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編集部2023年6月2日

ボートアジングのはじめかた

アジ 魚種別釣りガイド

レンジやアクションなどを魚に合わせていく過程とその答え合わせが面白いアジング。もちろんボートでも白熱する

レンジやアクションなどを魚に合わせていく過程とその答え合わせが面白いアジング。もちろんボートでも白熱する

写真と文◎編集部

 

船上はアジング道場

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年中アジやメバルなどのライトゲームを楽しむ豊西和典さんは大阪エリアをホームとしているライトソルトフリーク。春先のオカッパリアジングはそう簡単ではないそうだ。もちろん、なかなか釣れない魚をあえてねらうのも釣りの楽しみだが、魚が確実にいるポイントへ行けるボートアジングという選択肢もある。

「オカッパリのアジングが普段の食事ならボートはステーキを食べに行くようなもんですわ。たまには贅沢というのもええんちゃうかな」

確かにソナーや魚探などの装備を活用して確実に魚がいるポイントで釣りができるボートフィッシングは贅沢な釣りだろう。しかし、魚がいるなら簡単に釣れるかと言われれば決してそんなことはなく、むしろ魚探に群れが映っているのに全然釣れないということもよくあると豊西さんは言う。

「群れがおるのにまったく反応しないこともある。そんな魚を試行錯誤して釣るというのはボートだからこその楽しみやと思います」

釣果が自分の腕に左右され、魚がいなかったという言い訳ができない。ボートアジングはオカッパリで鍛えた釣技や考え方が本物なのか試すいい道場でもあるのだ。

 

 

ロッドとラインにパワーが必要

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ボートアジングにはバチコンと呼ばれる釣り方もあるが、豊西さんはオカッパリと変わらないキャスティングゲームを楽しんでいる。タックルもオカッパリ用で問題ないが、和歌山市周辺エリアでは水深10m前後をねらうことが多く、時には20mラインも探るため、ある程度パワーのあるロッドがおすすめになる。この日、豊西さんはジグ単&メタルジグ用とキャロ&プラグ用の2タックルを用意。ジグ単用にはソルティーセンセーションネオ63SL-S(エバーグリーン)、キャロ用は同じくソルティーセンセーションネオの70L-S だ。リールもオカッパリと分ける必要はなく1000~2000番で問題ないが、エステルラインを使うならやや太めを選んだほうがいいと豊西さん。

「0.3号でもできるんやけどできれば0.4、0.5号がええかなぁ」

オカッパリよりも大型が出やすいボートアジングでは時に尺越えを抜き上げざるを得ない状況になることもあるため、0.3号では心許ない。また、小さな空間で複数人が釣りをするということを考えると魚をあまり走らせてしまうと迷惑にもなってしまう。ドラグを絞めた強気のファイトができるようにパワーのあるロッドと太めのラインで臨みたい。可能であれば替えスプールでも構わないのでPE 0.2号も用意しておくと状況に応じて使い分けができてよいそうだ。荒れていないときはPE、渋いときやラインの馴染みが悪いときはエステルに分があるとのこと。キャロ用はPE を使うが、こちらは強度があるので細くても大丈夫。豊西さんは0.2号を使っている。

ジグヘッドは2.5~3.5gがジグ単用になる。鉛製だけでなく、タングステン製のものも用意しておくとよい。同じ重さでも途端に釣れるようになることもあるそうだ。キャロで使う場合は0.4~1g。キャロ用シンカーは自動ハリス止メ付きのものを愛用していて5~7gがあればよいそうだ。

また、メタルジグやプラグも忘れずに用意しておきたい。この時期はハクのようなマイクロベイトが食べられていることもあり、ワームでは反応がないのにジグでは連発するといったこともあったそうだ。メタルジグは2.5~7g程度、プラグは4~5㎝程度のシンペンやミノー、バイブレーションを使うことが多い。

 

 

尺連発の下げ始め

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3月下旬、豊西さんが訪れたのは和歌山市の「モンスターラッシュ」。20時に出船し、マリーナからほどなくして到着したポイントは紀ノ川河口のオープンエリアで水深15mラインだ。最近好調なポイントのようでアンカーを降ろして船を固定すると、魚探にはすぐ反応が出た。

「船上の明かりに寄ってくるんで時間が経つともっと反応が出てきますよ。でも釣れるとは限らない。そこが面白いですね」

と言うのは船長の西澤禎晃さん。自身もボートアジングを楽しみ、日々新しいポイントを開拓している。

豊西さんは2.5gの自作タングステンジグヘッドに2インチのストレート系ワームであるギムレット(エバーグリーン)の組み合わせでスタート。この日は中潮で20時に満潮のため潮がまだしっかり動いていないようで、流れの向きがコロコロと変わり船も安定しない。30分ほど経ったところで流木などのゴミが流れてきた。下げ潮が利いてきているのだろう、チャンスタイムが近い指標だそうだ。

「来たよ」

ジグ単で探っていた豊西さんにさっそくヒット。ゆっくり寄せてきた魚は明らかに尺オーバーの立派なアジだ。エステルの0.5号を使っているため抜き上げてキャッチ。その後もジグ単、キャロどちらのタックルでもコンスタントに釣っていく。

「ラインに潮の抵抗が掛かった時にワンアクション入れると後の一瞬でツッと当たる感じやね」

ボートの明暗よりも暗い所にアジがいるようで、やや遠投して潮がラインを引っ張ってくれるような場所を見つけ出したらラインを馴染ませるようにして底層までリグを沈めていくのだが、豊西さんによるとこの時点でアジはすでに追ってきているらしい。そこで、一回だけアクションを入れるとその後のフォールでバイトしてくるようだ。アクションを多くすると反応はなくなるようで、なかなかシビアだが、釣れれば尺というのはアツい展開だ。

群れがいなくなったので移動して常夜灯の明暗をねらうことに。ここではライズも見られたのでプラグやジグを使用。アジだけでなく、ヒラセイゴも姿を見せてくれた。帰り際に再度オープンエリアへ戻ったが、群れが変わってしまったのか魚探に反応はあるもののアタリはなくタイムアップとなった。

春から初夏にかけて産卵を意識したアジはとてもナーバス。アジが気に入るようなルアー選びやアクションを探すことが大切になり、群れが変われば好みも変わる。ボートアジングは釣れて当たり前ではなく、目の前にいる魚にどうやって口を使わせるか、レンジをしっかり合わせられるかというアジングの魅力をより純粋に楽しめる面白い釣りだ。それでいて大型がねらえるチャンスも多い。腕試しとしてぜひ一度体験してみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

※このページは『つり人 2023年6月号』を再編集したものです。

 

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