冬の淡水ウキ釣りといえば、オカメタナゴ(タイリクバラタナゴ)と小ブナが人気だ。共通するのは、どちらも繊細な仕掛けを使いこなすこと。基本を押さえて、昔ながらの「寒の釣り」に挑戦してみよう。
ウキ釣りで謳歌する水郷の冬
写真&文◎葛島一美
冬の淡水ウキ釣りといえば、オカメタナゴ(タイリクバラタナゴ)と小ブナが人気だ。共通するのは、どちらも繊細な仕掛けを使いこなすこと。基本を押さえて、昔ながらの「寒の釣り」に挑戦してみよう。
目次
- ・タナゴ仕掛けの親ウキの選び方
- ・タナゴ仕掛けのイトウキ選び&オモリ調整
- ・厳寒期の小ブナ釣りの数珠シモリ仕掛け
- ・羽根ウキシモリの作り方
タナゴ仕掛けの親ウキの選び方
古くは関東エリアの水郷で始まった寒タナゴ釣り。現在では西日本にもその面白さが伝わり挑戦するファンが増えている。
代表的な仕掛けは、親ウキとイトウキを組み合わせた連動シモリ仕掛けだ。親ウキは仕掛けを操作する基点として活用し、アタリの大半は親ウキ下部に配列したイトウキの微妙な変化で読み取る。
寒タナゴ釣り用の親ウキの中でも、特にオーソドックスな基本形といえるのが、斜め通し式でスリムな形状の通称トウガラシウキ。写真の右から7本までがそれにあたる(なかでも使いやすい全長20~25mmの中型サイズは右から5本目)。同じ斜め通し式でも、より浮力を持たせたり、視認性を重視したファット型(左の3本)もある。なお、これらのウキは通し穴にミチイトを通したあと、直径0.3~1.0mmの極細のミニゴム管やウレタンパイプでミチイトを足に留めて使う
親ウキの形状は、古くからトウガラシウキと呼ばれるパターンが多い。素材はバルサ、桐などの木材のほかに、最近では硬質発泡素材もよく使われる。いずれにしても、タナゴ釣り用の親ウキであれば、全長(足の部分は含まない)で15~35mmのミニサイズがほとんどだ。
これら親ウキには、仕掛けの操作性を重視する目的で、ボディーにミチイトを通す穴が開けられている。万能型といえるのは斜めに通した“斜め通し式”だが、穂先の真下で仕掛けを操るような場面では、ボディー中央にミチイトを通す“中通し式”を選ぶのもよい。また、近年は視認性がよく、ユニオカメタナゴ釣り親ウキの選び方ークなアタリの出方が楽しいプロペラウキなども登場している。
どの親ウキを選ぶかは好みによる部分も大きく、これが正解という決まりはない。また、ウキのサイズが小さいほうが感度がよいと思われがちだが、水郷エリアのホソや舟溜まりといった場所で楽しむ野釣りでは、風の影響で水面がざわついていたり、流れを伴う場所だと、親ウキが極小過ぎると仕掛けが安定せずに釣りにならないこともよくある。
それらも踏まえ、ビギナーがまず1つ目を選ぶなら、親ウキは全長20~25mmの中型サイズで、トウガラシ型の斜め通し式がおすすめ。あまり安価なものは避け、全体の形が整っていてバランスもよさそうな、1本1000円クラスの親ウキを買い求めるとよいだろう。
ボディーの中央にミチイトを通す中通し型もある。このタイプはウキ下部の穴に箒の芯などで詰める栓止め方式でミチイトに留める
親ウキ本体やイトウキの間に羽根(プロペラ)を配した仕掛け。魚が仕掛けを引き込むことで、プロペラの付いた部分がクルッと回転するという仕組みが基本だ。近年はこの発想を生かし、通常の連動シモリウキ以上に高感度な「極小親ウキ+極小プロペラ(写真下)」を自作する人もいる
仕掛けを足もとに垂らし、繊細なアタリを見極めて釣っていく寒タナゴ釣り。写真は上から切り寸法5寸(約15cm)元7本継ぎ、7寸(約21cm)元5本継ぎ、8寸(約24cm)元の替え手元付き4本継ぎの江戸和竿。継ぐとすべて約80cmになる。こうした道具をあつらえるのもタナゴ釣りの楽しみだが、カーボン製のタナゴザオでももちろん問題はない
冬場でも水が残る水郷地帯のホソは、寒タナゴ釣りの代表的なフィールド。こうした野釣りの場合は、小橋、小水門、枯れたオダの入った暗渠(あんきょ)など、オカメタナゴが冬期に身を寄せていそうな水辺を捜すところから釣りが始まる
こちらの記事は『つり人』2021年3月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。