早春の低水温時は流れの強い瀬に入って活発にエサを追わない。ある程度流れの緩い石周りに潜み、エサが目の前に流れて来るのを待っている。障害物のある深みがポイントの目安。なかでも深い淵や堰堤下などの落ち込みは本命である。見落としやすい岸際の深みも流れが緩やかで石裏にエゴがあるなら魚は着いている。
アプローチと流し方の心得
文◎望月竜也
解禁初期の渓流釣りは平野部の流れ、里川エリアが有望ポイント特に源流部が低い山で雪代の影響を受けにくい川ほど渓魚の活性が高い。ここでは富士川や大井川水系をホームにする望月竜也さんが早春の谷を攻略する10の心得を説く。
この記事は月刊『つり人』2018年5月号に掲載のものを再編集しています。
目次
- 第3回:心得7/ポイントは深みがほとんど
- 第3回:心得8/アプローチは木化け石化け
- 第3回:心得9/エサをゆっくり流す
- 第3回:心得10/時には逆転の発想を
- 第1回:心得1/装備は暖かい格好で
- 第1回:心得2/淵が絡む変化に富んだポイントを選ぶ
- 第1回:心得3/口を使うタイミングは気温が上がる時間帯
- 第2回:心得4/水温はまめにチェック、多少の増水が吉
- 第2回:心得5/道具立ては操作性重視
- 第2回:心得6/定番エサでも釣れる
望月竜也さんは1970年生まれ。山梨県南部郡在住。盛期は大ものを求めて本流に通い、南アルプスの源流域に単独でアクセスするなど幅広いフィールドで渓流釣りを楽しんでいる
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心得7/ポイントは深みがほとんど
早春の低水温時は流れの強い瀬に入って活発にエサを追わない。ある程度流れの緩い石周りに潜み、エサが目の前に流れて来るのを待っている。障害物のある深みがポイントの目安。なかでも深い淵や堰堤下などの落ち込みは本命である。見落としやすい岸際の深みも流れが緩やかで石裏にエゴがあるなら魚は着いている。
瀬脇の緩流帯にある深みや石の前がポイントになる
心得8/アプローチは木化け石化け
アプローチは細心の注意を払い、身を潜めて近づく。いわゆる木化け石化けの精神である。太陽の向きにも注意してなるべくサオや身体の影を映さないようにしたい。つまり太陽を背にする立ち位置は極力避ける。
石化けしてアプローチする望月さん。基本は下流から上流に向かってアプローチする
注意したいのは物音である。石が転がる音はポイントを潰しかねないので気を配る。振り込む前には頭上の木や対岸の枝との距離を確認して仕掛けを絡ませないように注意する。木々が被さる深みは見るからにサオ抜けのスポットだ。サイドスローで振り込むのだが、この時サオ尻ではなくサオ尻から30cmほど上を持って振り込むと、サオの重心が変わり軽い力で振り込みやすくなる。
ヒット直後にすぐ抜き上げて釣り場を荒らさないようにすると同じポイントでも数が出る
心得9/エサをゆっくり流す
基本は重めのオモリで魚の鼻先にエサがなびくようにゆっくりと流していく。低水温では魚の動きも悪い。ナチュラルな流しではアタリが出にくいことが多々ある。瀬に定位している魚を見かけたら、表層の流れよりも少し遅く流れるようにオモリを調整する。
淵等の大場所では4B~5Bといった重いオモリをハリから50cmくらい離して付け、仕掛けの送り込みを止めてエサをスイングさせるのも効果的だ。
心得10/時には逆転の発想を
渓流釣りは釣り上がりが基本である。魚は流れに頭を向ける。だから下流からアプローチしたほうが魚を脅かしにくい。しかし場所によっては釣り下ることが効果的なこともある。トレースラインが変わり、仕掛けを送り込む操作(前述のスイング誘い)がしやすくなるからだ。またアタリが出ない場合に対岸からアプローチすると釣れる場面も多い。この釣りは流れに乗せて仕掛けを流す。川の形状や石の配置によって当然流れの筋は変わる。魚の鼻先にエサを届けやすい筋は立ち位置ひとつで大きく変わるのである。
流れの緩むカケアガリでヒット