この令和の時代、カメラはずっと小型になったし、取材メモはスマホひとつで充分だ。となればフライタックルを同時に持つ余裕も生まれるというもの。そこで、取材中でも快適に釣りをするために、まずはバッグが重要だと考えた。
仕事中に釣りをすると決めました。
文◎滝 大輔
「仕事であちこち釣りに行けていいですね」とよく言われるが、そう甘くないのはご想像のとおり。が、この令和の時代、カメラはずっと小型になったし、取材メモはスマホひとつで充分だ。となればフライタックルを同時に持つ余裕も生まれるというもの。そこで、取材中でも快適に釣りをするために、まずはバッグが重要だと考えた。
筆者プロフィール
滝 大輔/『FlyFisher Magazine』『FlyFisher ONLINE』現編集長。つり人社入社時よりほぼフライフィッシングのみを担当し、『FlyFisher』編集長、映像編集室室長、デジタルコンテンツグループリーダーを経て、一周回って現職。仕事も趣味もフライフィッシング。フライ歴は30年近い。
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いや、釣りも仕事のうちなので。
まずは通常の私の取材スタイルを軽くお伝えしたい。服装は釣りをする時と全く同じで、足元はウエーダーか、ウエットウエーディング。それにプラスして防水のバックパックに予備バッテリーやSDカード、交換レンズなどの機材と、弁当やレインジャケットなどを収納して持ち歩く。これにスチールの場合は広角用として高性能コンパクト、望遠用としてミラーレス一眼を肩にかけて被写体を追いかける。ムービーカメラを使用することも少なくないが、必要な道具はほぼこのスタイルでおさまる。
これに釣り道具をプラスすればよいわけだが、まずフライタックルを大きく2つに分けて考えてみる。ロッド&リールとそれ以外。言い換えれば大きなものと小さなもの。ロッド&リールは後ほど考えるとして、まずは小物の収納だが、意外な障害になったのはマキシマイザーという私の性質だ。断捨離やミニマルとは縁がなく、フライタイイング用のデスクはゴミ屋敷状態。今ときめかないからといって、1年後にときめくかもしれないのでモノは捨てられず、気に入ったモノは予備としてもうひとつ買う。そこを家人に非難されれば「18世紀にイギリスが世界の覇権を握ることができたのは予備艦隊を用意していたからだ」と理屈をこねる。ギャラップ社のクリフトンストレングス・テストでは「収集心」という資質を持つと診断された。
これが私の普段の釣りスタイル。
自然が相手、次に何か起こるか想像がつかない釣りならばなおのこと、あれもこれもと持ち歩きたいので、今となっては新品ではあまりバリエーション見つからないフィッシングベスト派だ。20年近く同じものを愛用していて、これだけは予備を買っていなかったことを激しく後悔している。
しかし、仕事中に釣りをするという目標を立てた以上、装備のスリム化は避けられない。葛藤の結果、最もかさばるのはフライであり、これは収納ルールを変更してユニット化し、細かく分けて持ち運べるようにした。で、整理したこれらを組み合わせてチェストパックに収納する。ここに紹介するのは、マキシマイザーでもミニマリストになれる(かもしれない)アイテムと、今年購入したものだけではないが、特徴に分けていくつか試した結果現在稼働中のパックである。
フライ収納の規格を統一
フライボックスをC&Fデザイン社のシステム・フライケースにほぼ移行(今も引越し中&収納ルールを検討中。正直、小さいSサイズのほうが私にとってはよかったかも)。フライはぐちゃぐちゃに収納したほうが、現場で思わぬセレクトができて好結果につながる、と信じているが、今年はこの製品を試してみた。ケースと中身を入れ替えることができるので、私の取材釣りスタイルにはうまくマッチした。
↑こちらが移行前のボックスのひとつ
ひとつふたつと増えていき最終的にはこれくらいに。今年すべて使いこなしたわけではなく、来年さらに使い込んでみたいと考えている。
ガイドボートボックスも使ってみた。中身をこちらにキープして、用途によってケースに入れて持ち運ぶ。が、ボックスに「フライを巻け」と強要されている気分になるのが難点。
パック類は結局状況に合わせて使い分ける、というありきたりの結果に。
▼まずは防水タイプ。しかし1気室なのと開口部が小さいので、大きなものを取り出しにくく、中身を整理する工夫が必要になってくる。
▼こちらは2気室に分けられた機能的なオールラウンドタイプ。私が使用するコンパクトカメラをスムーズに収納するだけの幅が足りず、こちらも使用状況を選ぶ。
▼こちらはウエーダーに取り付けて収納力を補助するような用途で使われるもの。やはり小さく、私が普段使う大型フライボックスが入れにくい。
▼フライボックスが大型化したようなタイプ。裏にはティペットスプールが機能的に収納できて使い勝手はよいが、そもそもカメラを入れるスペースがない。
というわけでこちらは今のところ決定打がなく、シチュエーションに応じて使い分けている状態だ。おそらく何を選んでも帯に短し……、ということになりそうだ。
南国のフラットではこんな感じのスタイルで……、
ヒット〜!
ほかにもルアー用の幅があるタイプも使ってみた。カメラは楽に収納できたものの、今度は幅が大きすぎて釣りの邪魔になる。
早撃ちスタイルを追い求めて。
そして、ロッド&リールについては、こんなグッズを購入。
3rd Hand Rod Holderというベルトなどに取り付けてロッドを保持するアイテム。何も考えずに購入したが、これは旧タイプで、新しいバージョンはもっと使い勝手が向上している模様。
こういうものです。
実はまだこれは購入したてで一度も使用していない。家で試してみると、日本の渓流向けロッドではグリップが細すぎたが、取り付け方は少し工夫したらしっかりと留まったので、期待はできる。
取材中に釣りといっても、あらかた取材が終了してからロッドを組み立てて釣り開始、ということがほとんど。最初からフライまで結んでおけるこのツールがあれば、さらに迅速に釣りに移行することができるし、「オレも釣りがしたいのだから、早く絵になる魚を釣ってほしい」と取材対象者に圧力をかけられて一石二鳥。来年のシーズンが今から楽しみである。
というのはすべて冗談ですよ、ジョーダン。
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