源流テンカラ釣りの黎明期から、日本の各地で野営・遡行技術を磨いてきたことで知られる瀬畑雄三さん。その瀬畑さんを長く取材し、自身も源流釣りを愛好する丸山剛さんに、日頃から実践する源流釣行のノウハウを紹介してもらう。最終回はイワナをさばきます!
旨み詰まったイワナの刺身
解説◎丸山剛
源流テンカラ釣りの黎明期から、日本の各地で野営・遡行技術を磨いてきたことで知られる瀬畑雄三さん。その瀬畑さんを長く取材し、自身も源流釣りを愛好する丸山剛さんに、日頃から実践する源流釣行のノウハウを紹介してもらう。この記事は『つり人』2018年9月号に掲載したものを再編集しています。
◆関連動画で焚き火のやり方をチェック!
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イワナをさばく
イワナのさばき方は難しくない。渓の翁流で大切なのは「けっして水に濡らさない」こと。それにより身の旨みが逃げない。この時、必ず持っておきたいのが包丁と日本手拭い。ここでは刺し身の作り方をメインに紹介する。
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水に濡らさないのがポイント
まず肛門から刃を入れてエラ下まで腹を割く
指で内臓を取り出す
さらに指でエラを引きはがす
内臓とエラが取れたら日本手拭いできれいに掃除する。水で洗わないこと
このあと皮を剥ぐために、イワナの身の外周に沿って包丁で切れ目を入れて行く。作業は左右両面で行なう。胸ビレの後ろから背中、背中から尾ビレの付け根まで線を入れる
頭をしっかり持ち、とっかかりになる頭の後ろの皮を歯で押さえる
そのまま手を押し出すようにすると皮が剥がれる。皮は最後に尾に付けたままで残してよい
頭の後ろから中骨沿って平行に包丁を入れ3枚におろす
反対側も同じようにおろす
3枚におろした身から腹骨部分をすき取る。反対側も同じようにおろす身の付いた腹骨は捨てずに油で揚げると美味しい
あとは刺し身に切っていく
28㎝ほどのイワナ1尾から取れた刺し身。濃厚な味わいで一人分の酒のつまみならこれで充分。醤油に加えてワサビもあると一層美味しく食べられる
残った頭、皮、中骨の部分は、朝まで尾を上にハリガネで吊って焚き火の上にかざし焼き枯らしにする。味付けしてからいぶせばそれ自体が保存食になり、味付けなしのものも美味しい出汁の元になる。いぶす時はイワナの口に枝を入れて口が開くようにするとよい
焚き火の後片付け
「焚き火は燃やし尽くすことで地面を汚さない」のが瀬畑さんや丸山さんの流儀。そのためには中途半端に途中で水を掛けないことが大切になる。まっ白にまでなった灰であれば、夜露で一晩濡れるだけで元の土に返っていくからだ。そうすることで次の人にも整地されたきれいな焚き火場だけが残る。
出発の朝の時点で、まず明らかに燃えきらない大きな熾を取り除く
大きな熾は個別に周囲に燃えるものがないところに置く
残りの薪は最後に白い灰になるまでしっかり燃やしつくす
アルミ缶は焚き火が起きているうちにそのままくべればこれくらいの状態まで燃やせる。このカスを最後に回収して持ち帰る。アルミ缶を足で潰してしまうとこのように燃えないので、そのままの形で火に入れるのがコツ
タープの撤収などもしている間に完全に火のない灰だけになった状態。石組みを作ってしまったり、たくさんの熾が残っている状態で水をかけてしまうと、こうした「更」の状態にできない。この状態にできれば、地面は短時間で元に戻る
片付け時のワンポイントとして、自在鈎に使ったハリガネで薪を強くこすると、クセが取れてきれいにまとめられる
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