大ものの実績をよく聞く、それなりに規模の大きな流れはいつも釣り人でいっぱい。そこで釣り人のいない支流の支流……と枝を探索するようになった。全く情報がなくても、橋の上から見て少しでもよさそうなポイントがあれば、とりあえず釣り歩いてみる。
マイクロスプーンで攻略
Photo & Text by Hiroki Hirasawa
近年は人気河川に釣り人が集中するが、河川の規模にこだわりがなければ、新しいポイントを捜してみよう。もしかすると、そこは楽園かもしれない。
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人のいない流れを捜して
細流で想定外の大ものが浮上し、マイクロスプーンをゆっくりとくわえて反転。その直後、スリリングな攻防が始まった
SNS全盛の昨今、「○○で釣れた!」という情報が流れると、大勢のアングラーがそこに集中する。もっとも、この傾向は昔からあるが、近年は顕著になったと感じる。そこから話題になるのが釣果だけならよいのだが、ゴミや駐車の問題、さらには釣り人どうしのトラブルもよく聞かれる。そうして釣り場への立ち入りが規制された場所が年々増えており、釣り人自ら首を絞めてしまっている。マナーについて、今一度真剣に考えたい。
釣り場のマナーは海で取りざたされることが多いが、川でもいろいろな話を耳にする。問題点は海とほぼ同じ。これについては今後あらためて取り上げるが、釣りは安全にマナーを守って楽しむのが第一だ。
今回同行した苫小牧市の矢野元基さん、愛実さん夫妻は6~11月、川をメインに釣行している。もちろん、ねらいはSNS映えする大ものとはいえ、無用なトラブルを避けるため、特に川では混雑するポイントにあまり入らない。10月上旬の午前7時、道の駅に集合し、釣り人の車が散見されるエリアを素通りして向かったのは、とても大もが潜んでいるようには思えない小さな流れ。道内で13ある1級河川の支流の支流の支流の、そのまた支流の細流だった。
細流は安全面からも魅力
元基さんもSNSを活用していて、大まかなエリアを絞る際の参考にしている。しかし、大ものの実績をよく聞く、それなりに規模の大きな流れはいつも釣り人でいっぱい。そこで釣り人のいない支流の支流……と枝を探索するようになった。全く情報がなくても、橋の上から見て少しでもよさそうなポイントがあれば、とりあえず釣り歩いてみる。10時には別の川を探索。しかし、このころから風が強くなり、落ち葉に苦労させられた。秋の釣りはタイミングが難しい
「もともと魚のサイズに関係なくライトタックルを使って、小さな流れを攻略するのが好きなんです」と言うが、その背景には奥様さんの存在もある。水量が豊富な本流や中規模河川は女性だと遡行が大変。雨後で水位が高いと流される危険性だってある。「最近、たまに行く川で、釣り人が亡くなったと聞きました」。釣行時は常に安全を念頭に置くが、小さい流れは歩きやすく、流される心配もない。ということは結果的に奥様だけでなく、ご主人も釣りに集中できる。これが楽しい釣りに結びつく。
釣果は小型サイズが多いとはいえ、「稀に、ビックリするような大ものが出てきて焦ります」。橋の上から下を見ると、左岸の土管から勢いよく水が流れ、その落ち込み直下だけ深くなっていた。そこに「前に来たとき、50くらいのがいて。バラシしてしまったのですが、今日もいないかな、と思って」といたずらっぽく笑う。橋のたもとから川に下り、下流側からアプローチする。
★後編では60cmオーバーのニジマスが登場!
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