関東屈指の人気フィールドである山梨県・山中湖。盛期になると、どのドーム船も満船となる人気ぶりだ。「FISHING HOUSE なぎさ」のスタッフであり、がまかつフックモニターの尾崎 渚さんは若手ながらベテランからも一目置かれる存在。そんな彼に山中湖のテクニックをお聞きした。
ハリの選択と、ワカサギを散らさないテクニックに気を遣おう
安藤隆弘=解説、丸山 剛、安藤隆弘=写真
ドーム船で釣果を伸ばすためには、一般的に四隅が有利といわれているが、そのようにいわれる要因の1つが、ワカサギは臆病な魚であり、自分より大きなものに対して、警戒心を持つからだ。湖底に映るドーム船の影にワカサギが怯え、ドーム船の真下にワカサギが回遊してこない。
そんなドーム船において、座席に左右されることなく、釣果を出すにはどうすればよいのだろうか。
◆関連記事 ドーム船のフィールド別攻略法
・桧原湖編
・野尻湖編
・山中湖編
その1 ハリの選択
ワカサギ釣りの仕掛けは、市販品だけでも相当な種類がある。ハリの形状、イトの種類、イトの太さ……。考えるだけで頭がいっぱいになる。イトの種類やハリの形状については、雑誌などでもたびたび特集されているので、今回はハリの大きさについて、私なりの選び方をお伝えしたい。
一般的に、ハリの大きさは、魚の大きさに合わせるといわれている。これはワカサギ釣りにおいても当てはまらないものではない。しかし、ワカサギ釣りの場合は、魚の大きさというよりも、ワカサギのエサを吸い込む力に合わせて、ハリの大きさを変えるべきであると私は考えている。その理由は、ワカサギの捕食方法にある。ワカサギは、口を開けて吸い込むように捕食をする。そして、この吸い込む力の強弱が、活性の高低にリンクしているのだ。そのため、活性が高い際には、大きめのハリを選び、活性が低い場合には、小さめのハリを選ぶことで、ワカサギに違和感なく吸い込ませることができる。
エサについても同様である。ワカサギの活性に合わせて、エサの大きさも変えていくべきだ。その意味では、ハリの大きさの選び方=付けるエサの大きさともいえる。
ただし、どんなに活性が高い状況でも、当歳魚のような小さいワカサギの口ではくわえられるエサの大きさに限界があるので、その点は考慮してエサの大きさを選択するべきである。
その2 ワカサギを散らさない
ワカサギは回遊性の魚であるため、回遊してくるワカサギをいかにして自分の真下で留めておけるかが釣果を伸ばす秘訣である。ワカサギを自分の真下に留めるためには、常に新鮮なエサをつけ、ワカサギを寄せることだけではなく、ミス(=アタリを逃したり、バラシ)をなくさなければならない。先述したように、ワカサギは警戒心が強い魚だ。
湖によって釣り方のバリエーションはあるが、基本的な考え方は同じだ。2018年の3月訪れた木崎湖は魚影の割に食いが悪く、桧原湖の北部のイメージで釣りを組み立てた
そのため、一度のミスがワカサギの警戒心を高め、群れを散らしかねない。とはいえ、毎回竿頭を取るようなベテランアングラーでもミスはある。そこで、ミスによる被害を最小限に防ぐために、ワカサギの群れの端(基本的には群れの上部)をねらうようにすることが重要だ。群れの上部を釣ることで、食い気のあるワカサギはどんどん上に上がっていく。そのため、効率よく釣ることができ、ミスをしたとしても、群れに対する影響を最小限に抑えることができるのだ。
もちろん、ワカサギの活性が高い状態であれば、群れのど真ん中に仕掛けを入れて、多点掛けで釣るのが効率的だが、群れがいてもなかなか口を使わないような状況では、ミスを減らすことが周りとの釣果の差を出していく大きな要素になる。
その3 周りと違うことをしてワカサギを寄せる
ドーム船に乗っているアングラー全員が同じ釣り方をしたのでは、ワカサギもスレてしまい、釣果が伸びにくくなる。そこで、誘いのパターンを変えてみたり、周りと違うタイプの仕掛けを使ってみたり、エサの付け方を周りと変えてみたりして、ワカサギを引き付けるのも、釣果を伸ばすコツである。このパターンで釣れはじめると、1人勝ちのような圧倒的な釣果も夢ではない。
木崎湖のドーム船は2回目だったが、500尾オーバーの釣果だった
また、渋い時のマル秘テクニックとしては、周囲よりも細い仕掛けを使うことも重要だ。ドーム船では、水中に多くの仕掛けが投入された状態になっており、仕掛けのカーテン状態となっている(例えば20人乗りのドーム船であれば、20×2=40組の仕掛けが船下に垂れ下がっており、ハリの数でいえば200以上のハリがある状態!)。その中で、ワカサギは水中にある数多くのエサのついたハリから選んで捕食することになる。 そのため、ワカサギに対して、いかに自然なエサに見せ、自分のエサを食わせるかが、釣果を伸ばすコツになる。細い仕掛けはワカサギからハリスが見えにくいのと同時に、水流の抵抗も受けにくいので、水中に自然にエサを漂わせることができる。これにより、ワカサギの警戒心を和らげることができ、周囲の仕掛けと比べて、アタリが出やすくなるのだ。
ただし、とにかく細い仕掛けにすればいいわけではない。細仕掛けにももちろんデメリットもある。それは、仕掛けが細いがゆえに、トラブルに弱いことや、縮れやすいということだ。そのため、数釣りが可能な状況などでは、細仕掛けではなく、0.3号程度の標準の太さの仕掛けを使うことをおすすめする。
その4 周りの状況をよく見る
アタリに集中しつつも、周りがどういった釣り方をしているのか、観察するのも重要だ
ドーム船では、同じ空間で大勢の人と釣りをする。そのため、ドーム船は、他のアングラーの釣り方を見ることができる貴重な場でもある。そして、周りが釣れていて、自分が釣れない際に、なぜ自分が釣れないのかを考えるいい機会にもなる。その3では、周りと違うことをしてワカサギを寄せると説明したが、逆に釣れているアングラーの釣り方を参考するのも、釣果を伸ばすために必要な要素である。常に周り状況をよく見て、他のアングラーの釣り方を参考し、自分なりにアレンジを加えていき、自分だけの釣り方を模索していく、これがドーム船ならではの楽しみ方であり、技術向上のための秘訣でもある。
特に、ドーム船にはその地のベテランアングラーが乗っていることも多く、ご当地ならではの釣り方を学ぶこともでき、その釣り方を自分なりにアレンジすることで、釣り方の引き出しを増やすことができる。
以上のテクニックをもとに、皆さんもぜひ、ドーム船での釣果向上を目指していただきたい。
◆この記事は『なるほど!THEワカサギ大全2019-2020』でも読むことができます。
なるほど!THEワカサギ大全2019-2020
定価:本体1,200円+税 AB判100ページ