アユ釣り用タモや渓流釣り用ゴアテックスウエーダーの高価格に「わかっちゃいるけどつらいよなぁ」と嘆き節の人は少なくないのではないだろうか。そんな中、購入して使っているうちに、「コスパ最強ではないか」と思わずうなったのがこのシート。1枚1000円ちょいのお気軽アイテムだが、その用途はアイデアしだいで∞(無限大)と思っている。
磯釣りにもアユ釣りにも大活躍
文◎八木健介
今どきのアユ釣り用タモや渓流釣り用ゴアテックスウエーダーの高価格に「わかっちゃいるけどつらいよなぁ」と嘆き節の人は少なくないのではないだろうか。そんな中、購入して使っているうちに、「コスパ最強ではないか」と思わずうなったのがこのシート。1枚1000円ちょいのお気軽アイテムだが、その用途はアイデアしだいで∞(無限大)と思っている。
筆者プロフィール
八木健介/つり人社編集部部長という肩書のマルチサポート要員。入社後、フライフィッシャー編集部と月刊つり人編集部を経て現職。今はフライ、アユ、メジナが年間の釣りの3本柱だが、ハゼ、タナゴ、船、やればなんでも好き。
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赤と青、そこには想像以上の差があった
今年買ってよかったベストセレクション。あれこれ検討するうちに、ここ数シーズンですっかりお世話になったアレを思いついた。
それがモンベルの「リペアシート」である。アウトドア店などで売られている、テントやレインウエアの破れを補修するアイテム。きっかけは釣りに使っているゴアテックス生地のレインパンツの裾の一部が、地磯に向かう途中のヤブでイバラに引っかかり小さく裂けてしまったことだった。
編集部近くのアウトドア店を見てまわるうちに、最初に選んだのが同社の「ゴアテックスパーマネントリペアシート」というほうだった。名前が近いことからもわかるように、この2つの商品はパッケージもよく似ている。ただ、普通のリペアシートは青色、ゴア用をうたっているほうは赤色になっている。
左が「赤」で右が「青」。最初は赤いほうを買った
初めはどちらがよいかわからず、「でもゴアの補修ならゴア用だよな」と、赤いほうを買ってみた。こちらはゴア系ウエア(ウエーダーを含む)の補修材として、似たようなアイテムがわりと出回っているもので、使い方はシートをハサミで必要な大きさに切り出したら(以後、パッチと呼ぶ)、接着面になっているほうを下にしてアイロンで熱溶着する。しかし、実際に補修してみると、この接着力がどうも強くない。ひとまずは張り付くのだが、たとえば帰宅後にレインパンツ全体を揉み洗いすると、たいがいパッチの端のどこかがめくれてしまうのだ。
パッチの大きさや切り出し方を変え、何度かトライしてみたが結果は同じ。そのうち、「あっちはどうなんだ?」と思ったのが青いほうだった。
さっそく購入してみると、こちらのシートは無色透明で伸び縮みするビニール状。必要な大きさ分を切り出し、補修箇所に張るという使い方で、パッケージでは表から張る想定になっているが、自分は裏側から張ってみた。いずれにしても片面がシールになっていて、薄いフィルムを剥がしたら手で張り付けるだけ。するとこれがよかった。
破れたり破れかけの箇所に裏から張るとこんな感じ
赤いほうで一度補修したが、パッチの端がめくれてしまうので、上から青いほうを張ったパターン。裏地への接着面が減るのでダメかと思ったが、これもいい感じで手揉み洗いしても剥がれない
何よりシール面の接着力が非常に強く、かつシート自体に柔軟性があるので下地が不安定な状態でもよく張り付いて剥がれない。水にも強く、釣り場から持ち帰って洗濯と乾燥を繰り返しても、補修箇所はびくともしない。自分はまだやっていないが、ウエーダーのピンホール補修にも使えるはすだ。すっかり満足したのだが、このアイテムの貢献はそれだけにとどまらなかった。
致命傷を負っていた我がアユダモを救う
レインパンツの破れ穴補修で絶大な効力を発揮した「リペアシート」は、その後、2枚目、3枚目を購入することになった。というのも、レインパンツの補修はほほ1回で事足りてしまったものの、思いもよらない用途が出てきたからである。
アユの友釣りをしていた時のこと。その日は野アユがなかなか掛からなかった。オトリアユはまもなくグロッキーかと思われた時、ようやく1尾が掛かった。しかし、意気揚々と新しいオトリに付け替えようとしたところで目を疑った。タモの中にたしかに泳いでいたはずの野アユがいないのである。
たまに外に跳ねて逃げられる失態をおかすこともあるが、そんな場合はなんとなくでも自覚症状がある。ところが同じ事態が次の釣行でも起きた。鈍感な自分もさすがにおかしいと思い、気づいたのがタモ網に開いている小さな穴だった。黒いメッシュタイプの網の一部がほつれていたのである。そこに釣れたばかりの元気なアユが頭を突っ込むと、穴が広がってスルリと逃げ出していたのだ。
問題はそのメッシュタイプの網が、替え網だけでも2万円以上することであった。タモ丸ごとを買い替え新品にするとなると出費は場合以上……と頭をよぎったところで、「リペアシートで直せるんじゃないか?」と思いつく。シートから2つの同じ大きさの丸型のパッチを切り出し、1枚で穴をふさいだら、もう1枚を反対側から張り付ける方法を試してみた。するとこれが上手くいった。
穴あき箇所をパッチで補修。丸く角が出ないように切り出したシートで表と裏からサンドイッチする
レインパンツの補修の時同様、釣りに使い、帰宅後は乾燥させるという使い方を繰り返してもパッチは剥がれない。結局、網自体が経年劣化で弱っていたようで、その後は補修箇所をどんどん増やすことになったが、それでもこの1000円ちょいのシートのおかげで、2シーズンは手持ちのアユダモを延命させることができた。
今夏のアユ。タモ網には補修のあとがある
最後はこんな状態になるまでペタペタとやっていた
最後は補修したものを予備に回し、来シーズン用のタモを買い直したものの、これだけ役立ってくれたら間違いなく近年の私的「コスパ最強」アイテムである。ちなみにこのシート、自家用車の補修などにも便利に使えたりし始めたのだが、そこまで紹介するとキリがないのでひとまずここまでとする。現在、唯一心配なことといえば、地味なアイテムだけに「急に廃盤になったりしないよな?」ということくらいである。
つり人社編集部員が買ってよかったアイテム2023-2024