ワカサギの豊富さで知られる山口県・豊田湖で、田中大介さんが信頼を置くジャークベイトパターンを解説してもらいました。 バス釣りの専門誌バサーが、バス釣りのテクニックから道具、試合の最新情報、初心者のバス釣り入門までバスフィッシングのすべてを公開しています。
ルアーローテーションはレンジを重視【11月末~3月上旬】
Basser編集部=写真と文
水温もバスの活性も底を打つ厳寒期。それでもバスの行動はワカサギに左右されると断言するのは、
山口県・豊田湖のロコアングラーでノリーズプロスタッフでもある田中大介さんだ。
ワカサギの豊富さで知られるこのレイクで、田中さんが信頼を置くジャークベイトパターンを解説してもらった。
第3回はケーススタディーとして、2011年1月に行なった取材時の模様を紹介する。
田中大介(たなか・だいすけ)
山口県下のリザーバーを釣り込んでいるロコアングラーで、現地のトーナメント運営に携わっている。得意なルアーはジャークベイトとテキサスリグ。2016年からはバスフィッシングの上達を目指す人を応援する「Bassers Lesson」を開講。詳しくはブログ「EASY ACTION!」をチェック!
この記事はBasser2011年4月号に掲載されたものを再編集しています。
マッチ・ザ・ベイトではなく、
レンジを刻むためのルアーローテーション
朝イチの表層水温は7.7℃。冬のリザーバーは比較的水量が多いため、寒波がきても一気に水温が下がることはないようだ。ボートを下ろす際に湖面を見渡すと、あちこちでワカサギがピチャピチャと跳ねているのが見えた。時にはバスのボイルも確認できるという。厳寒期のフィールドにしてはかなり生命感がある。
取材は1月2日に行なった。田中さんの釣り始め。朝イチの気温はジャスト0℃
田中さんは出船すると、スロープのすぐ近くにある岩盤からチェックし始めた。バンクを流しているとひっきりなしにフィッシュアラームが鳴ることからワカサギの多さがうかがえた。しかも、田中さんの言うとおり、あらゆるレンジにワカサギらしき反応が見られる。田中さんはボートポジションをバンクから15~20mほどとり、斜め前方にキャストしながら流していく。1投にかける時間は20秒ほどで冬の釣りとは思えないほどハイテンポだ。
午前中は雪景色。午後から雨もしくは雪の予報
午前中のメインはレイダウンミノーディープ(サイズはレギュラーとジャストワカサギ/潜行深度はいずれも2m前後)。普段はレイダウンミノーミッドのレギュラー(潜行深度は1m前後)をメインに釣りを組み立てているが、当日は連日の降雪により50cmほど増水していたためより深く潜るディープシリーズをチョイスした。
午前中はレイダウンミノーディープで「ちょい沖でボトムからやや浮いたバス」をねらった
「ルアー選びの際にマッチ・ザ・ベイトは意識していません。レンジを刻むためにルアーをローテーションすることがほとんどです。普段なら水深4mにいるバスをレイダウンミノーミッド・レギュラーで水面下1mまで浮かせて釣ることが多いですが、今日は厳しそうです。冷たい水が流れ込んで増水しているので、バンクのすぐ近くのシャローは潰れているはず。しかも濁りが入っているので、バスの近くにルアーを通す必要があります。レイダウンミノーディープシリーズでやや深めを探ります」
結局、午前中にジャークベイトで得た反応は1回のショートバイトのみ。午後に入ってからは、「そろそろ水が馴染んでシャローが回復しているはず」とレイダウンミノーミッド・レギュラーも交えて探った。
レイダウンの先端部で3秒ほどポーズさせているとかすかに違和感があった。フッキングするも乗らない。午前中はこの1バイトで終わった
「潜行深度が浅いルアーで釣れるならそれが1番です。釣りのテンポが速いですし、表層まで浮いてくるバスはデカいのが多いですから。今日もできればレイダウンミノーミッド・レギュラーでハメたい」と田中さん。
正午を過ぎると雨が強く降り始めた。真冬の土砂降りはかなり身体に堪えたが、田中さんはめげるようすがない。「雨はチャンス。気圧が下がってバスが浮きやすくなります」と言い、レイダウンミノーミッド・レギュラーのカラーをパール系の膨張色にチェンジ。バスの活性が上昇すると読んでルアーのアピール力をアップさせた。
正午過ぎからどしゃ降りに……
結果はすぐに返ってきた。岩盤質の岬によってできた風裏でレイダウンミノーミッド・レギュラーを2回ジャークさせ、1秒ほどポーズさせているとコンッとバイトが! ラインスラックを素早く回収しスイープにアワせてファイトを開始。水面でバスの魚体を確認するとリアフックが1本だけ掛かっているのが見えてヒヤッとしたが、「1本掛かりのほうがむしろバレにくい」と田中さんは慌てない。ほどなくしてハンドランディングしたのは45cm、1400gクラスのグッドサイズだった。
岬の裏側のスポット(第2回で解説した一級スポット)でバイト! ベタ凪ならばヒットシーンがマル見えだったであろうレンジで食ってきた。ワカサギの栄養のためか真冬にしては抵抗が激しかった
1日を終え、結果は2バイト1フィッシュ。田中さんは「平均して3~5尾は出るんですけどね……」とやや不満気だったが、氷点下に近い気温のなか結果を出したジャークベイトパターンはかなり見ごたえがあった。厳寒期にルアーが目視できるレンジまでバスが浮いてくるようすはヤミツキ必至である。
ベイトフィッシュを軸にしたバスフィッシングの組み立て方を解説!
琵琶湖ベイトフィッシュパターン 夏・秋&初冬編
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2017/2/9