく、2回ワンセットで
杉村 ジャーク&ポーズ時の操作法をレクチャーします。まずキャスト。このあとすぐにジャークするのではなく、まずはティップを下げたままグリグリと3秒くらいただ巻きして水面下1mくらいまでジャークベイトを潜らせます。ジャークしながら徐々に潜らせるより、最初にただ巻きを入れたほうが、バイトが出やすいウイードトップあたりのレンジを長い時間通せます。Y ここからいよいよジャークですね。
杉村 はい。でも、僕の「ジャーク」は、むしろ「トゥイッチ」と呼ぶほうがイメージに近いかもしれません。ラインを張らず緩めずくらいの状態から、手首のスナップを利かせてジャーク。振り幅は50㎝前後で2回ワンセットです。
ジャーク時のロッドの握り方。もっとも重要なのは力を入れすぎないこと。ジャークした直後にサオが反発力でオートマチックに引き戻されるくらい弱めに握ろう。人差し指はフロントグリップに添える。ジャーク時はここに力をこめるとスムーズ
杉村先生のジャークはかなり控えめ。トゥイッチと呼んでもいいくらいだ。ポーズ時のラインテンションは上の写真くらいの「張らず緩めず」。ゆっくりとラインスラックを巻き取ってから次のジャークに移る。バスが食っていればラインスラック回収時に重くなったり、ラインが走ったり、コンッときたりする。大きくスイープにフッキングしよう。「ちなみに琵琶湖ではポーズ時のラインテンションはユルユルでもOKです。ルアーをくわえて走ってくれるバスがまだまだ多いですから、張らず緩めずのラインテンションでシビアなバイトをとらなくてもちゃんと釣れますから」
S 優しい拳……、ラオウじゃなくてトキですね。ロッドの振り幅はわかりましたが、どれくらいの強さでジャークすればいいんでしょうか?
杉村 ボート際でルアーを見ながらジャークしてみてください。人間がルアーを目で追い切れるくらいの速度でダートさせる強さです。強いジャークだとルアーが瞬間移動して目で追えないはずです。
ワンテン・プラスワンは着水したらまずはただ巻きで水面下1mくらいまで潜らせる
そこからジャーク開始。ジャーク時のロッドの振り幅は50㎝前後で2回ワンセット。2ジャーク1ポーズのリズムだ。2ジャーク時は、それぞれのジャークで手首にかかる負荷が同じになるようにしよう。1回1回ジャークの強さが変わるとアクションが不規則になりリズムが崩れる。「琵琶湖のジャークはリズムとテンポが大事」と杉村先生
×
○
ジャーク時のロッドワークは横方向で行なうのではなく下方向、もしくは斜め下方向で行なう。横や縦にサオを捌くとジャークベイトが上下移動してしまう。「上下のアクションは効かない印象があります」と杉村先生
Y なるほど。激しいジャークがよくないのはどうしてですか?
杉村 3、4月、琵琶湖のバスは毎日のようにジャークベイトを見ています。多くのアングラーは強烈にジャークしているから、バスはスレてるし、そもそも水温が低くて追い切れないんです。
Y じゃあ、ラインスラックをたくさん出したうえで杉村先生よりさらに弱くジャークして、移動距離を最低限に抑えてアクションさせるのはどうでしょう? ダートというより一点首振り的な。
杉村 それでは効率が落ちすぎてしまいます。エビモパッチ際などのピンスポットを撃つときはそうしますが、ウイードフラットを釣るときはエリアのカバー力とアピール力のバランスがほどよいジャークが結果的によく釣れます。
S ジャークは何回ワンセットにすればいいんでしょうか?
杉村 2回ワンセットです。
Y 3回じゃダメなんですか?
杉村 2回のほうが、ジャークベイトがダートしながら徐々に潜っていく塩梅を保ちやすいんですよね。要はウイードトップをキープしやすい。ジャークが強すぎたり、3回ワンセットだったりしたらワンテンが上方向にダートしやすくなる印象があります。上方向へダートするとウイードトップから外れやすくなるし、アクション的にもバスがあまり好きじゃないのか、釣れないんですよね。同じ理由でロッドを立ててジャークすることもありません。
S 承知しました。ポーズは何秒とればいいんでしょうか?
杉村 最低水温期は5秒ですね。ハイシーズンは0秒から3秒の間でようすを見ながら調節します。3月下旬なら3秒を基準にすればいいと思います。
S 長いですね……。僕、セッカチなので待てないんスよ……。
「手首疲れた」と横着ジャークをかますS。バイトがあったらどうするつもり……?
杉村 なら1秒とかでもOKですよ。この温排水エリアはベイトフィッシュも多いですし元気なバスが期待できますから。「ポーズ1秒で食ってくる魚を釣る」という割り切りで手数を増やすという選択も大アリです。僕もそうするつもりです。
Y う〜ん。釣れそうな気しかしないぞ……。しかし杉村先生、風が強くなってきましたね。
杉村 強風はジャークベイトの釣りにはマイナス要素ですよ。ラインが風にとられるのでルアーをちゃんと止められなくなります。こういうときは追い風状態で釣りをできるように操船しましょう。もしくはファストムービング系の釣りに切り替えるのも手です。
3月下旬以降の琵琶湖
結局この日(2014年3月中旬)は「膳所の温排水で粘る」という杉村先生の采配が当たり、なんと杉村先生1尾、Sが2尾をキャッチ成功! ちなみに途中で2時間ほど西岸のワンドを巡ったもののバイトもチェイスもなかった。緩めジャーク後のステイで食ってきた40㎝弱。ポーズは1秒くらい。「ほかのエリアよりも水温が高いので短めのポーズでも大丈夫だったんでしょう」と先生
Sの1尾目から1時間後、またしてもSのワンテン・プラスワンがさらわれた。ポーズ中にギューンッと走るバイトでコイのスレを確信したSだったが上げてみるとまさかのバス! 40㎝オーバーのナイスコンディション!リアフックが背ビレに掛かっていたため引きが強烈だったみたい。ちなみにカラーは杉村先生イチオシのシャンパンキンクロ
Sが2尾を釣ったあとに温排水を一度は離れたものの、他のエリアにあまりに気配がないため、夕マヅメに再チャレンジ。するとすぐに杉村先生にヒット! 入り直しのお手本のような釣り方である。さすがプロガイド……。1秒ほど入れていたポーズ時にラインが走ったという
ヒットルアーはワンテン・プラスワンのシャンパンキンクロ。この日すべてのバスをキャッチした色
S 今日はジャークベイト記念日です。先生、ありがとうございました!
Y 僕はデコ(涙)。得意なジャークベイトなのに……。思うに、ポーズ時のラインテンションを緩めすぎていたと思います。ポーズ時間も長すぎて、ジャークベイトが温排水に乗って流されまくっていたのではないかと……。杉村先生、リベンジのために3月下旬以降の琵琶湖でジャークベイトを引くときのアドバイスをください!
杉村 わかりました! 3月下旬になると水温も10℃を超えているはずなので、完全に春を釣る意識で大丈夫です。南湖でのオススメはスポーニングエリアになる西岸のワンド。まだワンドの中に入り込んでいる魚は多くないかもしれないので、ワンドマウスの岬と岬を結んだライン上を重点的に探ってみてください。夕方はワンドの中でフィーディングモードもバスがねらえます。あとは浜大津港の外壁も典型的な春のエリアですね。ミオ筋を伝ってバスが差してきます。
Y もっと季節が進行して、バスが完全にスポーニングモードに入ってもジャークベイトでイケるんですか?
杉村 そのタイミングは琵琶湖でも急に釣れなくなって「魔の10日間」とか呼ばれていますよ(笑)。何を巻いても釣れなくて、ライトリグでなんとか……っていう感じになります。でも、ジャークベイトなら可能性があるんですよね。リアクションバイトをとる力があるし、止めて食わせるフィネス的な要素もあるので。で、もっと季節が進むとスポーンの疲れから回復したバスが沖に出て、エビモパッチの際とかでフローティングジャークベイトを襲うようになります♪ジャークベイトは1年中不滅ですよ!
Basser4月号では、三寒四温と言われる悩ましい早春を釣るヒントを数多く紹介。実釣記事では、川島勉さんと田辺哲男さんが亀山湖で、並木敏成さんが相模湖でいち早く春を捉え、それぞれテキサスリグ、ジャークベイト、パワーフィネスという異なるスタイルで50cmクラスを手にしています。
2017/02/28