この釣りはありとあらゆる情報を駆使して組み立てていく釣りだ。魚の色も情報のひとつになる。同じニジマスでも背中が黒い(濃い)個体と白い(薄い)個体がいる。これらの違いで放流されてから時間が経っているかどうかがわかるのだ。黒い個体は放流したばかりのフレッシュな個体で、時間が経っている白い個体は経験値を積んで賢くなっている個体。
まずはスプーンとクランクを用意
文と写真=編集部
ニジマスをルアーでねらう管理釣り場(=エリアトラウト)は初心者向けのイメージが強いが、実はエキスパートもハマる奥深さがあった。これから始める人や今までなんとなく釣ってきた人へ奥が深いエリアトラウトの基本を紹介。
目次
- 第3回:応用/大型ねらいは「ずらす」
- 第3回:応用/グリップの握り方で釣果が変わる
- 第1回:まず用意するルアーはスプーンとクランク
- 第1回:ラインを使い分けがアタリを増やす
- 第2回:管理釣り場でのスプーンの使い方
- 第2回:管理釣り場でのクランクの使い方
- 第2回:ボトムとトップの釣り
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応用/大型ねらいは「ずらす」
スプーンもクランクベイトも共通しているのはまずはアタリを取ること。アタリさえあればそこからいかに調節してヒットに繋げていくかがこの釣りの奥深さだ。巻き速度を変えるのか、ルアーを変えるのか、ラインを変えるのか、などなど膨大な選択肢があるのがおもしろい。
午後になり、木陰が池を覆うようになってきた。覆う前と比べ魚の反応が多い場所や反応自体も変化していく
さらに大型魚にねらいを絞ることも可能で、一言でいえばその時のパターンから何かをずらせばいいと松本さん。松本さんは、アワセがなくても一投一尾でキャッチできるのが100点の釣りだとしているが、その時に釣れる魚のサイズはその場所で一番数の多いレギュラーサイズ。大型魚は数も少なく、レギュラーサイズとは何かが違うことが多いため、そのレギュラーサイズが釣れる基準のパターンから巻き速度やタナなどをずらすと釣れやすいそうだ。ただし、ずらすということはレギュラーサイズも釣れにくくなることでもある。
魚体の色も情報のひとつ
この釣りはありとあらゆる情報を駆使して組み立てていく釣りだ。魚の色も情報のひとつになる。同じニジマスでも背中が黒い(濃い)個体と白い(薄い)個体がいる。これらの違いで放流されてから時間が経っているかどうかがわかるのだ。黒い個体は放流したばかりのフレッシュな個体で、時間が経っている白い個体は経験値を積んで賢くなっている個体。このことを知っておくと釣りを展開していくにあたって選択肢に幅が出ることだろう。
応用/グリップの握り方で釣果が変わる
アタリがあるのに掛からない時など、少し違うのかなとタナやルアーを変える前に確認しておきたいことがある。それはグリップの握り方やハリ先だ。特にグリップの握りはアタリが出て気持ちが前のめりになると握り込んでしまいがち。そこを堪えて力を抜くだけであっさりと掛かるようになることが多々ある。それでも掛からないようであればハリ先が鈍くなっている可能性があるのでチェック。せっかくのチャンスを逃さないように替えバリは用意しておこう。爪にハリ先を立てて滑らないか確認するのが一般的だ。
アタリがあるのに掛からない時はロッドを握りしめないよう意識する。ロッドだけでなくリールのハンドルも軽く持って巻いている
釣り場の状況は刻一刻と変わっていく。取材当日のようすでいえば朝は底周辺に固まっていたが、日が昇っていくにつれて魚も徐々に浮いてきた。気温が高くなる2時頃には水面で跳ねる魚もよく見られるほど浮いていたが、周囲の木の影が差し込んでくると同じ池の中でも日影になっている部分では反応が悪く、日差しが当たっている部分に移動すると釣れるなど、水中だけでなく周りの環境なども釣果に繋がる要因となる。さらに放流などもあり、パターンを見つけてもすぐに変わり、釣れ続かない。対応するためには魚や道具の知識、使うルアーの種類……などさまざまなものが必要になる。自分なりに理由を付けて手を変えることで自分のイメージと状況があっているか答え合わせを繰り返す。そうして少しずつ魚に近づいていくのは他の釣りと同様で楽しいものだ。観察力と想像力を駆使して目まぐるしく変わる状況に対応できた楽しさを味わいにぜひ近くの管理釣り場へ行ってみてほしい。
成田空港の近くに位置するジョイバレーは初心者にもおすすめな人気の管理釣り場だ
ハリ先の鋭さも重要だ。気になったらためらわずに替えバリと交換するとよい。ハリ先やハリ全体の形状によっても違いが出るというからおもしろい
取材でお世話になったジョイバレー
●放流魚種:ニジマス、ロックトラウト、イトウなど
●アクセス:東関東自動車道・成田ICから空港方面・芝山・多古方面へ。左手奥にファミリーマートが見える交差点を左折する。200m程でY字路となるので右側へ進んで行くと到着。
こちらの記事は『つり人』 2021年4月号に掲載したものをオンライン版として特別公開しています!