アジングの主流はエステルである。ここでは交換タイミングや、推奨されているリーダーとの結びなどについて聞いた。
巻きかえタイミングと結束強度
解説◎バリバス企画宣伝部 岸田凌
エステルの劣化を測る目安はあるのでしょうか? 交換時のサインを教えていただけますか?
岸田 正直なところ交換の目安は一概に言えません。どのくらいで巻き替えたらいいの? という質問は多くのユーザーさんから寄せられます。しかしどんなポイントか、どのくらいのサイズをよく釣っているかで変わり、何時間釣りをして何回キャストしたかによっても変わります。ラインローラーとガイドをどれだけ通過したか。ラインが擦れる回数が影響するのです。要は伸びない特性によるもので摩擦や瞬間的なショックに弱い。ガイドを通ったり、ラインローラーを通って負荷が繰り返しかかった部分は劣化しやすい。目安を言うならラインのゴワツキ感に注意していただきたい。硬い素材なのでガイドやラインローラーに繰り返し接触している部分はしなやかさが失われゴワゴワします。広い意味でキンクしているような感じになる。そういった質感になった個所は切ってスプール内の新しいイトを出して使ったほうが安心かなと。
ゴワツキ感がひとつの目安なんですね。ではエステルで一番売れている号数は何号ですか?
岸田 0.3号のシェアが圧倒的に多いですね。アジングマスターは最も太い号数で0.4号です。アジングにおいて0.5号以上の太さは必要ないと思います。スプールにも馴染みにくいのでトラブルも多発します。
エステルラインはショックリーダーを使用するのが一般的ですが、直結では問題があるのですか?
岸田 やはり伸びないラインなので合わせた時のショックを吸収する意味であったほうがよいです。もうひとつ大きな理由として、エステルはルアーのアイ、スナップ、スプリットリングとの結束強度が弱いんです。ユニノットにせよクリンチノットにせよ金属と結ぶと先ほどお話したゴワツキ感が出る。エステルとルアーは直結でもいいだろうと実践される方もいますが、相当ルアーをなくされています。ショックリーダーを介す理由はそこにもあるんです。一方でエステルはイト同士の結束強度は高いです。検査上90%台の強度が出ます。イト同士であれば互いのクッション効果があるからでしょう。
リーダーとの結束で推奨されている結びはありますか?
岸田 トリプルサージャンズもしくはトリプル8の字結びといった締め込んだ時にクッション効果の高い結びが主流です。今年1月に開催された「釣りフェスティバル」ではエステルの結び教室を3日間やりました。毎回30人くらいのお客さんが来て、どんな結束をいつもしているか聞くと6割はトリプルサージャンズ、4割くらいがトリプル8の字でした。ちなみにPEの結束も0.4号くらいならサージャンズで充分と言うテスターさんはいます。時間をかけて摩擦系ノットを組んだところで細いPEはそれほど強度差が出ないからです。エステルとリーダーの組み合わせ号数は0.3号に0.8号を組み合わせるのがスタンダードです。ちなみにエリアトラウトのエステル使いは2倍の法則と言われ、0.3号のエステルに対し0.6号、0.4号に0.8号という感じで使う人が多いですが、アジングのリーダーはワンランク太い。理由としてはフロロであっても細くなるほど伸びるからです。太いほうが伸びない。繊細なバイトを即アワセするアジングでは、伸びを抑えて感度を落としたくないという考えがポピュラーなのでしょう。
※このページは『つり人 2024年5月号』を再編集したものです。