打ち寄せる波が作り出すサラシが警戒心の強いヒラスズキを大胆にさせる
憧れのヒラスズキ、手軽なセイゴ・フッコゲームを楽しむための基本を学ぶ
写真&文◎新保明弘 写真◎つり人オンライン
※この記事は『海のルアー釣り入門』(新保明弘著/2014年出版)を再編集したものです
ヒラスズキは河口部や港などで、おだやかな状況でも充分ねらえる。
目次
増水後の河口部や外海が荒れている時の港内でもねらえる
お刺身を醤しょう油ゆで食べることが当たり前のように、ヒラスズキは荒れる海でサラシをねらうことが当たり前で、最も高確率であるといわれてきた。しかし、釣り人の努力と探究心のおかげで、ヒラスズキもさまざまなスタイルでねらえるようになってきた。時には手軽にキャッチするチャンスもある。ライトタックルでの駆け引きはスリリング。バランスのよいタックルでねらいたい
ヒラスズキの実績がある磯、ゴロタ場の近くにある河口部や港は、条件次第でヒラスズキがエサを求めて回遊してくる。河口部なら、ズバリ雨後の増水時。濁りが入り、上流から流されてくるアユやフナなどをねらってヒラスズキが接岸する。両岸が整備された河口部では、シーバスねらいの基本的なタックル、スタイルでねらえる。
表層を上流から流されてくるベイトフィッシュをイメージして、フローティングミノーをスローリトリーブしたり、バイブレーションの早めのリフト&フォールでリアクションバイトを誘うことも時に効果的である。
港内では、外海では釣りができないほど荒れている状況や、大荒れ直後のタイミングをねらう。ベイトフィッシュが穏やかな港内に入ってくるのを追って、ヒラスズキも回遊してくる。岸壁際や船陰を、フローティングミノーのトゥイッチ&リトリーブでねらうのが基本である。
特殊な状況として、港内でヒラスズキがベイトフィッシュを追い回し盛んにボイルするケースがある。これは、ルアーをキャストすれば簡単にバイトしてくるかと思えば、まったく反応しないこともある。ルアーの大きさを変え、リトリーブ速度を変え、アクションを変えても駄目。そんな時は、フローティングタイプのルアーをボイルの中にキャストして放っておく。すると、ヒラスズキに弾き飛ばされ弱って漂うベイトをイメージさせるのか、水柱を挙げてバイトすることがある。「ほっとけメソッド」と呼ばれる方法だ。
夜釣り、ナギのゴロタ場をライトタックルでねらう
ゴロタ浜。穏やかでも流れ込みなどがあれば夜間にヒラスズキが寄ってくる
荒れた状況下での夜釣りは非常に危険だ。一方、ナギの状況下の夜釣りで比較的安全にねらえるパターンがある。それはゴロタ場の夜釣りである。ゴロタ場とは、人の拳こぶし大から両手で抱える大きさの丸みを帯びた石で形成される海岸線を差す。石の隙間が多く、常日頃からベイトフィッシュが多い環境となっている。そこへ夜間回遊してくるヒラスズキをねらうのである。
装備はサラシねらいと同様に、固定式のフローティングベスト、ストッキングタイプのウエーダーにスパイク。タックルは9ft前後のロッドに中・小型スピニングリール。メインラインはPE0・6~0・8号、ショックリーダーはフロロカーボン12ポンド前後を70㎝程度入れたものでよい。ルアーは5~10㎝の小型シンキングペンシル。ゴロタ場の波打ち際に多いベイトフィッシュ、ナミノハナやトウゴロウイワシ、春先の稚アユにマッチ・ザ・ベイトさせる。これをロングキャストして水面直下をスローリトリーブすると、目のよいヒラスズキは暗闇でもルアーを見つけてバイトする。
ゴロタ場でヒットするヒラスズキは30~ 60㎝とフッコからスズキにかけてのサイズが多いが、産卵期といわれる厳寒期から桜の季節は時に80㎝クラスもバイトしてくる。
ゴロタ場は磯と違って根ズレによるラインブレイクが少ない。ドラグを利かせてファイトすればキャッチ率は高いが、より確実性を求めるなら、必ず明るい時間帯の干潮時刻にポイントの地形を確認しておくことをお勧めする。ランディングはあらかじめ予想したゴロタの隙間に寄せ波を利用して誘導し、フィッシュグリップを使うとスムーズに行なえる。