浮き上がりの早いフロートシンカーは根掛かりを回避しやすい。だから根周りも恐れず攻略可能だ。構造はシンプルなので自作もできる。
根歩きもできる夢のオモリを自作してみよう
解説◎坂井勇二郎 写真・文◎編集部
浮き上がりの早いフロートシンカーは根掛かりを回避しやすい。だから根周りも恐れず攻略可能だ。構造はシンプルなので自作もできる。
この記事は月刊『つり人』2020年6月号に掲載したものを再編集しています
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目次
前編
後編
番外編:シグナルテンビンの作り方
フロートシンカーとは
フロートシンカーとはナマリの上部に浮力材を装着した投げ釣り用オモリのこと。以前は自作の「硬質発泡製」、「木製」が主であったが、ダイワをはじめいくつかのメーカーから木製やウレタン製といったフロートシンカーが市販されている。私が愛用し始めたのは10年くらい前。北陸の名手、西向雅之さんが使っていたことに興味を持ち「どんなものか」と使ってみたのがきっかけ。その浮力(浮き上がりの早さ)に魅力を感じ、特に根周りをタイトに探る大ギスねらい、根越しのシロギスねらいで非常に有効なアイテムである。以来、自作をするようになって五島列島福江島や対馬でもテストをした。根掛かりの回避しやすさから、今やフロートシンカーの虜になっている。
PEのミチイトに直線系テンビン(シグナルテンビンなど)をセットするのが効果的。テンビンとオモリ部分が根掛かりしにくいことから、根を怖がらず際までサビけ、根をまたいだサビきも可能だ。カワハギねらいの際は、岩盤状の海底を探ることも多いが、その根の上に投げ込んでサビくことができる。それまでのカワハギ釣りでは、カワハギが根から砂地に回遊しているタイミングだけが時合だったが、フロートシンカーを使えば根の中、岩盤の上もねらえるので、カワハギをねらえる時間とポイントが大幅に広がった。
回収時は真上に近い浮き上がりをすることから、海面近くまで繁茂している海藻の先でシロギスを掛けても、海藻に取られず取り込むことができるようになるし、ほかの魚も同様に釣ることができる。固定L型テンビンの人と並んで釣って、その釣果に大差をつけたことが多々ある。
▼①が坂井さんの自作フロートテンビン。②投げ釣りのトーナメンターが愛用する木製オモリも浮力が強い。③ダイワからはその名も「フロートシンカー」が市販されている
▼海底で立ち、浮き上がりが速いフロートシンカー
▼フロートシンカーは直線系テンビンと組み合わせて使用する
必要な材料
▼①ウキ作り用の硬質発泡材(穴アキ18㎜か20㎜)②富士工業の「カイソー天秤」または「デルナー天秤」※カイソーの直径は16㎜、デルナーは19㎜だが、太い発泡で浮力重視に作る
▼①定規、②ニッパー、③カッター、④プライヤー、⑤彫刻刀(半円R形状)、⑥先丸ラジオペンチ、⑦マイナスドライバー、⑧パイプカッター、⑨ゼリー状瞬間接着剤、⑩防水テープ(写真はアサヒペン「パワーテープ」
作り方1:テンビンオモリを分解する
▼例として使うのは「デルナー天秤」30号。最初にパイプカッターを使い、キャップ部をナマリ本体から分離させる。パイプカッターを使わなくても、隙間を空けてマイナスドライバーを差し込めば分離させられる
▼テンビンアームの1本を付け根でカット。後でシグナルテンビンを作る材料にもなる
▼残ったステンレス線の頭(輪)もカットする
▼テンビンを分解した状態
作り方2:発泡材にナマリをはめ込む穴を彫る
▼キャップとナマリの間にはめ込むウキ作り用の発泡材を10cm程度にカット(10cm単位で使うと半端が出ない)
▼切った発泡材にオモリをはめ込むので、その形に穴を削る。分解したシンカーのキャップの穴径を測り、まずは目測で荒削りする。最終的にはシンカーのナマリ凸部がぴたりとハマる大きさの穴にしたいが、最初は彫り過ぎないようにする
▼穴が空いたらナマリ本体部を差し込み、ナマリの大きさを確認しながら削る。その際、アームは発泡材の中心に空いている穴からズレないように差し込むこと
▼ナマリ凸部を差し込み、左右に回して擦る
▼擦ったナマリ跡が穴の中に付くので、そこを削る。この繰り返しで穴の形状に彫っていく。この時の注意点は、穴の深さとナマリの長さ、先端側のR形状などを目測で確認しながら削ること
▼穴を彫ってシンカーがハマった状態。穴の大きさは、大きめになると接着が悪くなるし、きつすぎると発泡材が割れるのでほどよい大きさに。この感覚は慣れも必要
作り方3:キャップ装着部の加工
▼発泡材の先端(上部=ナマリを差し込む穴を空けたほうとは反対側)から1cm程度のところをカッターで1周し、2mm程度の切れ目を入れる
▼発泡材の真上側から荒削りにカットしていく。おおよそのキャップの内径を頭に入れてカットする
▼キャップを当ててみて、微調整して削る
後編「発泡材の穴に付属のパイプをはめ込む」へ続く……