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編集部2022年6月18日

渓流釣りができる川を守るために。ジャーナリスト・浦壮一郎さんの考え。前編

ヤマメ イワナ 環境レポート

『RIVER CAMP』著者の浦壮一郎さんが同書に書き下ろした、渓流釣りができる川を末永く残していくための考え方をシェアします。

人の関心が薄れると川は壊されてゆく

解説・写真◎浦壮一郎

 「ゆるくない釣りキャンプ入門」として、渓流釣りと渓流キャンプの魅力を紹介しているムック『RIVER CAMP』が好評発売中です。著者は月刊『つり人』や別冊『渓流』雑誌『フライフィッシャー』などで環境問題を考えるレポートを数多く執筆してきたジャーナリストの浦壮一郎さんです。この記事では、浦さんが同書に書き下ろした、渓流釣りができる川を末永く残していくための考え方をシェアします。

この記事は『RIVER CAMP』に掲載したものを再編集しています

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人の関心が薄れると川は壊されてゆく

 近年のアウトドアブームをきっかけに渓流釣りとキャンプを始めたという人は多いと思う。それまでは川に近づくことすらなく遠くから眺めていただけだったかもしれないが、釣りをすることで初めて川の中を、水の中を歩く経験をしたに違いない。

 水に浸かることが前提になる渓流釣りは、それまで疎遠だった川をごく身近な存在へと変えてくれる。その瞬間を境に川への興味が沸々と沸いてくることになり、その興味は次第に理解へと変わる。川の魚に興味を持つと、その魚が何を食べているのか気になってくる。すると水生昆虫への知識も少しずつ深まってゆく。誰もがこうして川の生態系、環境に関心を持ち始めるのである。

 本書『RIVER CAMP』では、リバーキャンプが楽しめるフィールドとして主に源流釣行を紹介している。本来なら河川源流部から下流部にいたるまですべて網羅したいところだが、それは叶わなかった。理由は中下流部に豊かな生態系や景観が残されている川が少なくなってしまったからである。

 贅沢を言ってもきりがないのだが、釣りをしながらキャンプするなら魚影が多く、景観も含め自然豊かな川で楽しみたいもの。そう考えるとウィルダネスすなわち原生的自然が残る地域こそ、一夜を過ごすのに相応しいと思えた。それがどこだろうかと考えた際、思いつくのは源流域のみだったのだ。

 中下流部はどうかといえば、さまざまな河川開発によって本来の姿を残した川はすでに絶滅寸前の状態にある。渓流域にいたっては漁協による放流なくして釣りが成り立たない川もあるほどだ。

 どうしてそうなってしまったのか。物理的要因はダムなどの河川開発なのだが、それを許容してきた人々の意識にも目を向ける必要があるだろう。現代人が川への関心を失って久しいこと、それもまた川の荒廃をもたらした要因のひとつだと考えられるからだ。つまり自然と人、川と人は近い存在でなければならないのである。

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川で遊ばない人たち、川を理解していない人たちが、川を単なる水路と見なしていじくり回していく。川に棲む生き物たちの生態に精通していたら、もう少し配慮した河川改修を行なっているに違いない。現在の惨状は、人々が川への関心を失ってしまったことに原因があるかもしれない

 

後編「源流の自然は本来の姿なのか」に続く……

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