6~7月は、一年で最も支笏湖がにぎわうシーズン。フライフィッシャーの目当ては、水面に浮いたエゾハルゼミを捕食するトラウトだ。静かな湖面が突然爆発する興奮を味わうと、たとえ数日間アタリもライズもない日が続いても、やっぱり湖岸に立ちたくなる。
浮かべて待つか、チョンと誘うか?
まとめ◎North Angler's
6~7月は、一年で最も支笏湖がにぎわうシーズン。フライフィッシャーの目当ては、水面に浮いたエゾハルゼミを捕食するトラウトだ。静かな湖面が突然爆発する興奮を味わうと、たとえ数日間アタリもライズもない日が続いても、やっぱり湖岸に立ちたくなる。
この記事は『North Angler's』2022年8月号に掲載したものを再編集しています
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80cmを超えるブラウントラウトも可能性あり!
エゾハルゼミの鳴き声に反応してソワソワしてしまう人は、読者のなかにもたくさんいるだろう。支笏湖をはじめとする湖、場所によっては川でも、セミを捕食する大型トラウトが見られるポイントは多い。その迫力あるシーンを目撃したら、「今、魚が襲い掛かったのが自分のフライだったら……」と思わずにはいられない。
5月24日の16時頃にヒットした56㎝。体高があり、ヒット後に3度ジャンプしてよくファイトした。カケアガリの上、水深1~1.5mのエリアでシケーダフライをくわえた
札幌中心部から近い支笏湖は、シケーダ(セミ)パターンの釣りにチャレンジするのにうってつけ。もちろん、この湖で魚をキャッチするのは容易ではない。3日間、ただひたすらシケーダのフライを浮かべただけ、というような話も珍しくはない。それでもまた足が向いてしまうのは、50㎝オーバーはもちろん、80㎝を超える魚が出るかも、という夢があるから。そしてすごしやすい気候になった6月、緑の森に囲まれた湖の風景もまた、大きな魅力といえる。
シケーダ
フック……がまかつ B10S #4~6
ボディー……ディアヘア・ブラック
ウイング……CDC
ヘッド……ディアヘア・ナチュラル、グリーン
ディアヘアを刈り込んで作ったボディーは、それほどリアルでもないが、フロータントを付けると気泡などによってそれっぽく見えるのかもしれない。ウイングはコック・デ・レオンなどでもよいが、CDCは視認性が高いのがメリット
2022年の支笏湖は、まだ寒い時期に90㎝オーバーのブラウントラウトが数尾出ている。5月になると景気のいい話が減ったが、セミが鳴く6月への期待は高まっていた。そして迎えたハルゼミシーズン、一時はセミが鳴いていたものの、なかなか気温が上がらない。せっかく釣りに来たものの鳴き声が聞こえず、湖面にも浮いていないということが多かった。
気象庁によると、6月の支笏湖畔で最高気温が20℃を超えたのは6月17日になってから。1日の平均気温が15℃を超えたのも、同じく17日以降だ(5月には20℃を超えた日が8日間もあったのに……)。去年は6月3日には最高気温20℃を超え、ひと月で20℃以上の日が19日間もあった。気温だけで釣果が決まるわけではないのだが、やはりセミの声が少ないと気分が盛り上がらない。
支笏湖トンネルより西側のポイントにて。釣り人にとってだけでなく、6月の支笏湖は絶景。ここで釣りができるだけでも充実感がある
とはいえ、魚は水面に注目しているようで、シケーダパターンでの釣果も増えている。取材では5月24日に56㎝、6月12日に47㎝と52㎝のいずれもブラウントラウトが釣れている。ちなみにこの間、フライフィッシングの取材は3回なので、決して悪くはない。
ポイントはいずれも88㎞付近。支笏湖トンネルの西側だ。ただし、これは取材時に他エリアに多く人が入っていて、しかたなく選んだだけ。今季は姫鱒橋から94㎞付近まで好釣果が聞こえており、実際に釣り人の車もそのあたりが多い。ちなみに支笏湖から西へ向かう美笛峠は現在通行止めなので要注意。
支笏湖の時合は「10~11時、3~4時が勝負」
5月24日は最高気温21.7℃で、前日より約2℃高かった。56㎝のブラウントラウトがヒットしたのは16時頃。『NorthAngler’s』2022年7月号に掲載の連載「ザ・支笏湖チャレンジ」に登場した小松和文さんの言葉「10~11時、3~4時が勝負」を証明するようなタイミングだった。水温は気温よりも遅れて変化するので、その頃にようやく魚の活性が上がったのかもしれない。東北東の風で平均風速は0.6m。湖面は穏やかな状況が多かった。
ヒットしたのは岸から10mほどの近場。ちょうど岩が突き出ていて、そのすぐ沖にカケアガリがあるのだが、魚は岩のすぐ横で出た。
6月12日は最高気温14.3℃で、前日より5℃以上も低かった。最低気温は8.4℃で前日より2℃下がった厳しい状況。西よりの風で平均風速0.9m。ただし湖面はかなり波があった。ヒットしたのは、47㎝が11時半、52㎝が15時。やはり前出・小松さんの言葉どおりのタイミングだった。
6月12日の15時頃にヒットした52㎝。フライの近くで何度かライズがあった後、同じ個体かは分からないがヒット。波があったので、魚がフライをくわえ損ねていたのかもしれない
Photo by Souichiro Ura
6月12日11時半にヒットした魚。こちらは水深70㎝ほどの浅場でヒット。岸からの距離は7mほどだった。それでも岸側から泳いできてフライをくわえたので、静かにアプローチしていなかったら釣れなかっただろう
Photo by Souichiro Ura
セミのフライを浮かべるポイントは、基本的にカケアガリの上がよいといわれる。なんとなく水深のある沖へ投げたくなるが、セミは岸近くで浮いていることも多い。実際、驚くほど近場でライズをすることがあり、静かにしていれば遠投の必要はない。したがってアプローチはできるだけ慎重に行ないたい。
後編「シケーダパターンの誘い方」へ続く……
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