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編集部2021年11月20日

趣き深きABU丸型リールの世界:第1回(全4回)

釣りの仕掛け集 PICKUP タックル Basser

クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。

6500C Big-A/6500Brown/6600CRed Thumbar(ステッカー)

文=山中康嗣

 クラシックタイプのアンバサダーは昔から人気が高い。なかでも80年代前半までにつくられたオールドアンバサダーは垂涎のアイテムだ。6000番のハイギアモデルのコレクターとして知られる山中康嗣さんの秘蔵コレクションを拝見。

こちらの記事は『ABU for LIFE』に掲載されているものをオンライン版として特別公開しています。この記事のほかにも、アブとともに楽しむ極上のフィッシングライフを楽しむための記事を多数収録。ぜひチェックを!↓↓↓↓


※注:今回ハンドル、ハンドルロックナットについてはパーツ変更点として記述していません
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年式や機種など選択肢の多いアンバサダーを収集する

 きっと誰もがそうだと思うが、私は最初からコレクターを目指していたわけではない。

 思い起こせば初めて6600FLを手にしてから、使用を前提に6500や6500Cを購入するようになった頃、ある点が気になったことが、すべての始まりだったように思う。

「同機種、同年式なのに、けっこうパーツが違う……」

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カスタムも含めクラシックタイプのアンバサダーの使用率が高いといわれるライギョ釣りにおいては、コミュニケーションツールとしての側面も持ち合せている

 その当時は「何年製造のこの機種はこのディティール」といったように、間違いではないものの、まるで正解が1つしかないと解釈できるような情報しかなかった。たとえば6500Cは74年に異なるタイミングで3点の外装パーツが変更されたが、当時はそんなパーツ変更に関する詳細な資料は皆無であり、リールを見るにつれ謎も増えていくばかりであった。

 このような疑問を抱くなか、明らかに年式と外装の整合性が取れない個体を見る機会などもあり、正確なパーツの変遷を把握したくなった……という次第だ。「全機種すべてのフットナンバー個体を入手できればそれが実現できる」と考え、それからというもの6000番のハイギアモデルに的を絞り、コレクターへの道を進むことになる。いまだ実現には至っていないが、いつか完全に把握することが夢でもある。

 収集は楽しい。年式や機種、カラーの選択肢は多く、なかでも6500や6500Cは多くのパーツが変更されただけあり、好みに応じたこだわりのディティール選択が可能。自身の誕生年の製造個体、さらには誕生年月にまでこだわって探したり、これらはオールドアンバサダーならではの楽しみ方といえよう。カラーに深みのあるサイドプレート、上質なメッキパーツ、ロウ付けによるリールフット接合など、人間味あふれるリールたちは独特の雰囲気をまとい「所有する喜び」を与えてくれることだろう。興味を持った方は、ぜひオールドアンバサダーを手にしていただきたい。

 というわけで、これまで出会った6000番のハイギアモデルの中から、とりわけレアなアイテムなどコレクションの一部を紹介しよう。

6500C Big-A

流通量の多い73年式はオールドアンバサダー入門機としてもおすすめ
●フットナンバー/067200

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6500C FN.067200 Big-A

 6500Cはシリーズ初のハイギア(4.7:1)搭載モデルとして登場。

 それまでのギア比3.6:1のローギアモデルとの差は大きく、ピックアップスピードに顕著に表われる。なかでも登場間もない頃の6500Cは、その後の刻印と字体の違いから「Big-A(ビッグエー)」と呼ばれ、この個体は「Big-A」の中でも最初期タイプにあたる72年製。流通量の多い73年製のBig-A(一部74年製)とは異なるディティールを持ち合わせている。

 その特徴は次のとおり。

①リューズ型サムノブ
②スムースヘッド・キャストコントロールキャップ(左右)
③スムース・リールフット
④フットナンバー(067200)

 そのどれもが特徴的ではあるが、なかでもフットナンバーはハイギアモデルでは唯一の並びとなる。73、74年製が「730101」「740102」など、その後のモデルでも使用される「製造年(西暦下2桁)」「製造月」「バージョン」(各2桁)の順であるのに対し、「067200」は「製造月」「製造年(西暦下2桁)」「バージョン」の順となる。72年製Big-Aには、このほか73年製と同じディティールの「721200」のフットナンバーが存在する。

6500Brown

唯一無二の渋い色合いが人気のブラウン。コンディションのよい個体は非常に少ない
●フットナンバー/760800

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6500 FN.760800 Brown

 6500(ブラウン)は6500Cのデビューから遅れること4年、76年にハイギア搭載ブロンズブッシングモデルとして登場した。77年にかけて生産されるが、実質10ヵ月程度の短期間のため個体数が少なく、他モデルと一線を画す渋い色合いは唯一無二ともいえ、根強い人気を誇る。サイドプレートの色が抜けやすいことに加え廉価版ゆえか酷使されているケースが目立ち、程度のよい個体を目にする機会は少ない。

 生産開始から終了まで外観上の目立った変更点は少なく、生産開始後すぐにレベルワインダーがフラットタイプ(平型)からナインラインズタイプ(9本縦溝型)に変更された程度である。そのほか同一モデルの中で「761100」のフットナンバーだけが、他のフットナンバーと異なる幅広の小さな字体を使用している点が興味深い。

 メカニカルな部分では、アブが廉価版のラインナップでシェア拡大をねらった意欲の表われなのか、6500Cと比較すると随所に低コスト化の形跡が見られる。ベアリング仕様からブロンズブッシングに変更しただけにとどまらず、ドラグのクリックスプリングを搭載しないメインギアの採用などは、地味ながら当時のアブらしい企業努力やこだわりなのかもしれない。

6600C Red Thumbar(ステッカー)

サムバースタイルは現在でも採用され続ける革命的な機能である
●フットナンバー/770300

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6600C FN. 770300 Red Thumbar(Sticker)

 77年、のちのベイトリールに多大な影響を与える「サムバー式ファーストキャスト機構」を搭載した6600Cは、黒いサイドプレートに赤のサムバー(通称:赤ベロ)という鮮やかなコントラストを身にまとってデビューした。

 この機構は現在でも世界各国多くのメーカーが採用しており、当時のアブがどれだけ意欲的であり先進的であったかをうかがい知ることができる。しかし、画期的なアイデアではあったが、サムバーにクラックが入りやすいなど新機構搭載にともなうトラブルも抱えることになる。

 このトラブルは、サムバーに圧入されたクラッチ動作に関わるピンからの負荷にサムバーが耐えられずに起こる。未使用個体、未使用スペアフレームであっても経年によって発生し、高い確率でクラックが確認される。

 多くの個体が刻印モデル名表記になるが「不思議なこと」にフットナンバー「770300」のごく一部に茶銀ステッカーによるモデル名表記個体が存在する。

 製品個体はごくわずかであるのに対し、修理用サイドプレートではステッカータイプを目にすることが多い点が「不思議なこと」のキーになるのかもしれない。

 

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