源流テンカラ釣りの黎明期から、日本の各地で野営・遡行技術を磨いてきたことで知られる瀬畑雄三さん。その瀬畑さんを長く取材し、自身も源流釣りを愛好する丸山剛さんに、日頃から実践する源流釣行のノウハウを紹介してもらう。第3回目は焚き火術編。
直火でも自然を汚さない焚き火術
解説◎丸山剛
源流テンカラ釣りの黎明期から、日本の各地で野営・遡行技術を磨いてきたことで知られる瀬畑雄三さん。その瀬畑さんを長く取材し、自身も源流釣りを愛好する丸山剛さんに、日頃から実践する源流釣行のノウハウを紹介してもらう。この記事は『つり人』2018年9月号に掲載したものを再編集しています。
◆関連動画で焚き火のやり方をチェック!
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「渓の翁」流焚き火術
瀬畑さん直伝の焚き火の特徴は「直火でも自然を汚さない(方法を知る)」こと。近年は直火禁止が主流だが、正しい本来の焚き火を知ることも大切。ここではそのノウハウに沿って瀬畑流の焚き火術を紹介する。
ポイントは、平らで余分なものがない状態から焚き火を始める、薪の大きさをそろえておく、薪を燃やしきれるように余計な突起を作らない、などのノウハウ。最後に行なう後片付けについては次回で紹介する。
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平らで余分なものがない場所で焚き火を始める
瀬畑流の焚き火で大切なのが「余計なものがない平らな場所で焚き火を始める」こと。
昔の人はよく石を組んで焚き火をしていたが、石を組んでしまうと熾(おき)が石の間に詰まって風の流れが悪くなり、完全に燃えきらない場合が多い。
また、次に来る人が焚き火しにくくなるという問題がある。
丸山さんもまず余計なゴミを取り除き整地した。
河原であればこのような小砂利の場所を選ぶと同じようにきれいに焚き火ができる
木を集める
焚き火の下流側に置く「御神木(太い薪)」を切り出す。この御神木が上流からくる風を受けて火を廻りやすくしてくれる。
画面左の川は奥が上流。御神木を置いた状態。
あとは長さ50㎝ほどを目安にして、①小枝数種、②中枝(もう少し太めの枝)、③それよりも太めの枝を集めていく。その際は必要に応じてノコギリも使用する。
中枝はこのようなものを手で折っていけばよい。
薪はたっぷり集める。太い物も必要だ。
火を着ける
着火剤は便利。今回は右のエスビット(固形着火剤)を使用。
ガムテープの時はこのように接着面を表にして筒状にしたものを使用する。
今回は熾になる太い木を4本くらい並べた上で焚き付けを開始。地面から直接始めても問題ない。まず中小枝を2本あるいは1本、川と平行になるように置く。2本の場合は間、1本の場合は片側に焚き付け用の着火剤(火種)を入れる。火種の持ちがよいと焚き付けの失敗が少なくなる。
火種が燃えてきたら、小枝を川と垂直になるように火種の上に両手で固めるように置く。中小枝を置いたのは、この時に小枝が火種を圧迫しないようにするため。また、この時の小枝は、枯れ木から1つ1つていねいに手折って集め、さらに隙間が少なくなるようにまとめておく。両手で一杯くらいの小枝があると失敗しない。
小枝の山を崩さないようにしてさらに盛りつける。
小枝の次に少し太い小枝を乗せ、その上にもう小枝の山を崩さないようにしてさらに盛りつける少し太い枝を乗せ……といった具合に、だんだん太くなるように薪を乗せていく。
すると最初は白くて薄い煙が出るが、完全に火が点くとモクモクと太い煙が立ち上るようになる。そうなったら焚き付けは完了。なお、それまでは焚き火に対して何もしないのが鉄則だ。
火種をウチワ等で煽いだり、息を吹きかけるのは逆効果なので絶対にしない。重なりあった薪は熾を作りながら燃え、上の薪を乾かしていくので、自動的に火が点く。
焚き火は新しい薪をくべる等、世話をしてあげることが大切。雨が降っている時は新聞紙を広げて被せたり、木の葉を乗せておくと火が点きやすくなる。焚き火を使って調理する時は、しっかりした木を斜めに石で固定し、その木にアルミや銅のハリガネで、ビリーカンや飯盒を吊り下げると直接木の上に置くよりも安定する。今回は焚き火の横にある木を曲げて紐で固定した。木に巻き付けたハリガネの長さを調節することで火加減を変えることも容易になるので、便利な自在鈎といえる。
次回はイワナをさばきます!
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