クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。
6600C Black Thumbar/6500A/6600FL
文=山中康嗣
クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。
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※注:今回ハンドル、ハンドルロックナットについてはパーツ変更点として記述していません
6600C Black Thumbar
クラシック系ハイギアモデルのラストを飾ったのが6600C黒ベロ
●フットナンバー/810400
6600C FN.810400 Black Thumbar
わずかな期間で生産を終えた6600Cが再び世に送り出されたのは80年のこと。フラットリム式サイドプレートが採用され登場した。
同年の6500Cにも採用されたリム形状だが、6500Cと大きく違なる点はフェイスステッカーを採用せず、両サイドプレートにリムステッカーを貼付したことである。
前モデル最大の特徴であった赤いサムバーは黒に変更され、それにともない形状や材質も変更された。また、紛失などの問題があったのか、サムバーテンションスプリングが左サイドプレート内から右サイドプレート内(ブレーキプレート上)に移設されたことが、機構上での変更点となる。外観ではハイスピードステッカーが黒金セリフ体から黒金筆記体へ変更された。
6600Cブラックサムバー(黒ベロ)は、6600Cレッドサムバー(赤ベロ)の進化版とは位置付けられていなかったのか、00というバージョンナンバーが与えられた。現在「801000」「810200」「810300」などのフットナンバーも確認されている。
そして81年、6600Cは生産を終了する。それは同時に72年から続いた6000番のクラシック系ハイギアモデルの終焉でもあった。
6500A
軽量パーツを採用することで304gという自重を実現したパーミングモデル
●フットナンバー/801000
6500A FN.801000(前期型)
6500Cに対して6500が存在するように、6500CAのブロンズ・ブッシングバージョンが6500Aである。パーミングモデルとしては6500CA、ストライパーに続く3機種目となり、およそ1年後の80年に登場した。
最大の特徴は自重。フレーム(アルミインナープレート)、ドラグホイール(アルミプレート)、メインギア(高硬度アルミ)……ほか、軽量パーツを採用することによって、これまで数多くリリースされた6000番ハイギアモデルの中で最も軽い304g(実測値)を実現した。
モデルとしては84年まで存在し、その間外観だけでもフレームピラー、フレームインナープレート、ドラグホイール、ステッカー……など、数多くのパーツ類の変更が行なわれた。また、ストライパー同様、左サイドプレート上のクリックスイッチの有無で前期型と後期型に区別される。
後期型もブロンズブッシング搭載機ではあるが、そのサイズが10㎜×3㎜×4㎜に変更され、それにともないピニオンギアなどがボールベアリングモデルと共通となる。
この頃からグラファイト素材や丸型ではないサイドプレートを採用した新世代アンバサダーが次々と発表され、昔ながらの丸型アンバサダーは徐々に行き場を失っていく。
6600FL
日本製のリールを牽制するがごとく最新機能を盛り込んで登場した名機FL
●フットナンバー/85-0
6600FL FN.85-0
70年代終盤から日本製リールが勢力を拡大しはじめ、アンバサダーもさまざまな新機能が盛り込まれた新型モデルが登場する。80年代に入ると、フローティングレベルワインド、バヨネット機構、フリッピング機構、非丸型サイドプレート、アクセルレススプール……など、現在のリールにも採用され続ける機能が数多く発表された。
その流れのなか、84年に4600FL、5600FL、翌年には6600FLと、FLシリーズがそれぞれデビューする。注目すべきはSAAB社(スウェーデンの航空機・軍需品メーカー)の戦闘機に採用されていたとされるグラファイト・コンポーネント製サイドプレート。このサイドプレートにウルトラマグ系のブレーキシステムをさらに進化させたスピードアジャストマグネティックブレーキなどの機能を搭載。最新機能と伝統の融合といった触れ込みであった。
しかし、最新機能を盛り込みながら伝統を引き継ぐ試みは、決して世間に受け入れられたとはいい難く、苦戦を強いられることになる。
記憶に残るブラック、ゴールド、グリーンという斬新な色使いの名機は、アブの「迷走期」とも揶揄される時代の流れに翻弄され、わずか2年あまりで姿を消すことになった。