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釣りが上手い人ほどエサに気を遣うのはなぜか?

ルアーとエサの「色」を科学する :第1回

解説◎長岡 寛
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 エサやルアーは、魚にハリに食いついてもらうための最も重要な釣り具といえます。
 新刊『釣りエサ(ルアー・エギ・毛バリ・生エサ)のひみつ』は、最新の情報やデータを元に釣りエサにまつわるヒントを科学的に解説した1冊。
 解説を担当してくれた長岡寛さんは、釣りエサメーカーのマルキユー㈱で製品開発に携わり、東京海洋大学の公開講座「フィッシング・カレッジ」では講師も務める第一人者です。
 今回は特別に本書の内容の一部を公開します。釣果が伸び悩んでいるつり人必見の内容です。


◆連載 ルアーとエサの「色」を科学する
第1回:釣りが上手い人ほどエサに気を遣うのはなぜか?
第2回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:魚は色を見分けるのか?
第3回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:アオリイカの餌木とクロダイの練りエサからわかること
第4回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:色の違いよりも明度が重要?

釣りエサを制するものは釣果を制する!


 釣りで一番エキサイトするのは掛かった魚の感触が伝わってくる瞬間ではないだろうか。そして今あなたのサオが大きく曲がっているのは、魚があなたの仕掛けのエサを食べてくれたからだ。どんなに高価なサオやリールを使っても、それがなければ手の施しようがない。釣りで最も大切なことは魚が目の前のエサを食べてくれるか否か? アユの友釣りのような例外もあるが、ほとんどはエサ(または擬似餌)を使う。これはつまり要約すれば、「釣りエサを制する者は釣果を制する」ということだ。

 魚が思いどおりに釣れない時、必ず食ってくれるエサがあればどんなによいだろうか。しかし「これさえあれば絶対食う」というエサは存在しない。もしもそんなものがあったら、釣りの面白さがなくなってしまうのではないかとさえ思う。

 私たち人間には食べ物の好き嫌いがある。また空腹、満腹の時もある。魚も同様で常に同じようにエサを食べるわけではない。

 釣りエサメーカーの研究・開発者として、私が長年多くの釣り人に接してきてつくづく思うのは、釣り人が思っていることと、水中の魚が感じていることの間には、釣り人が想像している以上にはるかに大きな違いがあるという事実だ。私自身も魚に対して相当な勘違いをしていたと気づかされることが多く、まだ分かっていないこともたくさんある。しかし魚に対する知識は日ごとに蓄積・更新され、それらに伴い釣り方の進歩もよりスピードアップしている。

魚の口に一番近い釣り道具は「釣りエサ」


 私たちの視点は通常は水面の上にある。釣りの最中、視野の中央にはサオやリールがあり、その向こうに水面が広がっている。ここで視点を魚からに変えてみよう。すると一番近く、すなわち目の前にあるものは釣りエサであリ、決して人やタックルではない。釣り人の心境として(私もそうだが)、奮発して高価なサオやリールを購入すると、なんだかそれだけで魚がたくさん釣れる気持ちになってしまう。もちろん高価な道具にはそれなりの機能があり、使いこなせば釣果にプラスになることは間違いない。しかしそれ以上に、長年多くの釣り人と時間をともにしてきた私の経験から申し上げるなら、他の人よりよい釣果をあげている釣り人に共通するのは、釣りエサにとても神経を使っているということだ。

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 たとえば、他の人よりも多くの種類を揃えている。鮮度のよい(活きのよい)ものを用意している。状況に応じて使い分けをしている。そして何といっても頻繁に交換を行なっている。また、エビやイソメなどの活きエサに対しては、自宅で飼っているペットよりもこまめに世話をしているのではと思うほどだ。

 一方、ビギナーは釣れなくても魚が食って来るまで何もせず、無意識のまま待ってしまいがちだ。その結果、釣りエサの鮮度が低下(死んでしまって動きがなくなる。エキスが抜けてしまうなど)しても気付くことができない。

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 これは生きエサだけではなく、ルアーのような擬似餌でも同様のことがいえる。すでに魚が見破っている、あるいはその場の状況に合っていないルアーを使い続けている限り、魚はなかなか食いついてこない。そのようなことを意識せずに、「そのうち魚が回遊してくるだろう」「しばらくすれば魚に食い気が出てくるだろう」なんて甘い考えでルアーを投げ続けても、魚はますます学習して食いつかなくなるだけだ。

 積極的な対応を行なうことで、その日の反応がよいルアーや動かし方、反応が多いタナを見つけることにつながり、他の釣り人よりも早くヒットパターンを見つけることができる。何もせずアタリがくるのをいつまでも待ち続けるのか? 積極的に釣りエサ(ルアー)交換を行なうのか? ここが好循環になるか悪循環に陥るか、すなわち釣果の分かれ目になる。

 もうお気づきだろう。同じタックルを使っていても、魚の口から一番近いところにある釣りエサしだいで、釣果に大きな違いが出てくるのだ。

編集部より
 魚をよく釣る人ほど、魚の口に近い部分に気を使うということを、名手の取材をするとつくづく思い知らされます。たとえば、よく行くワカサギ取材だと、普段ワカサギが捕食しているプランクトンをイメージして、サシを2分の1どころか3分の1や4分の1といった極小にカットして使用することが多いのですが、釣れない人はそのまま刺したり、切っても2分の1程度だったりするのです。また、上手い人はサシが白くなって、中のエキスが抜けたらエサは小まめに交換しています。
 これは1つの例ですが、どんな釣りにも当てはまることでしょう。エサに気を遣うことは何も難しいことではなく、心掛けしだいなので、すぐに実践できる釣果アップのコツです。

◆次回
第2回:魚の視覚と釣果の関係にせまる:魚は色を見分けるのか?

解説◎長岡 寛
1960年東京都出身。1982年、北里大学海洋生命科学部(当時の水産学部・水産食品学科)。卒業と同時にマルキユー㈱(当時の小口油肥株式会社)に入社、配合エサやエコギアの開発に携わる。現在も同社勤務の傍ら、東京海洋大学の公開講座「フィッシング・カレッジ」では講師を務め、福井県立若狭高校、京都府立海洋高校等の教育機関でも講義や実習を行なっている

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定価:本体1,600円+税
著者:長岡 寛
四六判並製カラー272P



Contents
1章 釣りエサの種類と特性
2章 魚から見た釣りエサと釣り人
3章 魚は釣りイトが見える?
4章 ルアーとエサ、何色がよく釣れる
5章 臭いエサのほうが魚は集まる?
6章 甘いエサはよく食べる?
7章 釣り場の騒音はNG か
8章 究極の釣りエサ成分とは
9章 偽物なのになぜ釣れる
10章 最適なエサ、ルアーのサイズとは
11章 魚が食い込みやすい釣りエサの硬さとは
12章 釣りエサは環境にどう影響するか
最終章 釣りエサのひみつ







2019/7/24

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