クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。
6500Red/6500C Silver/6500C Black (スムースリム)
文=山中康嗣
クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。
目次
こちらの記事は『ABU for LIFE』に掲載されているものをオンライン版として特別公開しています。この記事のほかにも、アブとともに楽しむ極上のフィッシングライフを楽しむための記事を多数収録。ぜひチェックを!↓↓↓↓
※注:今回ハンドル、ハンドルロックナットについてはパーツ変更点として記述していません
6500Red
最もアンバサダーらしいカラーをまとった人気機種である
●フットナンバー/780600
6500 FN.780600 Red
最もアンバサダーらしいカラーともいえる赤い6000番ハイギアモデルが世に送り出されたのは77年後半。6500(ブラウン)生産終了から約半年後のことである。
6500(レッド)は80年までの3年間弱生産されるのだが、この間にパーツ変更が頻繁に行なわれ、ディティールの異なるさまざまな仕様の個体が存在する。
外観はモデル名表記(茶銀ステッカーから刻印、さらに黒銀ステッカーへ移行)、フレームのインナープレート(真鍮のクロームメッキから赤のアルミへ)、ハイスピードステッカー(楕円のいわゆるニューハイから丸型の黒金セリフ体へ)、ドラグホイール(クローム5本角爪からレッド5本角爪、さらにレッド4本角爪へ移行)などと、いろいろ変更されている。また、内部パーツでいえばメインギアがクリックスプリング非搭載のスチール製から、クリックスプリング搭載の高硬度アルミ製に変更されている。
画像の個体はクロームと赤のコントラストが非常に印象的なビジュアルを持つ、個人的には最も美しいと思うアンバサダーの1台である。その鮮やかな色合いから人気機種ではあるが、残念ながら悪意を持って組み上げられたと推測される個体を目にすることも多い。
6500C Silver
高硬度アルミ製メインギアの採用など、初期モデルより壊れにくく扱いやすく進化した
●フットナンバー/790804
6500C FN.790804 Silver
6500Cは、初期のグラファイトグレー、ブルーグレーなどと呼ばれるグレー系から、徐々に明るいシルバー系へとカラーを変更しながら生産され続けた。そのグレー/シルバー系6500Cの最終モデルが79年製となる。
約7年間の生産期間中にはモデル名表記、ドラグホイールやレベルワインダーなどの外装パーツ、メインギアやブレーキプレートなどの内部パーツ、クリックスイッチなどの搭載機構……など、数多くのパーツが変更された。72年モデルと79年モデルをくらべると意外なほど同一パーツが少なく、よくも悪くも改良が続けられた証といえる。
この頃になるとブレーキプレートはCクリップ止めタイプになり、メインギアは高硬度アルミ製を採用し、強度と軽量化の両立を図るなど、初期モデルにくらべ壊れにくく扱いやすさを意識したつくりになっている。
モデル名表記は77年終盤に刻印から茶銀ステッカー、さらに画像個体の黒銀ステッカーに移行し、ハイスピードステッカーも赤銀から黒金セリフ体へと変更された。
このハイスピードステッカーの変更によりアイコンともいえる赤のワンポイントが消え、地味な印象ともいわれる6500Cとなる。
6500C Black (スムースリム)
カラー変更により、ボールベアリング搭載機種は黒で統一された
●フットナンバー/791104
6500C FN.791104 Black(Smooth Rim)
79年はアブ社のアメリカ代理あるガルシア社が倒産し、そのガルシア社をアブ社が買収するという、その後の会社の行方を左右する非常に大きな出来事があった年である。この年、6500Cはグレー/シルバー系からブラックへとカラー変更された。
生産期間が極端に短かったこともあってパーツの変更点は少なく、ドラグホイールがクローム5本角爪からクローム4本角爪となった程度である。
今現在確認できるフットナンバーは「791104」「800105」「800205」だが、このフットナンバーがアブのバージョン管理についての疑問符を大きくした。
カラーが大幅変更された初期ロットは引き続きシルバーと同バージョンのナンバー04が与えられ、小変更ともいえるドラグホイールの変更時(混在あり)に05へと進む。
以前よりバージョン管理は厳密に行なわれていたとはいえないが、何を基準にバージョンナンバーが進んでいたのか、大きな謎を残す。現在も理由は分からないままだ。
このモデルの生産期間中、いよいよ80年代に突入し、クラシック系アンバサダーの生産も終盤へと向かっていく。