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編集部2023年3月20日

日本の巨大魚オオニベをねらう

魚種別釣りガイド オオニベ

見た目はイシモチ。しかしそのサイズには、誰もが驚くはず。メーターを優に超える魚体も夢ではないオオニベは、本場・宮崎でも簡単に釣れる相手ではない。だが近年、東京や愛知からもアクセスしやすい遠州灘でも、この巨体がねらえるのだという。

オオニベ釣りのコツは○○。

レポート◎橋本康宏

 

本場・宮崎県でオオニベ釣り初体験

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数十年前、釣り雑誌で宮崎県のオオニベ釣果写真を見て衝撃を受けたことは、今でも鮮明に憶えている。遠州サーフでシーバスやヒラメを釣っていた私にとって、当時オオニベは身近な存在ではなく、「宮崎はすごいな」と思っていた。

それから時が経ち、私は釣り関係の仕事に就いた。そしてある時、DUO安達政弘社長が自ら原型を削ったルアーを見た。そのサイズやフォルムを見て「ニベですか?」と聞くと、「そう、それ用のビッグミノー」との返事。そして誕生したのが『タイドミノーゴースト170F』だった。全国各地に潜む大型魚をねらうミノーだが、そのルーツはオオニベ用だったのだ。

実はこの数年前から、静岡県の遠州サーフでオオニベが釣れるようになっていた。遠州のオオニベは、ビッグミノーでの釣果実績が高い。

身近なターゲットになったとはいえ、オオニベを釣るのはそう甘くない。実績のある場所に通っても、アタリもない日が続いた。そんなおり、『ルアーパラダイス九州TV』に出演することになった。ねらうは宮崎県のオオニベ。使用ルアーは『タイドミノーゴースト170F』一択。

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タイドミノーゴースト170F(DUO) 新型重心移動システム「D-BULLET SYSTEM」により飛行姿勢を崩しにくく、飛距離が出るので広範囲を探れる。ミノーの操作方法はタダ巻きが基本。オオニベはトリッキーな動きにも反応するので、ジャークを織り交ぜてもよい。ミノーを引く泳層は、ロッドの角度でコントロールする。浅い場所を引く時はロッドを立てて、深い層を引く時は下げる。オオニベはボトムレンジでの実績が高い。

 

宮崎ではメタルジグやバイブレーションでの釣果を多く目にしていた。そのためビッグミノーが有効なのかどうか不安がよぎった。しかし遠州では実績があるので、宮崎でも通用するはずだ。現地のDUOモニター・柳瀬弘和さんと連絡を取り合い、宮崎に飛んだ。

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オオニベは20kg クラスになる魚。ロッドは最低でもM パワー以上を用意したい。ロッドの適合ルアーウエイト表記は45g 以上。ライトアクションのロッドでも運がよければキャッチできるが、時間が掛かって逃がしてしまう可能性が高い。ラインは1.5 号以上を300m 巻いておけば安心。リーダーはナイロン40 ポンドを使用した。ルアーが大きければ、リーダーが魚の歯に当たる危険性は少ないが、ジグやバイブレーションでねらう場合は丸呑みも考慮して太いリーダーにするとよい。

 

 

チャンスは11月から翌3月ワンドの深場が好ポイント

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私たちが入ったのは、通称「動物園裏」と呼ばれるサーフ。一ツ葉サーフポイント周辺になる。オオニベポイントとして有名で、150㎝を超えるサイズもキャッチされている。

潮回りは大潮と中潮を選んだ。海のルアーフィッシングにおいて潮の流れは重要な要素。基本的には潮が動く日がよい。また日中の釣りでも、満月なのか新月なのかも影響する。今回は満月あたりのタイミングとなった。ただし「小潮回りでも、ベイトさえいれば釣れる」と柳瀬さんは教えてくれた。

宮崎では11月の終わりから3月までがシーズン。ピークはクリスマスから2月くらい。遠州でも同時期がシーズンだが、水温の関係で宮崎よりスタートが早いように感じる。また遠州では5月や6月でも、少ないながらオオニベの釣果がある。

宮崎のアングラーに聞くと、ポイントはワンド状の場所で、より深いエリアで実績が高いという。ただし、状況によっては浅場でもチャンスはある。

ちなみにサーフでは白い波が立っている所は浅く、波がない所は深い。白い波が細かい段のように立っている所は特に浅い。なおワンドはヒラメねらいでも外せない場所だ。

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オオニベが好むベイトは、宮崎ではグチ(イシモチ)といわれる。グチが寄ると水面が黒くなったり、ルアーにもゴツゴツと当たったりする。サイズは15㎝から30㎝近いものまでさまざま。それを見て170㎜ミノーの大きなシルエットも有効だろうと感じた。

ちなみに、遠州のベイトはコノシロがメイン。イシモチも多少いるが、宮崎ほどの大群は見ない。逆に宮崎ではコノシロは群れの動きが速く、メインベイトにはなりにくいようだ。また宮崎でキャッチされたオオニベの口の中に、シラスがたくさん入っていたという話も聞いた。いずれにせよ、種類を問わず「ベイトの存在」は重要になる。

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宮崎県でオオニベのベイトフィッシュといわれるグチ。群れが岸に寄ってくるとスレ掛かりが増えるが、イシモチがルアーをくわえるようになるとオオニベがヒットする確率が高くなるという

 

時合を読むためのキーワードとは?

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オオニベと似たようなポイントでヒットするヒラメ

 

意識すべきは、時間、潮、そしてベイト。まず外せないのはマヅメ時。特に朝マヅメはプランクトンが浮上しやすく、それを追って小魚も浮く。フィッシュイーターの捕食スイッチが入りやすい。

日中でもチャンスはある。ここで意識するのは潮。鉄板なのが下げ潮の干潮回りだ。潮位が下がると地形の変化を見極めやすく、魚の付き場も把握できる。前述したワンド状の地形で最も釣りやすいタイミングでもある。潮位が下がると、魚は深みに溜まる。ベイトの密度が上がれば、フィッシュイーターにとっては捕食しやすくなる。

下げ潮では沖へと向かう流れ、いわゆる離岸流が発生しやすく、ここにもベイトが集まる。そして満潮から下げ潮、干潮から上げ潮へと変わるタイミングもチャンスになる。

これらの条件が合ったとしても、結局はベイトの存在が最も重要。柳瀬さんらに、興味深い話を聞いた。宮崎ではグチの接岸がオオニベへの近道となるが、いるから釣れるとは限らない。現に私もグチの接岸に当たったものの、オオニベの反応は得られなかった。グチが寄ればルアーにスレで掛かることが多いのだが、スレではなくグチがルアーを食ってくる時ほど、オオニベの実績が高いという。これは経験豊富なベテランだからこそ得られた情報だろう。

 

 

終了間際に柳瀬さんが本命を!

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今回は4日間の日程で、下見の2日間は本命のアタリなし。そして迎えたロケ初日は北東10m前後の強風。宮崎サーフは東風だと向かい風になるので、風を避けやすい鴫しぎのはま野浜に向かった。とはいえ高い波が押し寄せ、厳しいコンディション。歩きながらポイントを探り、河口付近のワンドエリアに入った。ワンドの中に向けて風が吹いていたので、ベイトが入りやすい状況。水深があり、波は比較的低い。しばらくすると柳瀬さんのもとに「動物園裏でオオニベが!」との連絡が入った。前日まで落ち着いた海況だったので、荒れだしたタイミングで食いが立ったのだろうか。すぐに向かうことにした。

どうやらグチが寄っているようだが、掛かるグチはすべてルアーにバイトしているという。鴫野浜よりも荒れていたが、本命がいるならと逆風下でも釣り開始。新型重心移動システムにより、勝負できる距離は飛んでくれる。だがグチは掛かったが、いずれもスレ掛かり。夕暮れまでキャストを続けるも反応はなかった。

そして最終日。前日とは状況が一変し、多少波は残っていたものの無風に近い。動物園裏サーフに入り、日の出前の暗い時間帯にヒラスズキらしき魚がヒットしたがフックアウト。それからは反応がなく、昼頃まで苦しい時間が続いた。

そこでふと、前日に入った鴫野浜のワンドが気になった。北東の風が当たり、ベイトを寄せている可能性を考えて移動。到着すると地元アングラーが「ベイトの回遊があり、青物の釣果が出ている」と言う。オオニベとファイトしている方もいた。残りは2時間ほど。ようやくチャンスが訪れた。

そして終了間際、柳瀬さんのロッドが大きく曲がった。ドラグ音を響かせる魚は、引き方から青物ではなさそうだ。寄せてはラインを引き出されての攻防の末、いよいよ波打ち際へと寄てくる。浮き上がった魚体は、破格の大きさ。波と同時に寄った尾を私がつかみ、無事ランディング。干潮のタイミングで飛び出したのは、135㎝のオオニベだった。私の手よりもはるかに大きな尾ビレ。迫力に満ちた顔付きで、背中を走る美しい紫に惚れ惚れした。

ヒットルアーは『プレートバイブロング』。鉄板のバイブレーションで、110㎜のサイズで強いフラッシング、波動でアピール力が高い。ボトム付近のリトリーブでヒットしたとのこと。

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撮影終了間際、柳瀬弘和さん(右)がDUO『プレートバイブロング』で掛けた135cm の本命

 

 

残り10分で訪れた好機

リリースをすませると、すでに撮影終了時間。

「あと10分だけ投げさせてほしい」

快諾してもらい、私は再びキャストを開始。明るい時間ということもあり、ミノーのカラーはフラッシングと紫外線発光によるアピールが魅力のUV銀ピカコノシロを選んだ。

潮の流れが利いているようで、リールを巻く手に重みを感じる。数投目、ちょうどカケアガリあたりにルアーが差し掛かったところで、強くひったくるようなバイト。サオ先を叩くトルクのある引きだ。柳瀬さんにランディングしてもらった魚は、ずっと追い求めてきたオオニベだった。メーターとまではいかなかったが、1尾との出会いでこれほどの感動を味わえるとは……本当にすごい魚である。

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ホームグラウンドでもオオニベキャッチ!

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宮崎で学んだことを活かし、後日私は遠州でもオオニベをねらった。ルアーはやはり『タイドミノーゴースト170F』。秋から冬にコノシロやアジが回遊するため、遠州ではこれらのベイトを捕食している可能性が高いはずだ。

地元の方から釣果情報を得て、釣行したのは1月19日の中潮。下げ潮をねらってワンドエリアに入った。干潮までの下げ、そして上げ始めまでが勝負。選んだカラーは、夜間のため視認性が高いマットチャートコノシロ。ルアーを引くレンジは60㎝から1m。ウォブリングにロールを混ぜ、大ものを誘う

宮崎では日中に釣ることが多いが、遠州は夜が本番。ただし日中でも釣果情報は増えている。潮位が高い時間帯は反応がなかったが、干潮近いタイミングで沖をスローに巻いているとヒット!強い引きでロッドを絞り込んでくれた。

その後、干潮から上げ始めの時間帯には同ミノーのパールチャートOBⅡカラーでヒット。沖合でスローリトリーブしている時の釣果だった。最終的には、地元でも2尾のメーターオーバーをキャッチすることができた。

最後になったが、オオニベを釣るために大事なことは、とにかく「通う」こと。キャストを続けていれば、いつかチャンスが巡ってくる。

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安定して釣れるようになったのは、おそらく5年ほど前から。SNSが普及したことで「遠州のオオニベ」というパワーワードを目にするようになり、専門でねらうアングラーも増えた。そのおかげで使用ルアーやメソッドも確立された。ねらう人が増えたため、オオニベの釣果が安定して聞かれるようになり、魚が以前より増えていると感じるのかもしれない。ほかにオオニベが釣れるようになった要因としては、海水温の上昇が考えられる。最近では千葉県周辺のサーフでもオオニベの釣果があるので、今後は少しずつ北上していく可能性はある。ちなみに遠州は遠浅の地形が多いが、急深の駿河湾サーフでも安定したオオニベの釣果が聞かれるようになった。

 

イベントのお知らせ

3月25日(土)12:00~18:00につり具の上州屋 東陽町店でDUOシーバスイベントを開催。

当日は【シーク85S】【BRフィッシュ】のイベント限定カラーを販売予定となっている。

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※この記事は以下の「つり人 2023年4月号」を再編集して掲載しています。

 

 

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『ザ・ヒストリー・オブ・ルアーフィッシング~ルアー&リール 進化の軌跡』

国内外で広く親しまれている疑似餌釣り=ルアーフィッシング。その起源や発展の歴史を、リールとルアーの登場・進化の過程に軸足を置きながら当時の文献・雑誌記事を掘り起こし解説を試みた本邦初の書。 新しいスタイルのリールは、登場する度にルアーの小型化・軽量化を可能にし、ルアーフィッシングの発展に大きく貢献してきた。英国で古くから発達した片軸受けリールは20世紀に入ると米国式の両軸受けリールに駆逐される運命をたどるが、第二次世界大戦後は逆に英国発祥のスピニングリールが米国へ輸入され未曾有の大流行を巻き起こしていく…。 また一方、新勢力の台頭が旧勢力から反発を買うのは世の習いで、中世より西洋釣魚界に君臨するライフィッシング愛好家は、自分たちの聖域に土足で踏み込む兄弟を軽蔑し、公然と敵視した。 歴代の釣り人たちが遺したそれぞれの主張を織り交ぜながら、英国・米国のリール史と時代を彩ったルアー、それらに熱中し時には翻弄されていく当時の釣り人模様までを、著者が時の彼方から召喚し、鮮やかに浮かび上がらせる。 『ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド』『ザ・ヒストリー・オブ・トラウトフライズ』に続く待望の三部作、全ルアー・フライアングラー必読の書。

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