「これを読めば釣れる魚が増える」 そう思わせてくれるのが、弊社発行の単行本『釣りエサのひみつ』だ。 そのなかでもバスフィッシングにも密接に関わっている内容を紹介したい。
エサ&ルアーに科学で迫る単行本『釣りエサのひみつ』の内容を抜粋&解説!
Basser編集部=まとめ
「これを読めば釣れる魚が増える」そう思わせてくれるのが、弊社発行の単行本『釣りエサのひみつ』だ。
そのなかでもバスフィッシングにも密接に関わっている内容を紹介したい。
客観的かつ正確な検証
『釣りエサのひみつ』は、エサ(ルアーやエギ、毛バリなどの疑似餌を含む)の色や匂い、味、硬さ、音などが、魚の釣れ方にどう影響するかを考察した書籍である。◆詳しくはこちら
バスフィッシングにおける「春は赤いルアーが釣れる」などの定説やパターンは、その多くが釣り人の経験や主観、もしくは「春になると赤いザリガニが巣穴から出てくるから」という憶測の域を出ないものが多い。
本書では、正しいのか正しくないのかが曖昧だった釣り人の常識や疑問に、数々の客観的な実験と検証で真っ向から向き合っている。
たとえば、「魚は暗闇でも釣り糸の存在を認識するのか?」という疑問に対する検証。
暗闇に置いた水槽内にラインを張り、底にはエサを設置。その中に数尾のクロダイを泳がせた。ラインには振動を感知する機器を繋ぎ、ひと晩中計測。その結果、クロダイがラインに触れた振動はほとんど検知されなかった。にもかかわらず、エサは見事に食べられていたという。
このことから、魚には暗闇でもラインの存在を知る機能が備わっていることがわかる。これをブラックバスに置き換えると(異なる魚種なので違いはあるだろうが)、マッディーウォーターやディープなどの光が届かない水中においても、バスはラインの存在を感じとっていると考えるのが妥当であろう。ましてや、ルアーフィッシングの場合はロッドワークにより、ルアーだけでなくラインも動いていることほとんどだからなおさらである。それでもバスがルアーに食いつくのは、ラインの存在に対する警戒心よりも、ルアーに対する捕食本能が上回っているからだろう。
水槽内にラインを張り、底にはエサを設置。ラインには振動を感知する機器をセットした状態で、暗所でひと晩計測したところ、エサは食べられていたが、ラインの振動はほとんど計測されなかった
魚の視覚について
続いて、魚の視覚に関する興味深い検証を見ていきたい。第3章ではクロダイで以下のような実験を行なっている。「糸を結んだハリにクロダイが好むオキアミを装着して、水槽の底に沈むように投入します。釣り糸はフロロカーボンという素材でできた2号の太さのものを2セット用意しました。ひとつはスプールに巻かれたときのクセを取って真っ直ぐにしたもの、もうひとつはクセを取らずにラセン状になったままです(――36ページから抜粋)」
結果として、クロダイは真っ直ぐなイトについたオキアミにはすぐに食いついたが、クセのついた糸のオキアミは食べないどころか近づくことさえなかったという。
このことから、ラインが魚に与える警戒心は太さそのものだけでなく、水中での状態にもよる、ということがわかる。また、クセの付いたラインはアングラーが意図したアクションをルアーに伝えづらかったり、ルアーの自然なフォールアクションなどの妨げになったりするため、釣りにおいては大きなマイナスと言える。
クロダイは真っ直ぐなラインの先についたオキアミには食いついた
らせん状のラインについたオキアミには近づこうとすらしなかった
魚は色を識別できるか
ルアーのカラー選択は、アングラーにとって悩みのタネであり、楽しみのひとつでもある。
本書によると、かつて「魚は色盲(色を区別することができない)」と言われていたが、1940年に行なわれた、金魚を使った以下のような実験で、魚に色の識別能力が備わっていることが証明されたという。
「青色の容器にエサを入れて馴らし、それとは別に明るさだけを変えた灰色の容器でも同じ実験を行なうと、金魚は常に青色の容器に反応を示しました。これにより金魚は青色を判別できることを実証したのです(――48ページより抜粋)」
魚が、程度はともかく色の識別ができるとして、ルアーのカラーは釣果にどのような影響を及ぼすのか。また「釣れる色」は存在するのか。その真実に迫った実験が、タチウオを使った以下のものだ。
「釣りによるタチウオ漁は、生エサだけでなく疑似餌を使う漁業者も各地にいます。その方々に擬似餌のカラーについて話を伺うと、皆口々に『赤が絶対』という答えが返ってきます。
(~中略~)長さ300mの縄についた80本の枝バリに疑似餌を装着し、船を低速で走らせるという漁法です。テストを行なった疑似餌は、現在マルキューから発売されている『パワーシャッドストロング(※シャッドテールタイプのワーム)』という名称で漁協向けに販売されているタチウオ専用の商材の試作段階のもの。使用したカラーは蓄光塗料の入った『ミッドナイトグロウ』と『オキアミ』『グロウピンク』の3色です。
テスト方法は、先の3色とは別に比較基準用としてパールグロウを挟んでそれぞれ交互に装着し(パールグロウ→ミッドナイトグロウ→パールグロウ→オキアミ→パールグロウ→グロウピンク)、ヒットチャンスが均等になるようにして曳き縄を行ないました(――50ページより抜粋)」
(~中略~)長さ300mの縄についた80本の枝バリに疑似餌を装着し、船を低速で走らせるという漁法です。テストを行なった疑似餌は、現在マルキューから発売されている『パワーシャッドストロング(※シャッドテールタイプのワーム)』という名称で漁協向けに販売されているタチウオ専用の商材の試作段階のもの。使用したカラーは蓄光塗料の入った『ミッドナイトグロウ』と『オキアミ』『グロウピンク』の3色です。
テスト方法は、先の3色とは別に比較基準用としてパールグロウを挟んでそれぞれ交互に装着し(パールグロウ→ミッドナイトグロウ→パールグロウ→オキアミ→パールグロウ→グロウピンク)、ヒットチャンスが均等になるようにして曳き縄を行ないました(――50ページより抜粋)」
つまり、カラーの違いによるヒット率を検証したわけである。しかも、検証は1度ではなく、より正確なデータを取るため100回以上行なわれた。それにより得られた結果は、なんと「色違いの疑似餌によるタチウオの釣果には違いがなかった」という事実である。これは光の届きにくい水深150mの海で行なわれた実験であり、魚種もタチウオであるため、そのままバスに置き換えることはできないかもしれないが、漁師たちが確信を持って「赤が絶対」と言っていたにもかかわらず、そのような実験結果が得られたということは重要な事実だろう。そしてこの章はこのように締めくくられている。
「結局、自信のあるカラーは無意識のうちに使用頻度が高くなります。また釣りをしていて、ここ一番というときには最も自信のあるカラーを使いたくなるのが人情です。したがって当然の結果として釣果も伴ってきます。この循環が『ヒットカラーはこれだ』という確信になっていくのです(――59ページより抜粋)」
ほかにも、たとえばカラーローテーションをした直後に魚が釣れると「これが釣れるカラーだな」とアングラーは早合点してしまいがちだ。しかし実際は、そのカラーだから釣れたのではなく、水中に投げ続けられたルアーのカラーを魚が学習し、そこに異なるカラーが投じられることで、魚の警戒心が薄れて食いつくという場合が考えられる。つまり、重要なのは特定の当たりカラーを見つけようとするのではなく、カラーローテーションを行なって魚が見慣れていないカラーのルアーを投じることだといえる。
枝バリが80本ついた曳網で、100回にわたってカラーの違いによるタチウオの釣れ方を検証した
このように、「パールグロウ」で「ミッドナイトグロウ」「オキアミ」「グロウピンク」を挟むようにカラーを並べた
意識すべきは色彩ではなく明暗
また、アオリイカ釣りなどに用いられる「エギ」についても面白い記述がある。
「カラフルなエギは見ているだけでも楽しくなってしまいますが、こんなに多くのカラーをどのように使い分けたらよいのでしょうか。
(~中略~)上田氏(※徳島県農林水産総合技術支援センター水産研究所に勤務)の話によれば、アオリイカには色彩を区別する能力がないということです。その話が出たとき、私の後ろの席に座っていたルアーメーカーの関係者からため息が漏れたことを鮮明に覚えています。
しかし、エギに着色された色彩にはまったく意味がないかというと実はそうではありません。アオリイカは海産動物のなかでもとりわけ視力が発達しており、とくに明暗(コントラスト)を識別する能力は人と比較にならないほど高いのです。我々人間はエギを見ると色彩の違いに目がいってしまいますが、アオリイカはそれをコントラストの違いとして鋭敏にとらえることができるため、水の色や濁りの度合いによって当たりカラーが異なってくるのです(――57ページより抜粋)」
(~中略~)上田氏(※徳島県農林水産総合技術支援センター水産研究所に勤務)の話によれば、アオリイカには色彩を区別する能力がないということです。その話が出たとき、私の後ろの席に座っていたルアーメーカーの関係者からため息が漏れたことを鮮明に覚えています。
しかし、エギに着色された色彩にはまったく意味がないかというと実はそうではありません。アオリイカは海産動物のなかでもとりわけ視力が発達しており、とくに明暗(コントラスト)を識別する能力は人と比較にならないほど高いのです。我々人間はエギを見ると色彩の違いに目がいってしまいますが、アオリイカはそれをコントラストの違いとして鋭敏にとらえることができるため、水の色や濁りの度合いによって当たりカラーが異なってくるのです(――57ページより抜粋)」
これはアオリイカの例だが、どうやら魚は人間と比べて「色の違い」よりも「明暗の違い」を視覚で捉える能力が高いようだ。その根拠となるのが以下の部分だ。
「物体を見る光受容体と呼ばれる組織のなかには、色彩を判別する錐体と明暗を識別する桿体という2種類の細胞があります。
(~中略~)魚の桿体は錐体の100倍の感度があります。言い換えるなら魚は色彩よりも明暗に対して敏感です(――62ページより抜粋)」
(~中略~)魚の桿体は錐体の100倍の感度があります。言い換えるなら魚は色彩よりも明暗に対して敏感です(――62ページより抜粋)」
つまり、カラーローテーションをする際は、色の違いよりも明暗の違いを意識したほうがよいということだ。たとえば、赤と青は色としてはまったく異なるが、明暗の度合いで言えばほとんど同じ。赤の波長は光に吸収されやすく、青はされにくいため、ディープレンジではその存在感に違いが出ると思われるが、光が充分に届くシャローでは、赤と青は魚から同じ色として認識されている可能性がある。
よって、カラーローテーションにおいては、白→黒のように、明暗に差があるカラーチェンジを行なうことで、異なったバスの反応が得られるかもしれない。
アオリイカには色彩を識別するよりも、明暗(コントラスト)を識別する高い能力が備わっている
4種の異なるカラーを、明暗で表わしたもの。コントラストという観点では、青と赤にはほとんど差がないことがわかる
魚を知り、釣りを上達させる内容の数々
ここまで紹介したのは、『釣りエサのひみつ』の1部のコンテンツにすぎない。
ほかにも、魚の視界の話や、釣り場の騒音やアングラーが立てる音が魚に与える影とラトルの有効性、エサ(ルアー)の最適なサイズや硬さなど、バスフィッシングにもフィードバックできるコンテンツが満載だ。手前みそだが、バスアングラー含むすべての釣り人が読むべき1冊であると断言できる。B
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さらに詳しくはこの1冊で
定価:本体1,600円+税
著者:長岡 寛
四六判並製カラー272P
Contents
1章 釣りエサの種類と特性
2章 魚から見た釣りエサと釣り人
3章 魚は釣りイトが見える?
4章 ルアーとエサ、何色がよく釣れる
5章 臭いエサのほうが魚は集まる?
6章 甘いエサはよく食べる?
7章 釣り場の騒音はNG か
8章 究極の釣りエサ成分とは
9章 偽物なのになぜ釣れる
10章 最適なエサ、ルアーのサイズとは
11章 魚が食い込みやすい釣りエサの硬さとは
12章 釣りエサは環境にどう影響するか
最終章 釣りエサのひみつ
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3章 魚は釣りイトが見える?
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6章 甘いエサはよく食べる?
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8章 究極の釣りエサ成分とは
9章 偽物なのになぜ釣れる
10章 最適なエサ、ルアーのサイズとは
11章 魚が食い込みやすい釣りエサの硬さとは
12章 釣りエサは環境にどう影響するか
最終章 釣りエサのひみつ
2019/09/03