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魚の視覚と釣果の関係にせまる:色の違いよりも明度が重要?

ルアーとエサの「色」を科学する :第4回

解説◎長岡 寛
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 エサやルアーは、魚にハリに食いついてもらうための最も重要な釣り具といえます。
 新刊『釣りエサ(ルアー・エギ・毛バリ・生エサ)のひみつ』は、最新の情報やデータを元に釣りエサにまつわるヒントを科学的に解説した1冊。
 解説を担当してくれた長岡寛さんは、釣りエサメーカーのマルキユー㈱で製品開発に携わり、東京海洋大学の公開講座「フィッシング・カレッジ」では講師も務める第一人者です。
 今回は特別に本書の内容の一部を公開します。第3回に引き続き、魚の色覚と釣果の関係を科学的に考察していきます。


◆連載 ルアーとエサの「色」を科学する
第1回:釣りが上手い人ほどエサに気を遣うのはなぜか?
第2回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:魚は色を見分けるのか?
第3回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:アオリイカの餌木とクロダイの練りエサからわかること
第4回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:色の違いよりも明度が重要?

色の違いよりも明度が重要?


 第2回の冒頭では「魚は色を識別できる」というお話をさせていただいたが、色を識別できることが即、特定の色に釣果があるということではないようだ。

 魚と釣り人が見ている色は、そのまま同じに見えているのだろうか。残念だが、現代の科学では解明されていない。また同じ色彩の物体でも光の加減や周囲の明るさによって異なる色彩に見えることがある。水中ではさらに異なる色に見えることはご存じのとおりで、水深が増すほど青っぽく見える。これは光が水中を進む時にエネルギーが奪われるためだ。水中で最もエネルギーのロスが少ない波長は約500nm(ナノメートル)といわれ、緑色がかった青色の光だ。海が青く見えるのもこのためだ。陸上では色鮮やかに見える色彩はさまざまな波長の可視光線によるものだが、水中ではこうした制約がある。そのためせっかく鮮やかな色彩を塗装しても、水深が増すと色は褪せてしまう。

 物体を見る光受容体と呼ばれる組織の中には、色彩を判別する錐体と明暗を識別する桿体という2種類の細胞がある。人は日中ものを見る時に錐体を使っているが、周囲が暗くなると桿体を使って判別する。人の桿体の感度は錐体の20倍といわれているが、魚の桿体は錐体の100倍の感度がある。言い換えるなら魚は色彩よりも明暗に対して敏感だ。こうしたことから、ルアーに施されるさまざまなカラーの中で魚に対してよりインパクトが大きい要素は、(ルアーの)色彩よりも明暗ということになる。

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 さてここに青、赤、蛍光黄、黒と鮮やかな4色にペイントされたスプーンがある。これを色彩よりも明暗を識別する錐体に映ったことを想定して、色差計という装置を用いて明暗(以下、明度)を計測すると、青色のスプーン①と淡い赤色のスプーン②の明度はほぼ同じだ。しかしスプーン③と黒色のスプーン④の明度は大きく異なる。これが水中だと水の透明度や周囲の明るさによって魚からの見え方にも大きく影響するのだ。

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 ルアーのカラーをチェンジする時、鮮やかなカラーに目を奪われがちになるが、①と②のような色の変更よりも、③と④のように明暗を意識して変えたほうが明らかに魚から見た時のインパクトが大きく異なるのはそのためだ。その日の釣り場の状況でどのカラーが有効かを考える時、ルアーの鮮やかな色彩だけに関心を奪われることなく、明暗の違いを意識したカラーローテーションが重要かもしれない。

 魚の色覚と釣果についてまとめてみよう。まず魚の多くは色の識別ができる。とはいえ一定の色彩の釣りエサばかり使い続けると釣果が落ちてくることがある。このような時はカラーを変更するとすぐに釣れることがある。ただし擬似餌を一定の頻度でカラーを変更して繰り返し使うと、最終的にはどのカラーも同じような釣果になる(特定の水色や透明度、時間帯に絞り込んだ場合を除く)。そしてエサ、擬似餌ともに釣果の関係は、色彩のよりも明暗の違いのほうが与える影響は大きいということになる。


編集部より
 第1回から今回まで、『釣りエサ(ルアー・エギ・毛バリ・生エサ)のひみつ』の全13章の中から、釣り人が気になる色についての話をピックアップしました。魚は確かに色を識別できますが、そのことがすなわち色によって釣果が変わることを意味するわけではありません。ですが、これは、繰り返し同じ頻度でエサやルアーを使っていくと、平均的にどの色でも同じように釣れるということです。しかし、たいてい1日や2日といった短時間で結果をださなければならない釣り人にとっては、カラーローテーションやあの手この手で魚にアピールすることはとても大事になってきます。
 また、釣りは経験、技術、道具、時には運など複合的な要因が絡んで釣果は決まってきます。エサに気を配ることはすぐにできることでありながら、一番釣果アップに直結することです。いつもより種類を多く持っていく、鮮度に気を付ける、小まめに取り換えるなどといった工夫は次の釣行からもすぐにできます。
 『釣りエサのひみつ』では、ほかにも臭い、味、硬さなど、さまざまな要素から釣果アップに直結するエッセンスに迫っています。エサ釣りファンもルアーフィッシングファンもぜひとも手に取っていただきたいです。

解説◎長岡 寛
1960年東京都出身。1982年、北里大学海洋生命科学部(当時の水産学部・水産食品学科)。卒業と同時にマルキユー㈱(当時の小口油肥株式会社)に入社、配合エサやエコギアの開発に携わる。現在も同社勤務の傍ら、東京海洋大学の公開講座「フィッシング・カレッジ」では講師を務め、福井県立若狭高校、京都府立海洋高校等の教育機関でも講義や実習を行なっている

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定価:本体1,600円+税
著者:長岡 寛
四六判並製カラー272P



Contents
1章 釣りエサの種類と特性
2章 魚から見た釣りエサと釣り人
3章 魚は釣りイトが見える?
4章 ルアーとエサ、何色がよく釣れる
5章 臭いエサのほうが魚は集まる?
6章 甘いエサはよく食べる?
7章 釣り場の騒音はNG か
8章 究極の釣りエサ成分とは
9章 偽物なのになぜ釣れる
10章 最適なエサ、ルアーのサイズとは
11章 魚が食い込みやすい釣りエサの硬さとは
12章 釣りエサは環境にどう影響するか
最終章 釣りエサのひみつ



2019/8/2

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