投げ釣りの中で最大級のターゲットであるコロダイとハマフエフキ(タマン、タマミとも)。強烈なアタリと引きの強さが魅力であるが、それだけにバラシも多い。いかに食わせ、いかにキャッチするかをアドバイス!
力対力の真っ向勝負でねらう投げ釣り最大級ターゲット
解説=中本嗣通
投げ釣りの中で最大級のターゲットであるコロダイとハマフエフキ(タマン、タマミとも)。強烈なアタリと引きの強さが魅力であるが、それだけにバラシも多い。いかに食わせ、いかにキャッチするかをアドバイス!
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目次
1959 年生まれ。大阪府在住。カレイ、大ギスをメインにコロダイ、カワハギ、マダイなど旬の魚を追いかけて精力的に釣行。釣り雑誌に釣行記やエッセイを執筆し、メディアにも出演。個性的なキャラクターで人気が高い。投釣倶楽部大阪会長。
この記事は『投げ釣りパラダイス2021 秋冬号』に掲載したものをオンライン版として特別公開しています
コロダイ&タマンの釣りはストロングスタイルが魅力
投げ釣りで最もヘビーな対象魚であるコロダイやタマン(タマミ、ハマフエフキ)の魅力と言えば、投げ釣りの枠を超えた“豪快さ”のひと言に尽きる。いきなりロッドが海面に向かってロケットのようにブッ飛んでいく激しいアタリを捉えると、間髪を入れず強烈な引きが襲い掛かってくる。それをパワータックルで受け止め、力勝負でねじ伏せて釣りあげる。ストロングスタイルはシンプルに面白い。力対力の真っ向勝負を制して釣りあげた大型タマン(タマミ、ハマフエフキ)。これぞ男の釣りと言える
ハマフエフキほどではないものの、磯魚であるコロダイも強い引きで楽しませてくれる。防波堤やゴロタ石浜から手軽にねらえるのがうれしい
しかし、激アタリに遭遇しても空バリばかりを引かされるケースや、首尾よくハリ掛かりさせても海底のシモリへ走られ、根ズレによるバラシということもコロダイ&タマン釣りでは珍しくない。
この「ハリ掛かりしない……」「ハリに掛けても獲れない……」という強者相手ならではのもどかしさを、どのようなプロセスで攻略するのかという知恵比べもコロダイ&タマンねらいでは魅力のひとつ。それだけに攻防を制して思い描いたとおりにコロダイ&タマンを釣りあげた時の喜びは大きい。それが60~70㎝クラスの大型ともなれば満足感もひとしおだ。
コロダイ&タマン釣りといえば渡船利用の沖磯や健脚向きの地磯などハードな釣り場を思い浮かべるが、諸条件が揃えば外洋向きの浅い海岸へも磯魚は回遊してくる。手近な防波堤や国道沿いのゴロ石サーフといったアクセスしやすいポイントでも充分に釣果が期待できる。意外と手軽にトライできるターゲットでもある。
コロダイ&タマンの基本的なタックルは?
A.サオ、リールともパワー重視
●エサを口にすると海底を疾走する磯魚。それを無理やりこちらへ向かせ、委細かまわず巻き寄せられるパワーを持ち、相手の動きをコントロールできる強い腰を備えた硬調ザオがコロダイ&タマン釣りには必要不可欠。特に水深が5~6mと浅いポイントでシモリ越しに魚を強引に巻き寄せるスポットが多い紀伊半島や四国南部では、取り込み時に主導権を握るためにも「強い腰+硬調子」ロッドが果たす役割は大きい。磯投げに使用するリールはパワフルな巻き上げ力を誇るダイワ・パワーサーフの太イト仕様がおすすめ
リールもヘビーな引きに対抗できる太いラインを巻き込める大容量スプールを装備し、大型魚にも力負けしない巻き取りパワーを持つ機種が望ましい。シモリが広がるポイントでコロダイ&タマンの魚信を待つ時は基本的にドラグロックで挑むのがセオリーだが、魚に走られても支障がない砂底や砂礫底を探る場合は食い込みに優れるドラグフリー釣法を併用するケースもあるので、簡単にドラグのON/OFFが切り替えられる機構がよい。
ミチイトはPEラインがおすすめ。PEラインは伸びの少ない特性からコロダイ&タマンの小さな前アタリや、エサ取りの動きを明確に穂先に伝えてくれる。また魚の引きをダイレクトに伝えてくれるメリットもある。以前は擦れに弱いことからシモリ周りを探るコロダイ&タマン釣りには向かないとされていたが、最近のPEラインは耐摩耗性能が飛躍的に向上し、以前と比べれ300%ほども強度が上がっている。私は10号を基準に、ポイントの遠近やシモリの多少などの条件に応じて使い分けられるように、8号~12号を150~200mほど巻き込んだ予備スプールをいくつか持参している。
海底がガチガチの岩場の場合はPEラインの先に瀬ズレワイヤを取り付けてラインブレイクを防いだり、耐摩耗性の高いナイロンライン14~16号を巻いた予備スプールを活用したりすることもある。
以上の条件を踏まえて私がコロダイ&タマン釣りに使用しているタックルは次のとおり。ロッドは機動性に優れる振出しタイプでありながら3本継ぎ。並継ぎロッドにも匹敵するパワーと強靭な腰を発揮するダイワ『トーナメントサーフT・パワートルク37号ー405E』。ガッチリとリールを装着できるスクリューシートも対コロダイ&タマン釣りに適しており、大型が掛かっても巻き寄せや取り込みに不安は感じない。
コロダイ&タマン釣りではパワー重視のタックルを使用すること。ダイワ・トーナメントサーフT パワートルクは振り出しザオでありながら3 本継ぎ設計のため、並継ぎザオに匹敵するパワーと強靭な腰を備えている。リールをガッチリと装着できるスクリューシートが特徴
リールはPEラインの10号~12号を150~200mほど巻け、ローギア比の設定でパワフルな巻き寄せをみせるダイワ『パワーサーフ 6000QD』を愛用。このリールはクイックドラグ機構が装備されているので、ドラグのロック、フリーがワンタッチで切り替えられる。PEラインは「新原糸タフPE+Si2加工」によって耐摩耗性が300%UPした『UVF棚センサーブライトNEO+Si2』、ナイロンラインは耐摩耗性が2000%UPした『アストロン石鯛マックスガンマ』を使用している。
コロダイ&タマンの仕掛けは?
A.シンプルな1本バリ仕掛けが基本
●オモリは遊動式のL型テンビンが基本。根掛かりを考えてアーム長が8~10㎝の短いアイテムを選ぶ。オモリは捨てイト8号(2本ヨリ)を介して繋ぐ。オモリは30号が基準で、六角や根掛かりしづらいホゴライナーなどを使用。仕掛けはこんな感じ。オモリを捨てイトで結ぶのは、魚が掛かっているにも関わらず根掛かりした時に切るためだ
仕掛けはトラブルの少ないシンプルな1本バリ。根掛かりを減らすため全長50~80㎝と短尺仕様に仕上げる。ハリスには根ズレに強いフロロカーボンがよい。私は『ディーフロン船ハリス』を愛用している。号数はねらう魚種やサイズ、海底の状況に応じて変えている。コロダイねらいなら14号をメインに12~16号、ハマフエフキねらいなら18号をメインに16~20号。
根掛かりが激しいポイントを探る時は特殊石鯛テンビンを使用した捨てオモリ式の胴突き仕掛けも使う。枝スは15~30㎝と超短めでよい。強度と絡み防止を考えてフロロカーボンの20~24号を使用。捨てイトはナイロンライン8~10号を40~60㎝。
大型ねらいには太軸仕様のハリを選択。磯投げバトルはフトコロが広いため生エサも刺しやすい
中、良型ねらいにはサーフ真鯛やブレイドサーフがよい。長軸設計なので虫エサが付けやすく、大きく見せることも可能
ハリは対象魚やエサの種類によって使い分ける。虫エサやエビを多用するコロダイねらいでは、エサを大きく刺せて吸い込みがよい長軸タイプのささめ針『サーフ真鯛』や『ブレイドサーフ』のLが適している。ハマフエフキねらいではイカや魚の切り身などの生まエサを使うことが多い。それらが刺しやすいフトコロが広めで中軸タイプの『磯投げバトル』L~XL、『コロダイ・タマミ』22~24号を使用する。なお、チモトのスッポ抜け防止のために結び目へ瞬間接着剤を少量塗布する。いずれのハリも強度は抜群でヒネリが入っている。魚がエサをくわえて反転した時に口もとに掛かりやすくするためだ。
漆黒の海底で魚にアピールする発光アクセサリーは有効で、ハリのチモト部分に夜光玉(φ3~4mm)1~3個を入れる。ケミカル発光するルミカ『ルミコ』もアピール効果は高く、磯魚にはオールマイティーなグリーンの他に、甲殻類が発する色に近いブルーがよい。
コロダイ&タマン用の市販仕掛けとしてはささめ針『投激マダイ』や『紅マダイ』がある。10~12号の太ハリスにチモト部分がケプラーノットで補強されている。ハリスを傷つけるフグの被害を軽減し、エサをハリスまでたくし上げて大きく装着することも可能。長いと思う時は50~80㎝にカットすればよい。
前アタリやエサ取りの状況を知るためにミチイトはPEラインを選択。強度も優れており、遠投も効くからありがたい
夜釣りで威力を発揮するのが発光アイテム。ルミコのグリーンやブルーで実績が高い
コロダイ&タマンのエサは何がいい?
A.イワイソメをメインにエビやイカなど
●コロダイ&タマンねらいで最も実績が高いエサがマムシ(イワイソメ)だ。それも小指ほどの極太サイズがよい。独特の体液の匂いに魚が寄るようだ。特にコロダイねらいに効果的で、できればイワイソメのみで釣るのが理想的。ただ、エサ代が高くつくのと、アナゴ、フグ、ゴンズイ、ネンブツダイなどの他魚もよく当たる。そこで、比較的エサ取りに強い他のエサと併用するのが一般的。私はスーパーで売られている無頭エビ(バナメイやブラックタイガー)の小~中サイズをよく使う。尾部をハサミで切り取って通し刺しにすると口もとへのハリ掛かり率が高い。扱いやすいが釣果にムラが出やすいという欠点も。エサ店で販売されている冷凍エビなども入手しやすく扱いやすい。
ハマフエフキに効果的なのがイカ。特に初夏からスーパーで出回る胴長6~7㎝の“ヒイカ”の1匹刺しは抜群に食いがよい。スルメイカなどは2~3㎝幅の短冊状に切り、上部を縫うようハリに刺す。下部に切れ目を入れて動きを演出するような工夫をする。
他に青魚の切り身やキビナゴ、赤貝の冷凍ムキ身といった生エサで好釣果を上げているキャスターもいる。
エサはコロダイにはイワイソメ、エビ。ハマフエフキにはエビ、イカなどを使う。状況次第で当たりエサが変わるので必ず複数のエサを持参する
コロダイ&タマンが釣れる季節と地域は?
A.初夏から晩秋が好シーズン。水温が高い太平洋岸がねらい目
●関西圏においてコロダイ&タマン釣りが盛んなエリアといえば、水温が高めな紀伊半島南部(中紀、南紀、紀東)の沿岸だ。昔から磯釣りが盛んなこともあり沖磯・地磯へ渡す渡船店やエサ店が多い。また徒歩で入れる地磯や防波堤、ゴロタ石浜といった地方の釣り場も多彩なことから、シーズンになると多くのコロダイ&タマンフリークが紀伊半島を訪れる。紀伊半島では水温が上昇する5月中旬から釣れ始め、梅雨時期になると一気に好釣果情報が流れるようになる。これはハマフエフキが6月から7月初旬に乗っ込みを迎え、沖磯や地磯のシモリ周りに回遊してきて活発に捕食行動をとるためだ。この時期には60~70㎝の大型がねらえ、時には80㎝クラスも出る。群れで回遊しているため思わぬ数釣りができることもある。
コロダイも6月下旬から本格的なシーズンに入る。ハマフエフキに比べて水深の浅いポイントへも回遊してくる。夏魚であるコロダイ&タマンはともに9月下旬までがベストシーズン。水温が下がり始める10月中旬になると中紀の浅いポイントから順に魚影が消えていく。南紀では12月までねらうことが可能だが、確率は極端に低くなる。
四国南部(徳島~高知)の海岸線にも好ポイントが点在する。6月から9月は高知県西部に浮かぶ沖の島や鵜来島、柏島、関東圏の伊豆諸島などの離島が好シーズンを迎える。このエリアでは80~90㎝の超ド級ハマフエフキがねらえる。
コロダイ&タマンは暖水系の魚なので太平洋岸が釣り場となる。コロダイは意外と浅場に寄るのでサーフや防波堤でも充分にねらえる
後編:釣れるポイント選びのコツと時合
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